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海で泳ぎ続けて助けを求めた犬 クルーズ船乗客が発見し“奇跡”の救助(米)

Techinsight

米フロリダ州の海でボートに乗っていたオーストラリアン・キャトル・ドッグの“エレナー”。飼い主がほんの一瞬目を離した際に行方不明となってしまった(『New York Post 「Pooch lost at sea for an hour is found dog paddling for her life more than a mile offshore」(WINK-TV)』より)

米フロリダ州のメキシコ湾沖で先月28日、ディナークルーズのために出航していた船が、海上で必死に泳ぐ犬を救出した。この犬はボートに乗っていた飼い主と一緒に遊んでいたところ、突然姿を消して行方不明になっていた。偶然にもクルーズの乗客が海面に頭を出して泳ぐ犬の姿を発見し、救助に至った。二度と愛犬に会えないかもしれないと絶望していた飼い主は「本当に奇跡です」と述べ、愛犬との再会に感極まったことを米ニュースメディア『New York Post』などが伝えた。

【写真】海を1時間以上も泳ぎ続けて助けを求めていた犬

米フロリダ州リー郡に住むキャサリーン・ベイカーさん(Kathleen Baker)は先月28日、同州南西部のサニベル・コーズウェイを訪れ、ボートに乗って波に揺られて楽しんでいた。しばらくすると、サニベル橋の近くに差しかかり、橋の下を通るために交通状況などを確認する必要があった。一緒に来ていた愛犬でオーストラリアン・キャトル・ドッグの“エレナー(Eleanor、2)”と遊んでいた手を一度止めて橋をくぐったが、その直後にエレナーの姿が見えなくなった。

キャサリーンさんは、当時のことを「ほんの1分ほどのことだったと思います。振り返ったらエリー(エレナーの愛称)がいなくなっていたんです」と明かしている。

キャサリーンさんは夫ベン・ベイカーさん(Ben Baker、72)と一緒に、ボートをジグザクに進めながら必死にエレナーを捜した。しかし約2時間経っても見つからず、ボートの燃料が少なくなり、日も暮れ始めてしまったので、キャサリーンさんたちは諦めるしかなかった。

キャサリーンさんたちは「二度とエリーに会えないと思いました」と失意に暮れていたが、別の場所でドラマが起きていた。

同日、ディナークルーズのために「サニベル・ハーバー・プリンセス号(Sanibel Harbor Princess)」が海上を進んでいた。エレナーが行方不明になってから約1時間後、船がフォート・マイヤーズ・ビーチから約1.5マイル(約2.4キロ)離れた場所に差し掛かった時、乗客の1人が海面に小さな黒い影を見つけ、ちょっとした騒ぎになった。

船長テリー・ジョンズさん(Terry Johns)は、「乗客たちが指をさす方に目を向けると、水の中に何かが見えました。それから『犬だ! 犬だ! 犬だよ!』という声が聞こえたんです」と当時を振り返る。

乗客が見つけたのは、迷子になったエレナーの姿だった。行方不明になってからエレナーは1時間以上も必死に泳ぎ続け、助けてくれる人を見つけ出そうとしていたのだ。当時の様子を撮影した写真には、海面から頭だけを出して泳ぐ小さなエレナーの姿が写っていた。

エレナーは船を追いかけるように泳いでいたと言い、テリーさんは船を停止させ、エレナーを海から救出した。「犬が無事なのかどうか定かではなかったので、救助された犬を見て乗客はみんな大喜びでしたよ」と、テリーさんは乗客たちの興奮ぶりを説明した。

実はこの日、サニベル・ハーバー・プリンセス号は予約数が少なかったことから、出航が中止になる可能性があった。それでも出航したおかげで、エレナーの命が救われた。

のちに船員のアレックス・ラニアーさん(Alex Lanier)が、エレナーの飼い主を見つけ出すために動いた。エレナーにはマイクロチップが埋め込まれていたが、上手く読み取ることができなかったので、飼い主の情報が分からずに困っていた。

しかしエレナーの救出劇がニュースになり、テレビで放映されていたのを、キャサリーンさんとベンさんが目にした。「エリーが見つかるまでの18時間、人生で一番泣きましたよ」と話すベンさんは、テレビに映るエレナーの姿を見てすぐに電話をかけた。

そしてキャサリーンさんとベンさんは、エレナーが保護されている場所へ向かうため暴風雨の中を40分かけて車を走らせ、無事にエレナーと再会した。

ベンさんは、「エリーが保護されていた場所には小さな農場があったので、エリーは走り回って楽しそうに過ごしていましたよ。エリーの姿を見た時、ただ感謝の気持ちでいっぱいでした。本当に奇跡ですよ」とのちに語っている。

エレナーも、キャサリーンさんとベンさんの姿を見ると尻尾を大きく振って再会を喜んでいたという。キャサリーンさんは、「エリーは泳ぎが得意で、そのおかげで今回見つけてもらえたのだと思います。ハッピーエンドになりましたが、最悪の悪夢でした」と話しており、これから海で遊ぶ時はエレナーにライフジャケットを着せることを誓った。

なお、沿岸警備隊として33年のキャリアを持つテリーさんは過去に一度、海で犬を救助した経験があった。その犬は約10年間マスコット的な存在として可愛がられていたと言い、思い出深い出来事だった。そして今回、テリーさんはサニベル・ハーバー・プリンセス号の船長を務める最後の航海だったと言い、エレナーのおかげで忘れがたい日になったそうだ。

ちなみに今年6月には、米ミシシッピ州の湖で釣りをしていた男性たちが38匹の犬を救出し、犬でいっぱいになったボートを捉えた写真には驚きの声が集まっていた。

画像は『New York Post 「Pooch lost at sea for an hour is found dog paddling for her life more than a mile offshore」(WINK-TV)』より
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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