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猫を『ストレスから守る』ための4つの工夫 メンタルケアの大切さも

ねこちゃんホンポ

猫にもメンタルケアが必要

動物行動学の研究では、猫のQOL(生活の質)を向上させるためには、身体の健康と同じくらい、情緒的に安定できる安心感のある暮らしが欠かせないことがわかっています。

猫は環境の変化を好まない動物で、ちょっとした変化でもストレスの引き金になることがあります。引っ越しや新しい家族(同居猫を含む)の登場は、猫にとって大きな負担となることがあります。また、長時間の留守番やトイレの変更もストレスになり得ます。

長期的なストレスは、過剰なグルーミングや攻撃性、食欲低下、膀胱炎など身体症状としてあらわれることがあります。これらの症状は、猫に精神的負担があるサインといえるでしょう。

猫のメンタルケアには「予防的ケア」と「問題発生時の対応」「アフターフォロー」の3段階がありますが、特にストレスにさらさないための予防的ケアはとても大切です。

愛猫のストレスはこの4つの工夫で守ろう

猫の健康や長生きのためには、「悪いストレス」の少ない生活が欠かせない要素ですが、愛猫の生活は、飼い主の工夫次第でとても快適なものになります。

愛猫をストレスから守り、健康的な毎日を送ってもらいましょう。

1.猫の生態に合った環境を整える

猫の生態的特徴には、「縄張りを持つ」「身を隠す」「寒暖差の対応が苦手」などがあります。

これらの特性をふまえると、猫の安心のためには、普段生活する部屋にも「隠れられる自分だけの場所」が必要です。薄暗い場所があれば最適ですが、なければドーム型のベッドなどでも代用できます。

ただし、多頭飼いの家庭では、ほかの猫と共有にしてしまうと使えないコが出てきてしまうので、可能な限り1匹につき1つ以上のスペースを作ってあげましょう。

また、猫は気に入った場所があると、多少の寒暖差があってもその場に留まり、ガマンしてしまう傾向があります。寒暖差の大きい季節では、冷暖房を利用して一定の温度で快適に過ごせるようにしてあげましょう。

同時に、猫が自分で快適な場所を選べるよう、複数の居場所を用意しておくことも大切です。

2.運動不足を解消する

狩りのためにエネルギーを蓄えやすい猫は、適度に発散する機会がないと、運動不足からストレスをためやすくなります。

室内飼育の猫にとっての運動不足解消は、定期的な飼い主との遊びが効果的です。特に若い猫は、1回10分程度、おもちゃを使った遊びを1日に2〜3度できれば十分です。年齢や運動能力に応じて運動時間を調整しましょう。

キャットタワーや棚の段差を活用した上下運動は、狩猟本能を満たす要因がないためマンネリ化しやすく、エネルギー消費には限界があります。高齢や病気、ケガなどで動けない場合を除けば、飼い主が積極的に遊んであげましょう。

ただし、部屋の高い所で過ごすことは、猫のメンタル面にも良い影響を与えます。また、猫の生活圏は「縦にも広がっている」と考えて、空間を立体的に使いましょう。

3.爪とぎの環境を用意する

猫の爪とぎは、オス・メス問わずにやる自然な行動のひとつです。爪を研ぐことで、古くなった爪をはがし、自分のテリトリーを示すマーキングの役目など、さまざまな目的があり、その中にストレス解消もあります。

爪とぎの感覚には好みがあり、段ボールを好む猫もいれば、麻縄やカーペット素材、木材を好む猫もいます。

また、爪とぎをする場所も、部屋の出入口付近や窓際などテリトリーの境界となる部分や寝床のそばなどお気に入りのくつろぎスペースの近くなどに好みがあります。壁や家具などでの爪とぎをされてしまう場合は、その近くに爪とぎを置くとよいでしょう。

好みの爪とぎで思う存分バリバリできる環境は、猫の情緒の安定につながります。

4.美味しいと思えるタイミングで食事を提供する

動物にとって「食べることは生きること」です。毎日の食事が楽しみは、猫にとっても毎日の充実や幸せにつながります。猫をストレスから守るためにも、美味しく食べることはとても大切なのです。

ここでの「美味しい」とは、キャットフードそのものではなく、適度にお腹が空いた頃によろこんで食べられることを意味します。

猫は、空腹時間があることで食べることが楽しみになります。1日に数回、おなかを空かせてしまうのは、かわいそうな感じがしますが、実はそれが食べる喜びや肥満予防など、猫にとっての健康的なメリットになるのです。

食事の時間は飼い主さんの生活スタイルによりますが、成猫であれば一日2回、少食タイプであれば3回に分け、できるだけ等間隔で与えるのが理想です。あまりに長い時間空腹が続くと、嘔吐などのリスクが出てきますので、注意が必要です。

まとめ

過度にストレスを受けていると、身体の免疫力を落として些細なことでも体調不良や問題行動の原因となることがあります。

特に愛猫のストレスは、私たち飼い主が気付かないうちに溜まってしまうかもしれません。生活をしていく上で避けようのないストレスは、日々の中で解消することが理想です。

今回紹介したストレスから守る工夫は、いずれもありきたりのようでいて、実は飼い主の意向で実行できるものばかりです。

目に見えないストレスだからこそ、ほんの少し意識しておくと愛猫の健康を守ることにつながるでしょう。


(獣医師監修:葛野宗)

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