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秋田県大仙市『イーストモール』~地元のいいものがまるごとそろうスーパー。「タカヤナギ」の甘~い誘惑~

さんたつ

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地元では「タカヤナギ」と呼ばれているスーパー。『イーストモール』には「まるっと秋田」というコーナーがあり、ここに行けば秋田のいいものが手に入るので、旅の途中にぜひ立ち寄りたい。超甘口を愛する、ご当地の味に驚きます。

イーストモール

今回のゴー!ゴー!

『イーストモール』(秋田県大仙市)

食品スーパー『グランマート』が入る、ショッピングモール『イーストモール』。

特筆すべきは、地元のよいものをそろえた「まるっと秋田」コーナーの充実。地元では親しみを込めて「タカヤナギ」と呼ばれています。

その歴史は古く、現在の大仙市で菓子卸業として創業したのが明治43年(1910)のこと。その後、商店から衣料品店、食品スーパー「タカヤナギ」、そして百貨店「タカヤナギ」に発展。親子3代でタカヤナギで買い物するという大仙市民のライフスタイルがありました。

1995年、『イーストモール』に百貨店のノウハウが引き継がれ、市内随一のショッピングモールが誕生。食品スーパー『グランマート』と複合施設『イーストモール』の運営会社名として「タカヤナギ」が残りました。いまも地元で「タカヤナギ」と呼ばれるのは、むかしから信頼を置いてきた名だからでしょう。

秋田人気ナンバー1の万能つゆ「味どうらくの里」は、同じ市内の東北醤油製。
「地元食を集めた『まるっと秋田』は、 日常食から贈答品まで」と後藤正樹店長。「2023年デビューの秋田米『サキホコレ』の新米、おいしいですよ」。

しかし2000年代に入ると、地元の人々に愛されてきた同社にも危機が訪れます。

全国展開の大手スーパーが、ついにのどかな大仙市に進出。そこで、自分たちにしかできない「地産地消の広場」という新しい売り場を設置します。「うちだけでなく地元が元気になる」がテーマの、現在の「まるっと秋田」コーナーの前身です。

「まるっと秋田」で扱う商品は、バイヤーが新しく開拓したものもありますが、「地産地消の広場」時代から納品してくれている農家さんや地元生産者のみなさんが協力してくれることで、ユニークかつ圧倒的な地元商品で埋めつくされた、独自の売り場を作り出しているのです。このコーナーだけで買い物が済んでしまうぐらいの品ぞろえで、他の追随を許しません。

それにしても、秋田の食は独特です。お気づきでしょうか?

今回紹介した商品のほとんどが、超甘口商品であるということを。ぜひ、自分の舌で確認してみてくださいね。

発酵食が多く、醸造業が盛んな秋田の銘酒。「雪の茅舎(ぼうしゃ)」(上)と「出羽鶴」。

県民が愛する地元の定番品

「秋田名物 八森ハタハタ 男鹿で男鹿ブリコ♪」。日本のラップ的な『秋田音頭』に登場する名物はもちろん、秋田の新しめなソウルフードもそろいます。

米飯と麴で漬ける、発酵食・ハタハタ寿しは秋田の正月に欠かせない保存食。いまはスーパーでいつでも。「はたはた寿し」(高橋魚店)。
県内スーパー冷蔵コーナーの必須アイテム。食後でもペロリといける「バナナボート」(たけや製パン)。
「おでん」(仙岩峠の茶屋)。超甘口のおでんは、田沢湖近くの仙岩峠の茶屋名物だ。
なんでも寒天で固めてしまう、県南・県央の食文化が生んだ郷土食「寒天」。ポテトサラダの「サラダ寒天」や、かき玉汁を固めたような「玉子寒天」といった総菜系でもかなり甘い。

地元・大仙市名店の味を

『グランマート』の本拠地・大仙市は「大曲の花火」で全国的に有名な地域。県のほぼ中央に位置する交通の要衝でもある一方で、美しい自然豊かな田園風景が広がります。そんな地元大仙の日常食をどうぞ。

『イーストモール』店限定品。地元の「神宮寺観光果樹園」製「比内地鶏卵を使ったかためのプリン」と「(同)なめらかプリン」、季節商品「フルーツプリン シャインマスカット」。
大仙市周辺では冠婚葬祭に欠かせない、豆腐と白身魚のすり身を甘く蒸しあげた伝統のお菓子。本来は一本の棹(さお)菓子だが、日常用も。「とうふかまぼこ」(ひと口サイズ・トラ皮/つじや)。
八百屋さんが手焼きする地元名物「芋きんつば」(丸徳商店)。
白あんファンが多い、バラ買いもできる手づくり銘菓「俵あげまん」(白あん・黒あん/武藤菓子店)。
なすの漬物「花ずし」は 地元農家さんコーナーで。

「まるっと秋田」に注目!

秋田のいいものを集めたコーナー「まるっと秋田」の人気トップ5を紹介! 左から「しとぎ豆がき」「佐藤養助稲庭うどん」「いぶりがっこのタルタルソース 燻」「金のいぶりがっこ」。そして箱買い必至の「味どうらくの里」(2枚目の写真)。

『イーストモール』の詳細

イーストモール
住所:秋田県大仙市戸蒔錨77-1
/営業時間:9:00~21:00(食品売り場)/定休日:無/アクセス:秋田新幹線大曲駅から車7分

取材・文・撮影=菅原佳己
『旅の手帖』2024年1月号より

菅原佳己
スーパーマーケット研究家
執筆やテレビ出演、講演活動をこなしながら、全国のご当地スーパーを行脚。埋もれた日常食の発掘とその魅力を伝えている。著書に『47都道府県 日本全国地元食図鑑』(平凡社)など。

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