【レインボーWeek】恋愛感情がないのも、性的欲求がないのも“普通”だって理解してもらいたい
【ひとみさん】飲食業/福岡市在住/30代
KBC「レインボーWeek」のCMに出演。アセクシャルでありアロマンティック。趣味は水彩画、イラスト、カラオケ、散歩、カフェ巡り(和カフェが好き)、美術館巡り。自作の絵を販売することが夢。
「LGBTQ+」は多様な性を相称した言葉です。女性として女性を好きになるレズビアン(L)、男性として男性を好きになるゲイ(G)、女性も男性も好きになるバイセクシャル(B)、体の性と心の性が異なるトランスジェンダー(T)、自分の性のあり方がわからない、もしくは決めていないクエスチョニング(Q)、そしてLGBTQ以外のさまざまな性を+(プラス)と呼びます。
福岡市在住のひとみさんは、+に含まれるアセクシュアル(他者に対して性的に惹かれない)でアロマンティック(他者に対して恋愛感情を抱かない)です。恋愛感情がわかず、性的な欲求も感じません。
元々パーソナルスペースが広く、スキンシップなどの行為が苦手。さらに性被害にあったことや、周りの人に話しても受け入れてもらえなかったことで、その傾向が強くなったといいます。
「20代のころは男性と付き合ったこともありましたが、何が楽しいのかまったく分からなかった。相手にただ合わせるだけで、耐えられませんでした」。
このときひとみさんは、改めて自分は恋愛自体が苦手なのだと気づいたそうです。
仲のいい友人や姉にはカミングアウトをして理解されましたが、両親には結婚・恋愛に興味がないと話しています。「諦め半分ですが、受け入れてくれています。」
ひとみさんが一番もどかしさを感じるのは、周りの人に恋愛に関する話を何度話しても理解してもらえないときだといいます。
「自分は恋愛・結婚に興味がないとはっきり伝えても『まだいい人に出会えてないだけ』とか『人生に一度は経験してみないと』って言われるんです」。
ひとみさんは、虫が苦手な人がいるように、恋愛が苦手な人もいることを理解してほしいと切実に語りました。『恋愛しなよ』と私に言うのは、虫が苦手な人に『いつか虫が好きになれるよ』『虫を触ってみたら慣れるんじゃない?』と言っていることと同じなんです」。
想像力が欠けた言葉に傷つきながらも、誠実に向き合い続けてきたひとみさん。
「伝えたときに、理解とまではいかなくても『人それぞれだよね』『そういう人もいるんだね』と、そのまま受け入れてくれることが一番嬉しいんです」と胸の内を明かします。
「LGBTQ+の中でもアセクシュアルはまだ知られてないので、もっと認知されるように発信していきたい」とひとみさん。「もし同じアセクシュアルで悩んでいる若者や子どもがいたら、私も同じセクシュアルの人と会って話したいと思っているから『ひとりじゃないよ。ひとりで悩まないで』と伝えたい」。そう話すひとみさんは、すべてを包み込むような微笑みを浮かべていました。