横浜の経済成長を支えた運河。企画展「運河で生きる~都市を支えた横浜の“河川運河”~」が、4月13日まで『横浜都市発展記念館』で開催中
東京湾を通じて、横浜から東京や三浦半島、房総半島とつながる一大輸送網を形成した“河川運河”。その役割を振り返る企画展「運河で生きる~都市を支えた横浜の“河川運河”~」が2025年4月13日(日)まで、神奈川県横浜市の『横浜都市発展記念館』で開催されている。
“河川運河”の形成から衰退、復活に至る歴史をひもとく
開港後、港湾都市として発達し、多くの河川が流れていた横浜。これらの河川には、自然河川の大岡川のほか、吉田新田の開発によって開削された中村川や、開港後の都市の開発によって整備された新吉田川など、用水路や舟運路として人工的に造成された河川も含まれていた。
こうした自然河川と人工河川からなる“河川運河”は、東京湾を通じて一大輸送網を形成した。その輸送網で活躍したのが、河川を行き交う艀(はしけ)や汽船だった。輸送網を通じて、“河川運河”沿いには問屋・卸売業や造船業、製材業などさまざまな商工業が進出し、戦前・戦後の横浜の経済成長を支えていったという。
広報担当の松本さんは「企画展『運河で生きる』は、当館では横浜の河川運河に焦点をあてた初の展示です。開港以降、横浜の市街地では河川運河の整備・開削が進み、地域経済を支える舟運網が形成されました。展示では、開港期から現代に至るまでの河川運河の変化や、運河で活躍した船や人の様子を、地図や写真、模型などさまざまな資料から紹介します」と見どころを語ってくれた。
4章に分け、貴重な資料で運河の歴史をたどる
都市横浜の成長を支える重要なインフラであった“河川運河”は、高度成長期にかけて、輸送革新や水質汚染といった問題に直面。都市計画の開発の対象となり、1960~70年代以降、その姿を大きく変えていった。しかし衰退するかと思われた“河川運河”は開発をめぐる議論のなかで、市民の生活を支える親水空間として復活していく。
こうした性格を持つ“河川運河”の形成にはじまり、成長、衰退から復活に至る景観の変化まで、そこで生きた人々の歴史を、4章に分けて紹介。横浜のみならず、東京や千葉に残る資料で幅広く紹介する。
河川運河についてより深く知る、関連企画も充実
調査研究員による企画展の見どころ解説
3月1日(土)・15日(土)・4月12日(土)・13日(日)各日14時~・3月15日(土)11時~の各回40分程度、『横浜都市発展記念館』企画展示室にて、調査研究員による見どころの解説が行われる。参加費無料(要観覧券)。事前申し込み不要。
連続講座「資料から読み解く都市を支えた横浜の“河川運河”」
3月2日(日)・16日(日)の各日14時~15時30分、『横浜都市発展記念館』6号室にて連続講座「資料から読み解く都市を支えた横浜の“河川運河”」が開催される。定員は先着100名、参加費各回500円。また2月2日(日)・16日(日)に開催された連続講座は有料配信中(3月2・16日開催分も配信予定)、各回500円。申し込みは公式HPイベント申込ページ(https://teket.jp/g/3h8cn02vru)より。
開催概要
「運河で生きる~都市を支えた横浜の“河川運河”~」
開催期間:2025年1月18日(土)~4月13日(日)
開催時間:9:30~17:00(入館は~16:30)
休館日:月(祝の場合は開館、翌平日休)
会場:横浜都市発展記念館(神奈川県横浜市中区日本大通12)
アクセス:東急電鉄東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線日本大通り駅すぐ、JR・地下鉄関内駅から徒歩10分
入場料:一般800円、市内65歳以上・小中学生400円
※毎週土曜は小・中学生、高校生無料。
【問い合わせ先】
横浜都市発展記念館☏ 045-663-2424
公式HP http://www.tohatsu.city.yokohama.jp/feature.html
取材・文=前田真紀 画像提供=横浜都市発展記念館
前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。