火事で自ら火傷を負うも、寝たきりの女性の上に覆いかぶさり命を救った飼い犬(米)
米カリフォルニア州プレイサー郡のアパートで先月、火災が発生し、寝たきりの女性が寝室に閉じ込められた。迫りくる炎の中、女性の命を守ったのは、メスの愛犬“マヤ(Maya、8)”だった。勇敢なヒーロー犬のニュースを、米ネットメディア『Live 5 News』などが報じた。
女性の夫は、妻の命を守った犬とともに消防隊員らと再会した。当時の映像はこちら
先月15日午前8時前、カリフォルニア州プレイサー郡ローズビルのシトラス・ハイツで火災が発生し、デイビッド・ホフマンさん(David Hoffman)の妻メリッサさん(Melissa)と飼い犬のマヤが奥の寝室に取り残された。
メリッサさんは数か月前に脳卒中を起こし、寝たきりの状態だった。デイビッドさんは当時のことをこう振り返る。
「火は家の正面から奥の寝室のほうに燃え移りました。妻を寝室の窓から助け出そうとしましたが、家の奥は煙で覆われ、高温のため中に入ることができませんでした。そこで消防隊が到着するまでの間、ホースを使って窓から水をかけていたのです。」
現場に駆けつけたサクラメント・メトロ消防局のジェイソン・ベスタルさん(Jason Vestal)は、今回の火災について「火の回りが非常に速く、迅速な対応が必要でした」と語り、アパートの様子を捉えた動画には激しく火柱が上がるのが映し出されていた。しかしながらメリッサさんとマヤは危機一髪のところを救出されており、デイビッドさんはこう述べた。
「消防隊が妻とマヤを見つけた時、マヤは妻の上に覆いかぶさるようにして意識を失っていました。妻は炎が迫る中、なんとか床に横たわることができたようで、マヤが覆いかぶさったことで全身に火傷をせずに済みました。特に胸の火傷を防げたことで命が救われたのです。ただ、消防隊の救出があと1分でも遅れていたら、妻の命はなかったでしょうね。」
消防隊はその後、マヤに心肺蘇生法を施して蘇生させ、ローズビルの動物専門病院に搬送した。救出後には酸素投与が少なくとも24時間行われ、獣医のニコール・マッカーサーさん(Nicole McArthur)はこのように語った。
「入院当時、マヤは呼吸が上手くできず、怯えて悲しそうでした。また、舌や口内にも火傷を負っていました。きっと炎が迫って来た時、飼い主を舐め続けていたのだと思います。」
なお、マッカーサー獣医は「マヤは飼い主を命懸けで救ったから」とマヤの治療費を一切受け取らず、次のように述べて家族への支援を表明した。
「私たちはただ、家族に手を差し伸べたかっただけなのです。これは本当に素晴らしい話で、マヤは“ヒーロー”です。家族はこの火災で全てを失いました。だから『家族にこれ以上の心配事が増えないように』と思ってしたまでのことですよ。」
マヤは現在、感染症を防ぐため犬用ワンジーを着用する必要があるが、走り回ることができるほど元気になって退院しており、あと1か月ほどすれば火傷の傷が癒えるという。
そんなマヤを連れ、デイビッドさんは今月9日、動物専門病院のスタッフや消防隊員らと再会し、感謝の言葉を伝えた。そして子犬の時から飼っているというマヤについて、次のように語った。
「マヤはとても忠実な犬。ほとんどの犬は火事に遭遇したら走って家から飛び出すでしょう。でも今回の行動で、マヤがどんなに素晴らしい犬なのか、そして私たちがどれだけマヤを思っているか、またマヤがどれだけ私たちを愛してくれているのかがよく分かりました。あの子は犬ではなくて、家族の一員なのです。」
一方でメリッサさんはというと、カリフォルニア大学デービス校の火傷センターに入院中で、全身の60%以上に重度の火傷を負ったため今後も手術が予定されている。ただ、ゆっくりながらも回復しているそうで、家族はクラウドファンディング・プラットフォーム『GoFundMe』に専用ページを開設し、寄付を募っている。
画像は『ABC10 Facebook「Firefighters found the dog unconscious and lying on top of David Hoffman’s wife.」』『Live 5 News 「Dog lies on disabled owner protects her from flames while trapped in house fire」(KCRA、CELLPHONE VIDEO、CNN)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)