【アニゴジ】アニメ映画版ゴジラ3部作を徹底解説・考察!ネタバレ注意
アニメ映画「ゴジラ」3部作で描かれたものとは?徹底解説・考察
1954年に開始した「ゴジラ」シリーズ第30~32作目にして、本家本元の東映制作による初の長編アニメーション映画「アニゴジ」こと、「GODZILLA」3部作。
2014年、東映はギャレス・エドワーズ監督のハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』公開に呼応して、同年12月に「ゴジラ戦略会議」を発足します。"全く新しいゴジラ"を描く2つの企画が起動し、2016年に実写版の新作『シン・ゴジラ』が公開され、社会現象となりました。
残るもう1つの企画こそ、2019年にハリウッド版の続編、2020年に『ゴジラVSコング』の公開を控える中で誕生したアニメ映画「GOZILLA」でした。2018年11月公開の第三章「星を喰う者」で完結を迎えましたが、SF要素を前面に押し出した内容や衝撃的なラストは、従来のファンの間で賛否両論を呼ぶことに……。
この記事では、アニメ映画「GOZILLA」3部作の基本情報を振り返りつつ、本シリーズが描こうとしたもの、テーマなどを解説&考察していきます。
※本記事にはアニメ映画「GOZILLA」3部作のネタバレを含みます。
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アニメ版「ゴジラ」シリーズには超豪華スタッフが集結
2017年11月、第一章「怪獣惑星」の公開によって「ゴジラ」シリーズは全く新たな領域、3DCGアニメーションの世界に足を踏み入れました。ゴジラを頂点とし、怪獣たちの惑星になった2万年後の地球を舞台に、ゴジラに戦いを挑む人間たちの物語が展開されます。
それに伴い、東映は2011年以降の劇場版『名探偵コナン』の監督を務めている静野孔文と、『シドニアの騎士第九惑星戦役』でも静野と組み、『亜人』、『BLAME!』で有名な日本屈指のCGアニメーター・瀬下寛之を監督に迎えました。
ストーリー原案・脚本は、『魔法少女まどか☆マギカ』や『Fate/Zero』などで知られ、希望が失われていく描写に定評がある虚淵玄(うろぶちげん)が担当。
映像はほぼ全編をポリゴン・ピクチュアズが、音楽は「VSスペースゴジラ」「ミレニアム」に続き、3度目の参加となる巨匠・服部隆之が手掛けます。実力派揃いの声優キャストが、旧作へのオマージュを盛り込みながらもハードSF色の強い、人間ドラマを軸とした全く新しい「ゴジラ」の世界観に命を吹き込みました。
「アニゴジ」は劇場公開後、動画配信サービスNetflixで全世界配信されました(現在も配信中)。それではシリーズを読み解くにあたって、まずは3部作のあらすじをおさらいしましょう。
アニゴジ第1弾『GODZILLA 怪獣惑星』のあらすじ
20世紀末、核実験などによる環境変化が原因で地球に出現した巨大生物「怪獣」と、他の怪獣をも駆逐する最強の存在"ゴジラ"。
地球の人類はその脅威によって、多大な被害と犠牲を強いられていました。人類は半世紀にわたる怪獣との戦争の中、2035~36年に地球を訪れた異星種族"エクシフ"と"ビルサルド"らと「地球連合」を発足するも敗走を重ね、異星への移住を計画するのです。
ついに2048年、中央政府の人工知能が選別した人類が恒星間移民船「アラトラム号」に乗り込み、11.9光年の彼方にある「くじら座タウ星e」へ旅立ちます。しかし、20年かけて辿り着いたタウ星eの環境は地球との差異が大きく、人類に適した環境条件ではないと判明。
移民の可能性が閉ざされ、物資も底を尽きかけた船内でハルオを中心とした「地球帰還派」が主流となり、アラトラム号は地球へ帰還することに。
前例のない長距離亜空間航行を成功させ、人類一行は地球にたどり着くも、現地では(相対性理論の影響で)2万年の月日が流れていました。ゴジラは未だ地球に居座るどころか、ゴジラを頂点とした生態系が構築され、未知の世界が広がっていたのです。
幼い頃にゴジラに両親を殺され、復讐心を募らせていたハルオはゴジラを倒す新戦術を立案し、地球を取り戻すための戦いが始まりました。
アニゴジ第2弾『GODZILLA 決戦機動増殖都市』のあらすじ
多くの犠牲を払い、「対ゴジラ戦術」によってゴジラを倒したと喜んだのも束の間、地球降下隊は"ゴジラ・アース"の出現で壊滅してしまいました。
自らも負傷し、意識を失っていたハルオを助けたのは、かつての地球人類の生き残りと思われる"フツア"と呼ばれる種族の少女ミアナでした。ユウコら残存部隊の一つと合流するも、ミアナと双子の姉のマイナから"神の卵"の意思を介して、「フツアの神もすでにゴジラに殺され、ゴジラを倒す手立てはない」と聞かされるのです。
残存部隊の者から退却案が出る一方、ガルグはマイナが使用した鏃に使用されている金属が、自律思考金属体"ナノメタル"だと気づきます。このナノメタルとは、2万年前に地球連合が開発した、対ゴジラ用最終決戦兵器"メカゴジラ"の構成素材です。
つまり、メカゴジラの建造プラントがまだ生きている、という可能性を示すものでした。
ハルオは双子の案内で富士山麓へと向かい、ナノメタルが2万年間増殖を続けて生じた巨大施設「メカゴジラシティ」を発見し、対ゴジラに光明が差しますが……。
アニゴジ第3弾『GODZILLA 星を喰う者』あらすじ
武装要塞都市「メカゴジラシティ」は壊滅し、ゴジラ・アース討伐計画も失敗。人類は再びゴジラに敗北を喫しただけでなく、ゴジラを倒す術すら失いました。
ハルオに至っては、ユウコを救うためにビルサルドの仲間を切り捨てるも、彼女の身体はナノメタルに侵され脳死状態に。宗教種族エクシフの大司教・メトフィエスは、ハルオがナノメタルに侵食されなかったのは神の加護であり、奇跡だと唱えました。
メトフィエスはハルオを"英雄"に祭り上げ、絶望の淵にいる生存者たちを信者に引き込んでいき、そんな彼に不信感を募らせるハルオ。一方、アラトラム号ではメカゴジラシティでのハルオの一件により、人間とビルサルド間の亀裂が表面化します。
やがて、エクシフたちが隠し続けた究極の目的のため、ゴジラ・アースに対抗する者がいなくなった地球に、金色の閃光を纏う"ギドラ"が降臨しました。
ゴジラ・アースvs.ギドラ、まさに超次元の戦いが幕を開けるのでした。
登場人物・キャラクター/声優キャスト一覧
ハルオ・サカキ/宮野真守
本作の主人公ハルオ・サカキは4歳のとき、アラトラム号が地球を飛び立つ直前にゴジラに両親を殺され、ゴジラへの復讐を誓う24歳の青年です。
20年もの間、ゴジラを倒すことだけを考え続けており、高い知能と強靭な肉体を持ちます。同胞思いで真面目かつ誠実な性格をしていますが、ゴジラ打倒にとらわれるあまり退却案に反発したり、単身で挑んだりと暴走する一面も。
ハルオを演じるのは人気声優の宮野真守です。代表作はアニメ『DEATH NOTE』主人公・夜神月、『機動戦士ガンダム00』主人公の刹那・F・セイエイなどがあります。
ユウコ・タニ/花澤香菜
ハルオが妹のように思う幼馴染であり、幼年学校時代の後輩であったユウコ・タニ。年齢は19歳で、アラトラム号内で誕生し、祖父ダイチに育てられました。
当初はハルオに対し一線を引いて接していたものの、実は彼に特別な思いを抱いており、先輩と呼んで慕うようになるのです。ビルサルドも一目置く優秀なエンジニア(パイロット)で、兵器の設計や改造、パワードスーツの操縦に関して天才的な能力を発揮します。
ユウコを演じる声優は花澤香菜。透き通った可愛らしい声とキュートなルックスから熱狂的なファンも多く、代表作には『化物語』の千石撫子、『STEINS;GATE』の椎名まゆりなどが挙げられます。
マーティン・ラッザリ/杉田智和
マーティン・ラッザリ(画像右)は、地球連合軍所属の環境生物学者で階級は少佐です。イタリア系のアメリカ人で、陽気で気さく、研究への好奇心も旺盛な楽天家。科学者として非常に優秀であり、変わり果てた地球の生態系を短期間で分析していきました。
こうした役割から、難解なSF要素や怪獣に関する設定を解説するキャラクターとして、特撮怪獣映画ではお馴染みと言える「怪獣博士」の役を担います。
マーティン・ラッザリを演じるのは人気声優・杉田智和。代表作は『涼宮ハルヒの憂鬱』の主人公・キョンや、『銀魂』の主人公・坂田銀時など。
アダム・ビンデバルト/梶裕貴
揚陸艇のスゴ腕パイロットであり、ホバー操縦士としても優秀なアダム・ビンデバルト。ほがらかで明るい性格の21歳の青年で、先輩のハルオに尊敬の念を抱いています。精神的に健全ですが、一度抱いた恐怖心を捨てることができず、神経質な面もあるようです。
そんなアダムの声を演じるのは人気声優・梶裕貴。『進撃の巨人』主人公のアレン・イェーガーや、『七つの大罪』の主人公メリオダスなどが代表作として挙げられます。
メトフィエス/櫻井孝宏
異星人エクシフであり、穏やかな性格をした軍属の神官・メトフィエス。美しい青年の姿をしていますが、実はエクシフは長寿人種であり、その年齢は50歳です。
エクシフは母星エクシフィカルスの滅亡後、放浪の末に西暦2035年の地球・ニューヨークへ現れた異星人で、教皇を中心に階級社会を築く宗教国家。メトフィエスはハルオの良き理解者となり、教団を率いる優れた人格と博愛主義から、人種を越えた信頼を集めていきます。
メトフィエスを演じるのは声優・櫻井孝宏。『コードギアス 反逆のルルーシュ』第二の主人公ともいうべきキャラクター・枢木スザクや、『おそ松さん』の長男・松野おそ松などが代表作に挙げられます。
ムルエル・ガルグ/諏訪部順一
異星人ビルサルドであり、中でも一際屈強な体格を有するムルエル・ガルグ。人間換算では35歳で、技術感として優れた能力を持つ、冷静かつ論理的な学者肌です。
ビルサルドは母星ビルサルディア連星がブラックホールに飲み込まれそうになり、母星を脱出した結果、イギリス・ロンドンへたどり着きました。エクシフには劣るものの長寿人種であり、地球人類に亜空間飛行や金属技術を伝え、主に技官や軍事教官として活躍します。
ムルエル・ガルグを演じるのは諏訪部順一。『テニスの王子様』の跡部景吾や、近年は『ユーリ!!! on ICE』のヴィクトル・ニキフォロフ役で知られています。
マイナ/上田麗奈
第2章から新たに登場する、人類の末裔フツアの双子の姉妹、姉のマイナ。冷静かつ警戒心の強い少女で、当初は多種族であるハルオらに厳しく接します。
フツアの民は2万年前の人類に比べ、遥かに原始的な生活様式をしている一方、旧人類を上回るほどの知識を持っていました。身体は鱗粉のような粉で覆われ、昆虫にした生態をしており、高い身体能力とテレパシーによる交信を習得しています。
マイナを演じる声優は上田麗奈。代表作には『ハナヤマタ』の関谷なるや、『南鎌倉高校女子自転車部』の舞春ひろみなどが挙げられます。
ミアナ/小澤亜李
マイナと同じく、フツアの神が生んだ卵を信仰する巫女の少女で、双子の妹・ミアナ。フツアの民らしく多種族に寛容で、負傷したハルオを介抱しました。無邪気にハルオを慕い、ハルオもそんな彼女を可愛がりますが、ミアナには重大な使命があるようで……。
フツアは深さ100メートルの陥没孔に築いた集落で生活しており、身体に纏う鱗粉はゴジラのG細胞や、ナノメタルの侵食を防ぐ効果を持ちます。
妹のミアナを演じる声優は小澤亜李。代表作は『月刊少女野崎くん』の佐倉千代や、『宝石の国』のベニトアイトなどがあります。
アニメ版「GODZILLA」3部作に登場する怪獣一覧
ゴジラ
「アニゴジ」におけるゴジラは、地球人類を壊滅寸前に追い込んだ「ゴジラ・アース」と、アースから細胞分裂した「ゴジラ・フィリウス」が登場します。
2万年後の地球の生態系は、ほぼG細胞由来の生物たちによって構成され、生物はゴジラと同質化する形で"眷属(けんぞく)"となっていました。ゴジラは植物を起源とした超進化生命で、2万年かけて環境と同一化しているので、地球そのものと呼んでも過言ではない存在でした。
進化の過程で多量の金属元素を取み、全身の体細胞が電磁石のコイルの機能を持つことから、強い放射線に加えて電磁波を発します。周辺の電装系に影響を与え、ジャミング能力を使えるだけでなく、電磁メタマテリアルによる「非対称性透過シールド」を展開。
多層泡状表皮単体でも、おそるべき頑丈さと再生能力を持つ上に、攻撃では凄まじい高加速荷電粒子ビームを放つ最強の怪獣なのです。
フィリウスも2030年時点のゴジラとほぼ同等の体格、能力を有しており、地球に帰還したアラトラム号はこちらをオリジナルだと誤認しました。
セルヴァム
2万年後の地球において、「翼竜型」と「ワーム型」の2種が存在し、"ワーム型は翼竜型に食われる被捕食種"という独自の食物連鎖を築いていました。
セルヴァムの身体の細胞は、地球原産生物とも異なる形状をしており、G細胞生物特有の金属に極めて似た構造であるのが特徴。獰猛なゴジラの亜種であり、ゴジラのようなビームこそ吐かないものの、群れを成して襲ってくるので非常に危険度の高い怪獣です。
翼竜型はパワードスーツの装甲はおろか、揚陸艇までも破壊する攻撃力に加えて、強靭な防御力と優れた飛行能力を持っています。
ギドラ
メトフィエスらエクシフが秘め隠してきた、宇宙に潜む絶対的な破壊の力にして、太古の時にエクシフの母星「エクシフィルカス」を破壊した高次元怪獣。
ゴジラの圧倒的な力を前に為す術なく絶望するハルオに対して、メトフィエスが「ゴジラ以上の脅威を知れば(恐れも)和らぐだろう」と、禁忌の名を明かしました。エクシフィルカス滅亡後も、幾千もの星々を超重力で飲み込み、滅ぼし続けているというのですが……。
モスラ
実は映画本編では名は語られず、フツアの民の守り神「フツアの神」として登場しました。数千年前に卵から孵った個体がゴジラと交戦するも敗れ、その遺骸が富士山周辺に落ちて生じた陥没孔と横穴が、現在のフツアの村の原型です。
居住区奥の神殿に安置された卵は、この時のモスラの腹にあったものでした。
第三章ではマイナの要請を受けて、精神世界に閉じ込められたハルオの前に黒塗りのシルエットで現れ、充分な活躍を見せました。フツアの身体の鱗粉はモスラに由来したもので、ゴジラの熱線を反射し、非対称性透過シールドへの干渉をも可能にするようです。
モスラに関しては、前日譚である小説「怪獣黙示録」および、「プロジェクト・メカゴジラ」内で特に詳しく解説されています。
メカゴジラとは?
メカゴジラとは、ビルサルドが地球連合に技術提供し、富士山麓の開発プラントにて製造された対ゴジラ用決戦兵器。ナノメタルという、意志を持って周囲の物体を吸収し増殖する自律思考金属体を装甲に使用し、2046年に完成しました。
高さ50m、総重量3万t、高度な量子コンピューターとAIを搭載しています。ナノメタルの特性である自在変形、自己修復、増殖機能を活かし、破損箇所の瞬時復旧も可能にする設計に。しかし本編以前、富士裾野決戦に投入される予定だったメカゴジラは、何故か最終起動に失敗し、ゴジラによって破壊されました。
2万年後の地球では、残存する頭部パーツがナノメタルを自己増殖させ続け、その末に巨大都市「メカゴジラシティ」を形成します。劇中時点で直径14mの広範囲にわたり、モスラの鱗粉同様に、粒子状のナノメタルを散布してゴジラの熱線を反射することも可能。
内装・外装ともに変貌し、対ゴジラ・アース用の要塞へと作り変えられ、パワードスーツを元に有人機動兵器「ヴァルチャー」の開発も進められました。
【ネタバレ注意】物語の核心!エクシフの目的とは
【ネタバレ注意】ギドラが無敵なのはなぜか。その正体とは
ゴジラをも凌ぐ怪獣ギドラは、エクシフにとっての「神」「宇宙知性」そのものにして、教団の信仰の対象である黄金の終焉です。
「王たるギドラ(King Ghidorah)」などの多くの異名を持ち、3つの首からなる異形の姿を取る、高次元エネルギー生命体。時空の狭間にある異空間に潜んでおり、本作の世界観では人類・文明の飽くなき繁栄によって怪獣(ゴジラ)が出現し、怪獣を憎む英雄が鍵となって降臨したギドラが星を滅ぼす、というループになっていると見られます。
ギドラは異次元の法則でこの宇宙に干渉し、次元が歪むほどの重力制御能力があるので、地球の法則に縛られるゴジラでは歯が立ちません。ゴジラの攻撃は物理もビームも当たらないのに、ギドラの方は防御無視で攻撃が通る、という図式になるのです。
データ上でも超常現象が起こり、アラトラム号のように機械の観測で自死を悟ってしまったり、通信中の人がすでに死んでいたりと、時間の因果関係も曖昧に。とは言え、完全体で召喚されない限りギドラは無敵ではないようで、最後はゴジラの熱線で倒されました。
これは召喚の途中で、ハルオがメトフィエスの目に宿るエクエフの神器を砕いたために、ギドラが地球の法則と同化してしまったためでした。
人間はゴジラに勝つことはできたのか?
何をもって勝利とするか、にもよるでしょうが、"ゴジラを倒せたのか"という点では人類はゴジラに完全敗北しました。ゴジラを倒しても、結局はギドラの手で地球は滅ぼされるので、ターゲットを変えるのは仕方のないことでした。
ハルオは最後、活動状態のナノメタルを宿すユウコを連れて、再起動したヴァルチャーに乗り込みゴジラに特攻する負け戦を選びます。
ここでハルオの精神的な戦いがあって、自らの意志で憎しみの連鎖を断ち切り、「ゴジラへの復讐心に打ち勝った」と捉えられるのでは?残ったフツアの民は憎しみを持たず、ゴジラを天災としか考えていないので、"怪獣としての"ゴジラを倒したとも解釈できます。
エクシフの滅び=幸福という信仰ではなく、ゴジラを怪獣たらしめる文明再興の萌芽、ギドラを呼ぶ鍵となる自身の命を摘むことで、フツアの"命を繋げば勝ち"という思想を、より広い意味で実現したと言えるでしょう。ハルオが言い遺した、「勝ち続けるだけは獣で、人間は負け戦を選べる」と言う台詞に、一つのテーマがあるのではないでしょうか?
マイナとの間に子を成し、"その先の春"を守るため、人間として何が出来るのか……。
最後のハルオの決断は、命を未来に繋いでいくこと、過ちを繰り返し滅びゆく運命をも凌駕する人間の意志の力や希望の象徴かもしれません。
アニメ版「ゴジラ」3部作は壮大なテーマを考え、味わう哲学的な作品
「アニゴジ」は従来の怪獣プロレスを捨て、人類の進化や宗教・価値観、文明進歩の功罪、怪獣の定義など初代から続く「ゴジラ」のテーマを深く掘り下げました。
ゴジラという存在をどう考え、各種族の思想や最後のハルオの行動をどう捉えるかによっても、作品の解釈はそれぞれ違うものになるかもしれません。初のアニメ映画という試みで、複雑かつ哲学的なテーマを挑んだのは、「ゴジラ」の新たな一歩にもなったことでしょう。
モスラの紹介で先述したように、小説版と前日談に当たる小説も発売されています。
どちらも原案・脚本の虚淵玄が監修しているので、「アニゴジ」の世界観をより深く読み解くために、ぜひチェックしてみてくださいね!