朝鮮王朝一の「破壊王」イ・バンウォンの生涯を描いた「時代劇」韓国ドラマ3選
朝鮮王朝第3代国王イ・バンウォンをご存じだろうか。韓国で有名な歴史上の人物だ。
ハングルの創製をした第4代国王世宗(セジョン)の父で、朝鮮の建国に尽力した偉大な君主として知られているが、太平の世を守るためにどこまでも冷酷だったそう。
王権を脅かす存在は、たとえ功臣や外戚であっても容赦なく粛清したと言われており、妻である元敬(ウォンギョン)王后のミン一族も例外ではなく、外戚勢力一掃により4兄弟を失くし、家門が滅びることに。イ・バンウォンが“殺し屋”に留まらず、“破壊王”と言われているゆえんだ。
朝鮮王朝には、非情な王が他にもいたと言われているが、彼はその中でも突出しており、時代劇の主人公として取り上げられる機会が多い。『赤い袖先』(MBC/2021)をはじめ、各作品で知られる正祖(チョンジョ)に劣らぬ頻度で登場する。
歴史はその性質上、記録がそこまで詳しく残っておらず、各出来事の契機と結果のみが注目されがちだが、ドラマは人物の心情まで描いており、そこに登場するイ・バンウォンはどこまでも人間的。作品ごとに人物描写が異なるのも面白いポイントだ。あくまで想像にすぎない部分もあるが、“破壊王”という言葉がふさわしいのか、本記事で紹介する3作をご覧になり、彼の生き様や生きた時代に想いを巡らせてみてはいかがだろうか。
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太宗イ・バンウォン~龍の国~ (KBS/2021)
『太宗イ・バンウォン~龍の国~』は、新生国家朝鮮の基礎を築いた彼の激動の生涯にスポットを当てた作品。様々な観点から彼を描いているのが本作最大の特徴で、初代国王イ・ソンゲの息子、8人兄弟の弟、元敬王后の夫、そして父親としてのイ・バンウォンの姿が堪能できる。
目的達成の邪魔になるものはバサバサと切り捨てていく彼の姿を、これでもかというほど詰め込んでおり、そんな彼と家族との関係性の変化も大きな見どころの1つ。NHKの大河を思わせるような骨太の作品で、全32話から成り少々長めだが見応えのある名作だ。
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六龍が飛ぶ (SBS/2015)
『六龍が飛ぶ』は、本格時代劇に抵抗がある人におすすめ。エンターテインメント性の高い作品で、高麗を倒し新たな理想国家を作るために立ち上がったイ・バンウォンを含む英雄6人の物語だ。
彼の子ども時代から王になるまでの過程を中心としたサクセスストーリーになっており、その後のイ・バンウォンを形成する原点となった時代に焦点を当て、前半部は懲悪勧善の展開が、後半部は計画達成のために各者の信念が対立する様子が描かれている。
トキメキたっぷりのロマンス要素が盛り込まれているのも大きな特徴だ。
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元敬 (tvN/2025)
『元敬』は、2025年1月6日から、韓国で放送がスタートする予定の新作ドラマ。夫と共に権力を手に入れた元敬王后の、王と王后、夫と妻という関係性に隠された物語を描くという。
彼女の視点で物語が進んでいくという点において新鮮な作品で、イ・バンウォンを主人公にしてきたタイプのものとは、また一味異なる観点から彼を覗くことができるのではないかと期待されている。
また、10人以上の側室がいたという記録が残っているイ・バンウォン。そのなかには、元敬王后に仕えた人物もいたそうで、彼女たちを巡る夫婦の関係も見どころとなりそうだ。
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(ライター/西谷瀬里)