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絶対に言ってはならないNGワード 子どもが「読書感想文」を書く気になる【本選びの極意】とは? 〔文章力養成講座の専門家〕が伝授

コクリコ

2週間7つのステップで「読書感想文」を完成させることができる、「親子インタビュー式読書感想文の書き方」を、文章力養成講座「カキマクル」のゆか先生こと松嶋有香さんが伝授する連載企画。ステップ1は、本選びの極意です。

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文章力養成講座「カキマクル」のゆか先生こと松嶋有香さんが、だれでも2週間、7つのステップで読書感想文を完成させることができる「親子インタビュー式読書感想文の書き方」を伝授します!

親のみなさん、心がまえと計画表は準備できていますか?

「親子インタビュー式読書感想文の書き方」ステップ1は「本選び」。これまで、読書感想文で読む本は、だれが決めていましたか?

もし親が決めていたら、すぐにやめましょう。なぜならその選択こそが、子どものやる気を奪う大きな原因になっているからです。さっそくゆか先生に説明してもらいましょう。

【ステップ1:本選び】本屋と図書館、どっちに行くのが正解?

──ステップ1は本を選びということで、本屋と図書館どちらかに行けばよいですか?

ゆか先生:「親子インタビュー式読書感想文の書き方」に取り組む場合は、節約のために図書館や古本屋を利用するのではなく、できれば購入してあげてほしいです。

──なぜですか?

ゆか先生:1つ目の理由は、本にふせんを貼るので、図書館の本では紙をいためてしまうことです。2つ目は、この取り組みは本気で子どもの心と向き合う機会になるはずなので、「自分で選んだ自分だけの本」という特別感を、子どもに味あわせてほしいからです。

文章力養成講座「カキマクル」の松嶋有香ことゆか先生 撮影:講談社写真映像部

──確かに、「自分で選んだ自分だけのもの」は大人でも心がトキメキます。それでは、どんな本屋さんに行けばよいですか?

ゆか先生:なるべくいろんなジャンルの本がたくさんある大きな本屋に、親子で行きましょう。本独特の紙の感触と匂い、背表紙が並んだカラフルな棚、平積みされた本の圧倒感、他の人、特に大人が本を選んでいる雰囲気、静かな緊張感のある空気といった、本屋の「気」が大切です。

インターネット書店とリアル書店では、テレビでディズニーランド特集を見るのと、実際にディズニーランドに出かけるくらい違うはずです。

そして本屋に着いたら、「好きな本を選んでいいよ」と伝えて、子どもに選んでもらいます。そして、子どもが「これがいい!」と本を持って来たら、「子どもが選んだ本を絶対に否定しない」でください。特に子どものやる気を削いでしまうNGワードには気をつけましょう。

OKワード:本を選んだ子どもを丸ごと「肯定」する
→子どもはうれしくなって自信がつく、やる気がでる
「あら、おもしろそう!」
「ステキな表紙(絵)だね!」
「読むのが楽しみだね!」
「ママ(パパ)は見たことがない本なのに、よく見つけてきたね!」

NGワード:易しい、難しいを親が判断し、子どもの能力を「否定」する
→せっかく自分で選んだのに否定されたので自信を失う、やる気が削がれる
「本当にその本でいいの?」
「最後まで読めるの?」
「難しそうだけど、本当に読める?」
「えー、それって小さい子が読む簡単な本じゃない?」

──そもそも「本が嫌い」という子は、本を選ぶのも苦手だと思います。そんな時はどうしたらよいですか?

ゆか先生:子どもが好きなこと、興味があるものがテーマの本が置いてあるコーナーを探してみましょう。今、自分の子どもが夢中になっていることを身近で感じているのは、同じ家で生活している親です。

──「好きな本なんてない!」と言われたら、どうしたらよいでしょうか。

ゆか先生:困ってしまいますよね。そうしたら、どうしてそういう言い方をするのか、普段の子どもの行動から理由を分析してみてください。

決めるのに時間がかかる子なら、急かさずにゆっくり探しましょう。カフェが併設された本屋さんもありますし、買わずに一度外に出て、気分転換してからもう一度本屋に行ってもいいと思います。

──買う本は1冊でいいですか?

ゆか先生:できれば3〜4冊買うと安心です。家に帰っていざ本を開いてみたら、読めそうにないと思うかもしれないので。

──課題図書から選んだ方がいいですか?

ゆか先生:毎年その質問を受けますが、答えはひとつ。お子さんが好きな本が、たまたま課題図書で選ばれた本なら、それでよいです。課題図書にこだわらず、子どもの選択を大切にしてください。

課題図書は、「青少年読書感想部全国コンクール」の「課題図書」選定委員会が選書をしています。選ばれているのは良書ですし、選定理由をHPで公開しているので、本のテーマがわかりやすいのが良い点です。

例えば、色覚障がいを持つ男の子が主人公の『ぼくの色、見つけた!』は、目に見えなくても、だれもが悩みを抱えているんだと考えさせられる一冊です。

『ぼくの色、見つけた!』(作・志津栄子 絵・末山りん 講談社)

ゆか先生:ただし、必ずしも選定理由に書いてある内容を、読書感想文のテーマにする必要はありません。自分なりに感じたことを、見つけてみましょう。

〔ゆか先生の体験例〕どんな本でも読書感想文が書ける!

以前、虫の写真集『アリから みると』(桑原 隆一・文、栗林 慧・写真、福音館書店)を選んだ小学1年生の男の子がいました。「ほとんど文字がないんです。さすがにこれで、読書感想文はかけませんよね」と、お母さんが私に、本屋から電話をかけてきたんです。

私はお母さんを説得してその本を買ってもらい、「読書感想文」に取り組んでもらいました。

本の内容は、アリの視点から見た世界を撮影した写真です。表紙は、大きなショウジョウバッタが迫ってくる迫力のある写真でした。特に気に入った写真がカマキリの顔のアップで、「ギラギラして、左右に離れた目がついた顔を向けらてれて、大きな鎌を振られたら、ぼくはおしっこちびっちゃうかもしれません」と、カマキリの怖さを自分の言葉で書いて、最後は「ぼくは、アリを踏みつけないように歩こうと思います」という文で締める感想文を原稿用紙2枚に書いて、賞も取りました。

親子インタビューのメモを読むと、「最初に本を読んだときは、『すごい』、『おもしろい』しか言わなかったのに、『カマキリににらまれたアリは、どんな気持ちだっただろうね』と聞くと、『それはこわいよ』と返事があった」と書きこまれていました。

そこまで子どもの感想を引き出せたら大成功! 次に、その子が感じた「こわさ」を突きつめて、それを表現するのに一番ピッタリな言葉を教えてあげます。私はよく子どもたちに「こわいにも200種類あんねん(笑)」と言っていますが、「カマキリににらまれたアリ」というシチュエーションから推測できる言葉は、こんな感じです。

「怖じ気づく」
「ひるむ」
「たじろぐ」

子どもは「すごい、めちゃくちゃ便利な言葉があるんだ」と感心した様子でした。このように大人と子どもの会話は言語レベルが違うので、子どもの語彙力を増やす良い練習になります。

この子は、新しく「ひるむ」という言葉を覚えました。例えばその後、大きな人ににらまれる経験をしたとします。すると子どもは「これが『ひるむ』っていう気持ちなんだ」と実感できると思います。それが、「言葉が根付く」ということ。単純に「本」を読むだけでなく、言葉と経験が結びついてこそ、語彙が増えていくのです。

次のステップは、いよいよ本を読みます! そのときにやっておくとよい「感想メモ」の作り方を紹介します。

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