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【倉敷市】【12/21(日)まで】「やべみつのりと矢部太郎〜『ぼくのお父さん』のふるさと・倉敷」〜 紙芝居の原画や漫画はもちろん、現代にも通じる「子育て日記」に注目

倉敷とことこ

【12/21(日)まで】「やべみつのりと矢部太郎〜『ぼくのお父さん』のふるさと・倉敷」〜 紙芝居の原画や漫画はもちろん、現代にも通じる「子育て日記」に注目

倉敷で育った紙芝居・絵本作家のやべみつのりさんを知っていますか。

『かばさん』『ひとはなくもの』などの作者で、大阪生まれ・倉敷育ちという経歴の持ち主です。そして、息子の矢部太郎さんは、芸人・俳優・漫画家として活躍し、漫画『大家さんと僕』で第22回手塚治虫文化賞短編賞を受賞しました。

そのような親子のコラボレーション特別展「やべみつのりと矢部太郎〜『ぼくのお父さん』のふるさと・倉敷」が、倉敷市立美術館で2025年12月21日(日)まで開催中です。

企画を担当した倉敷市立美術館の学芸員の思いとともに紹介します。

特別展「やべみつのりと矢部太郎〜『ぼくのお父さん』のふるさと・倉敷」について

「やべみつのりと矢部太郎〜『ぼくのお父さん』のふるさと・倉敷」は、倉敷市立美術館で2025年10月17日(金)から12月21日(日)まで開催されている展覧会です。

2024年に開催された「まるごと馬場のぼる展」のように全国を巡回する展覧会ではなく、地元マスコミとタイアップした自主企画展は18年ぶりで、準備には2年半もの期間を要したそうです。

展覧会の概要は以下の画像を確認してください。

展示室のようす

展示は大きく二つに分かれています。

・やべみつのりさんの紙芝居や絵本の原画
・矢部太郎さんの漫画作品

漫画『大家さんと僕』も展示されているため、閲覧可能です。

個人的に気になったのは、やべみつのりさんの子育て日記です。41冊ある子育て日記で、長女光子さんを描いた「光子ノート」38冊、長男太郎さんを描いた「太郎ノート」3冊があります。

今でこそ父親による子育ても珍しくありませんが、矢部太郎さんが子どもだった1970〜80年代には、まだ珍しかったはずです。珍しいから記録を残したわけではなく、自然体の絵日記を見ていると心が温まりました。

「光子ノート」については、38冊のなかから厳選した内容が収められた書籍があり、特別展で販売されています。992ページもあり、まるで辞書のような厚さです。

販売されている「光子ノート」

その他にも、特別展に関連するイベントがいくつか企画されています。

企画担当・倉敷市立美術館 学芸員インタビュー

倉敷市立美術館の学芸員 山吹知子さん

特別展「やべみつのりと矢部太郎〜『ぼくのお父さん』のふるさと・倉敷」を企画した、倉敷市立美術館の学芸員 山吹知子(やまぶき ともこ)さんにお話を聞きました。

──特別展を企画した経緯を教えてください

山吹(敬称略)──

きっかけは、私がもともと矢部太郎さんの漫画のファンで、アニメの『大家さんと僕』を見たときに、あらためて太郎さんを検索したところ、お父様(やべみつのりさん)が倉敷で育ったかただとわかり、興味を持ったんです。

また、みつのりさんは紙芝居作家ということで、紙芝居にも興味を持ちました。
コロナ禍以降、デジタル化や人との接触を避ける流れが強まるなかで、電気も使わず、絵本の読み聞かせとも異なる、時間と空間をともにして物語を共有する紙芝居というメディアが、私にとっては新鮮に映ったんです。

また、お父様が家にいて育児をされていたときの家族日記の存在を知りました。

太郎さんと私は同世代(1970年代生まれ)なのですが、私にとって父親はいつも怖くて、気をつかって接する存在でした。このため、「こんなお父さんが世の中にいるんだ」と思ったときに、少し救われるような思いがあったんです。

お二人の作品も素晴らしいですが、矢部家の家族のあり方、そうした特徴にも光を当てたい。また、倉敷に縁があるかたなのに市民にあまり知られていないので、「倉敷市民にも知ってほしい」そういった思いで企画を立ち上げました。

──特別展の実現までには、どのくらいの期間がかかったのでしょうか。

山吹──

お二人にお声がけしたのは、2023年6月です。
翌年の展覧会の予定はだいたい決まっているので、2年後を目指して展覧会をさせてもらいたいという話からスタートしました。

話をすると、みつのりさんはすべての資料を残していらっしゃるんですが、太郎さんはすべてデジタルデータであることがわかりました。

このため、二人の作品のバランスをどうするのか、家族日記(光子ノート・太郎ノート)は目玉になるけど、全ページ出せるわけではないので、どのように紹介するかなどを、お二人と打ち合わせを重ねて準備し、約2年半かけて実現しました。

光子ノート

──展示会の見どころを教えてください。

山吹──

まず、紙芝居の原画が見られることはあまりないので、注目してほしいです。このため、紙芝居の原画は最初に展示しています。

次に家族日記(光子ノート・太郎ノート)です。
これは作品というより、矢部家のプライベートな資料なのですが、見応えがあるため今回の展示に含めています。

太郎さんがこの日記を読んだことで、『ぼくのお父さん』という漫画が生まれました。『僕のお父さん』でお父さんの子育てにはじめて光が当たり、私もそれを読んで知ったので、展覧会でも表現したいと思いました。

このため、太郎さんの活動を取り上げる際も、常にお父様との関わりをピックアップし抜粋しています。

それぞれ別々の活動がありながらも、互いに深くつながっています。
特に太郎さんは、常にお父様を尊敬し、もっと評価されるべきだという思いを持っていらっしゃるように感じましたので、その思いが伝わるような展示構成にしました。

そのあたりを見ていただけたらなと思います。

──特に倉敷市民の皆さんには、この展示を通じてどのようなことを感じてほしいですか。

山吹──

この展示は、いわゆる子ども向けというわけではなく、お子様から子育て世代、さらには認知症などの課題を意識し始める世代にも響く内容を含んでいます。

特定の二人に焦点を当てていますが、多角的に捉えられる要素が詰まっています。

ご来場いただいたかたご自身が、これから大切にしたい人やこれから向き合わなくてはならない課題について、ここで少し考えてみたり、ヒントを得ていただいたり。また、もし気持ちが重くなっていたら、ここで少し和やかな時間を過ごしていただけたら嬉しいです。

──来場を検討している読者へ、メッセージをお願いします。

山吹──

本展は当館のオリジナル企画で巡回はしませんので、ここでしか見られない展示になります。

図録としてすべてを網羅した本も今回ご用意していませんので、ぜひ展示会場で直接お二人の世界観、そして家族の自由なあり方に触れていただきたいです。

2か月間の開催期間を設けていますので、この貴重な機会にぜひ倉敷市立美術館へ足をお運びください。

おわりに

正直なところ、やべみつのりさん、矢部太郎さんともにあまり知らなかったのですが、作品単体よりも「矢部家のありかた」に興味を持ちました。

現代では、たとえば「お母さんが外で働き、お父さんが家で仕事や家事をする」といったライフスタイルも増えてきました。アーティストではないですが、自分自身がそれに近いライフスタイルを選択していることもあり、親近感を持ったんです。

美術館の展覧会というと「展示作品」ばかりに注目しがちですが、それだけではない魅力がある展覧会だと思います。

倉敷市立美術館のオリジナル企画ということで、今後他の地域へ巡回する予定もないそうです。

興味のあるかたは、足を運んでみてはいかがでしょうか。

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