和と洋が奏でる、美味しさの化学反応 防府市「洋食堂なか田・定食堂なか」
今回訪れたのは、防府市田島に7月に移転オープンした「洋食堂なか田」。
そして、新たに併設された「定食堂なか」です。
ここで味わえるのは単なる、洋食・定食ではありません。
和食の繊細な味わいに洋食のエッセンスを加え、洋食にはさりげなく和のアクセントを添える。
まさに“和と洋の融合”が楽しめる、特別な料理が待っています。
「なか」という名前に込めた地域への想い
お店の名前を聞いたとき、多くの方は店主のお名前である中田佑輔さんの“中”から取ったと思うかもしれません。
しかし、中田さんによると、もうひとつ大切な意味があるといいます。
「この地域が“中関”で、さらに細かくいうと“中新前町”っていう地名なんですよ。だから、“中”を取って“なか”にしました。」
店内には「中」の字をモチーフにしたロゴマークが掲げられ、地域への思いを象徴しています。
彩り豊か、和と洋の融合!?
まずご紹介するのは、「定食堂なか」で味わえるイクラとサーモンの幽庵焼き定食です。
・イクラとサーモンの幽庵焼き定食(ご飯・豚汁・副菜3品・サラダ・漬物付き) 1,800円
ふっくら焼き上げたサーモンの上には、宝石のように輝くイクラがたっぷり。
醤油ベースのしっかりとした味わいの中に、ほんのり爽やかさが広がります。
その秘密は、和と洋をやさしく溶け合わせた特製の漬けダレにあります。
和食の漬けダレといえば、しょうゆ・みりん・酒にユズやカボスなどの柑橘を加えるのが一般的です。
しかし、「定食堂なか」ではなんと、レモンを使用しています。
レモンを加えることで、しっかりとしたタレの味わいの中に、爽やかさがふんわりと広がります。
さらに、2日間じっくり漬け込むことで、タレのコクとレモンの爽快感がちょうどよく馴染む仕上がりになっているのです。
切り身は焼きすぎないようにオーブンでじっくり熱を加えるのが、ふっくら食感に仕上げるコツだそうです。
サーモンにはサツマイモとブロッコリーが添えられ、イクラがたっぷり乗ります。
一口食べると、和と洋がほどよく溶け合い、サーモンの旨みとイクラのプチッと食感、レモンの爽やかさが口いっぱいに広がります。
付け合わせのサツマイモにイクラをのせて食べるのもおすすめです。
イクラの塩味がサツマイモの甘みを引き立て、プチッ・ホクッ・サクッとした食感の楽しさも味わえます。
まさに、おいしさの化学反応といえる一口です。
定食堂なかのもうひとつの魅力は、豊富な小鉢。
目にも美しい小鉢がずらりと並びます。
この日は、キュウリと蒸し鶏と梅のマリネや、自家製きんぴらの小鉢が並びました。
定食全体で、さまざまな味の“化学反応”を楽しむことができます。
7時間煮込みの絶品!口の中でほどけるほろほろ煮込み
続いてご紹介するのは、洋食堂なか田の長年の看板メニュー「牛ほほ肉のほろほろ煮込み」です。
・牛ほほ肉のほろほろ煮込み(副菜3品・野菜のヴェルーテ・サラダ・ライスorパン付き) 3,000円
国産牛ほほ肉をじっくり7時間煮込みます。
ポイントは、あまり沸騰させずにゆっくり火を通すこと。これで驚くほど柔らかく仕上がります。
牛ほほ肉は、タマネギ・ニンジン・セロリと一緒に煮込まれ、野菜のうまみをたっぷり吸収します。
さらに自家製デミグラスソースに入れ、じっくりと仕上げます。
このソースは、以前より野菜の旨みを前面に出し、誰でも楽しめる優しい味わいになっています。
さらに、このデミグラスソースには和のテイストも隠されています。
「定食堂なか」で作る照り焼きチキンの肉汁を加えることで、ソースに深い“和のコク”がプラスされているのです。
お肉そのものの旨みも抜群ですが、何より特製デミグラスソースとの相性が絶妙です。
お箸を入れるとほろりと崩れ、口の中でとろけます。
愛情と時間をかけてこそ生まれる食感と、煮込み料理ならではのとろける味わい。
この仕上がりは、「洋食堂なか田」自慢の一品です。
地域の味でつなぐ、豊かな食文化
「洋食堂なか田・定食堂なか」の料理が地域に根付き、
地域の食文化をより豊かにすることが中田さんの夢だそうです。
中田さんは、「本当に美味しいものを小さいころから食べることで、食文化の発展につながる」と願っています。
「子どものときに両親に連れて来てもらったお店に、大人になっても自分の子どもと一緒にまた来たいと思えるお店にしたいですね」と、中田さんは語ります。
一度味わえば虜になる料理の数々。ぜひ足を運んで、その魅力を体験してみてはいかがでしょうか。
★今回の記事は2025年10月7日放送、yab山口朝日放送『You!どきっ』のコーナーを記事化したものです。