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完璧主義な自閉症息子、登校中もイライラが止まらない。「お母さんが悪い!」に母も限界…【読者体験談】

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完璧主義な自閉症息子、登校中もイライラが止まらない。「お母さんが悪い!」に母も限界…【読者体験談】

監修:森 しほ

ゆうメンタル・スキンクリニック理事

自閉症息子、悪循環の無限ループで不登校に

現在12歳、中学1年生の息子は、9歳でASD(自閉スペクトラム症)、反抗性挑戦障害(反抗挑発症)と診断を受けています。完璧主義で衝動性が強い息子は、興味の限局性があり、他責的、怖がり、人見知り、分離不安、自己肯定感の低さなど、母親としては心配な面が多々あります。

そんな息子は、小学校3年生の後半からまだら登校が始まり、4年生からは完全に不登校となりました。勉強についていけなくなったことが不登校に繋がったと感じています。

勉強についていけなくなった→完璧な自分じゃない→劣等感→不登校→学校へ行けない自分が許せない→劣等感→みんなに白い目で見られたくない→怖い→さらに行けない……という悪循環の無限ループに陥った息子。

ただ、「挨拶だけでいいから学校へ顔を出す」と担任の先生と約束したため、一人で登校できなくなってしまった息子に私は毎日付き添いをしました。イライラしながらも学校へ顔を出しに行ける日もあれば、途中で引き返すこともある日々でしたが、この母子登校でさまざまなことがありました。

信号を渡れないと「最悪!」。歩行者を「あの人避けてくれなかった!」常にイライラしながら歩く日々

一人で登校できない理由について、本人は「虫がいるから怖い」と言っていました。ですが、虫除けや、帽子や上着を勧めても全て拒否。「この世から虫を全部消して!」と騒ぐので困りました。
ただ、本当の理由は虫ではなかったのだと思います。以前は1人で登校できていたので、不登校になってしまったことが原因なのでしょう。

また、幼少期はそれほどでもなかったこだわりが、この不登校期間に強くでるようになりました。一番困ったこだわりは「信号が青だったら絶対に渡る」こと。これは、信号までの距離が離れていたとしても、青の信号が見えたら適用されます。数十メートル先の信号に向かって急に走りだし「お母さん!早く!」と私に怒り出します。到底間に合わない距離なのにです。
結局渡れず次の青信号を待つことになると「お母さんが遅いから!」と怒りながら、「さっきの青で渡れなかった!最悪!」と責め立てるので困りました。「別に急ぎの用事もないから、次の青で大丈夫だよー」と話しても、納得してくれませんでした。

また、自分のペースで目的地まで行きたい息子は、歩くペースを乱されることを極度に嫌がりました。出会い頭で自転車の人やほかの歩行者がいて、お互い右に避けるか左に避けるか……という場面になると「あの人避けてくれなかった!」と不機嫌になりました。私は「仕方ないよ。相手の人も上手く避けられない場合があるからね……。息子君は運動神経がいいから避けるのが上手いでしょ?避けてあげたら良いんじゃない?」と、持ち上げてみましたが、あまり変わりませんでした。

我慢できず「そんなことで今後どうするの?」と言ってしまった私。息子はパニックに

毎日毎日、家でも外でもこのようなことが繰り返され、私は息子と一緒にいること自体憂鬱になっていました。それでも厳しい言葉を浴びせてはいけないと気持ちに蓋をしていましたが、ある日の登校中、その蓋が壊れてしまいました。

通学路に虫がいることに対して怒り始めた息子に対して
「世の中の虫を全部消すなんてできないのは分かるよね?ある程度は克服しなきゃいけないことなんだよ。外に出ない生活なんて無理だし、自分ができることをするしかないんだよ」

いけないと分かっていましたが、耐えられなくなってしまったのです。そしてこれを聞いた息子はパニックになってしまいました。私に「生まれてきたくなかった!」と叫び走って家に帰ってしまいました。私は息子を追いかけながら、やはり言ってはならなかったと心底後悔しました。

息子は機嫌のいい日は私と手を繋ぎたがったり、おちゃらけたりすることがありました。
通学路でのトラブルの後、私は息子が繋ぎたければ繋ぐし、離したければ離す、息子が安心して学校までたどり着けるように心を砕き続けました。

中学校でリセット!学区外の特別支援学級へ進学すると、登校できるように!

小学生中はこのような日々でしたが、中学に進学するにあたっては学区外の特別支援学級のある中学へ進学しました。その中学にはなかなか学校に行くことができなかった小学校時代の知り合いがいなかったため、気が楽だったようです。また、自分に合ったクラスに入り、自分に合わせた勉強の進め方をしてくれることが安心につながったようで、中学からは登校できるようになり、私は本当に安心しました。

今も朝は私が送っていますが、帰りは1人で帰宅するようになりました。そして次第に「虫が~」や「すれ違う人が~」などの不満も言わなくなりました。

登校できるようになってよかったと思いますが、今後も息子の様子を慎重に気にかけていきたいと思います。今までは「家族」しか世界になく、家族に依存をしがちでしたが、これから中学、高校と成長するにつれて息子の交友関係も広がるはずです。自分のことは自分で考えて、自分で決めて自分で行動し、相手の気持ちを考え、望んでいた結果ではなくても受け入れることができるようになって欲しいです。

イラスト/志士ノまる
※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。

(監修:森先生より)
母子登校についての貴重な体験談をありがとうございます。登校渋りがでるお子さんは、完璧主義だったりこだわりがあったりして、失敗することへの不安が強い傾向にあります。学校へ向かう道ですれ違う人や虫にイライラするのは、学校に行くことへの不安や、自分が学校になかなか行けないことによるプレッシャーが根底にあるのかもしれませんね。

発達に偏りがあると、「他人との境界線をうまくひけない」、「気持ちの切り替えが苦手」といった特性が出ることがあります。他人や環境など、自分以外のものが自分の予想と違う動きをしたときに不安になってしまうのです。そして気持ちの切り替えがうまくできずに、パニックになってしまいがちです。お子さんがそのようにパニックになってしまった場合は、「そんなこともあるよね」というように、気持ちを切り替えて問題解決していけるような考え方を教えていけるといいですね。

とはいえ、お子さんも成長するにしたがって保護者に対して反発心も感じますし、保護者としてはつらい日が続きますよね。
しかし、家族としてお子さんのフォローをできる期間は限られています。お子さんもいつかは外の世界の厳しさに直面することになりますので、その日までに保護者が少しずつ教えていく必要があります。
外の世界と関わっていけるようになるためのサポートは、お子さんとの信頼関係のある保護者だからこそできることなのではないでしょうか。

お子さんに寄り添い続けた結果、中学校に進んで登校できるようになったとのこと、とっても素晴らしいですね。これからもお子さんが自分らしく成長できるよう、応援しております。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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