<シンママ、大変身!>息子の受験や恋人との関係が不安。ネガティブな私に変化が……?【まんが】
私はカスミ。ひとり息子を育てているシングルマザーです。もうすぐ誕生日がきて遂に45歳になります。息子のショウマは来年には大学受験。ずっと親ひとり子ひとりで身を寄せ合って暮らしてきましたが、そろそろ親元を離れることになりそうです。まわりから見たら「第二の人生の幕開け」に思えそうですが、当事者である私はとてもそんな気分になれません。というのも、私の目の前には問題が山積み。どうしても悪い意味で、「もうどうにでもなれ!」と考えてしまうのです。
ニコニコしながらお祝いしてくれるサクラとは裏腹に、私はどんより。
サクラはケラケラと笑いました。ネガティブな私はサクラの明るさに何度も助けられています。
これからの人生。不安は尽きません。考えれば考えるほど心配なことがある気がして落ち込みます。
ハジメさんは私の交際相手。ショウマも何度も会ったことがあります。お互い「結婚したい」とは思ってはいるものの、なかなかキッカケをつかめずにいます。私は最近、「ハジメさんがこのまま結婚してくれなかったら……」とモヤモヤしています。
弱音を言った私に、サクラは思いもよらない提案をしてくれました。
そういえばショウマを産んでからずっと同じような髪型でした。「母親なんだからしっかりしなきゃ」「経済的に余裕がないんだから後回し」……そんな呪縛に囚われていたのかもしれません。「どのようにいたしましょうか」と言われても、「こうしたい」という希望が出てこないのです。
「私の髪キレイじゃないでしょ……」「確かに傷んでいるところもあるけれど、それはカスミがショウマくんを優先してきた証でしょ? 誇っていいよ」サクラの優しさが心に沁みました。
せっかく誕生日を迎えたものの、私は今後の心配事ばかりして暗い気持ちでいっぱいでした。そんなときいつも明るいサクラに話を聞いてもらうと、少しだけ気持ちが上向きになります。しかし今回ばかりは大きな変化が控えているとあってなかなかポジティブな気持ちになれませんでした。ですがサクラは、髪型を変えることで私の見た目も中身も大きく変えてくれました。初めてのショート姿に私はビックリ、こんなの初めてです。別人のようで、もしかしたらこれから本当に気持ちが変わっていくのかもしれません。
「ママもがんばる」息子の受験をバックアップするため……挑戦!
サクラと別れ、私は帰路につきました。鏡やお店のショーウィンドウに自分が映るたびにチラチラと見てしまいます。ふと、素敵なアクセサリーショップが目にとまりました。
お店でアクセサリーを見るなんて久しぶりです。今までは「子どもがいちばん、生活がいちばん!」で、自分のために買う選択肢自体持てませんでした。私は思わず、「これ、いただきます」と伝えていました。
翌日、買ったばかりのイヤリングを付けて出社すると……。
私が職場に入ると、みんなが「髪、切ったんだ!」と驚いたような声をあげました。「人生が変わりそう」という後輩のひと言に、私はどきりとしました。
その日の夜……。
ショウマがもごもごと口を濁しました。根が優しいショウマのことですから、学費のことを気にしているのでしょう。私は思わずショウマに言いました。
気持ちが前向きになったからでしょうか。私にはまだまだできることがあると思えました。大切な息子のショウマのために、資格の取得しようと決心しました。
パッと顔が明るくなったショウマ。私はこの笑顔をずっと守りたいと改めて思いました。ショウマの受験勉強のバックアップに、私自身の資格の勉強に……と、目まぐるしい日々が始まりました。
恋人のハジメさんからデートに誘われても、なかなか行けません。連絡する頻度もかなり減りました。
ハジメさんが結婚してくれるかばかり気にしていましたが、私の人生は私のものです。これで別れるのであればそれまでなのでしょう。
髪を切っただけで自分がここまで変わるとは思ってもいませんでした。もちろんヘアスタイルを変えたから変わったわけではないでしょう。新しい自分に出会って自信がついて、少しずつ行動が変わっていったように思います。特に進路選びを戸惑うショウマに対して、「資格をとって、お給料アップを目指すから心配しないで」と宣言した自分には驚いてしまいました。さてそんななか、お付き合いしているハジメさんに呼び出されてしまいました。最近はロクに会っていなかったのですから……きっと良い話ではないでしょう。
春、息子の旅立ち「母さんも幸せになって!」第二の人生の幕開け
なんとなくぎこちない空気を感じながら、私たちはいつものレストランへ行きました。すると突然……!
予想外の言葉に間の抜けた声を出してしまった私。ハジメさんは構わず続けます。
「髪を切ったあたりからかな……カスミがすごく明るくなったように感じてさ。前よりずっとチャーミングに見えたんだ。しかも最近、ショウマくんの受験の応援をしたり、資格の勉強を頑張ったりしているのを見て、絶対に手放しちゃいけない魅力的な人なんだと改めて感じたんだ」ハジメさんの言葉に驚きました。そんなふうに思ってくれていたなんて……。
「別れ話だと思ってたの」そう言った私に今度はハジメさんが驚く番でした。私たちは顔を見合わせて笑ってしまいました。結婚の話は、私とショウマの状況が落ち着くまで待ってもらうことになりました。そして日々は過ぎていき……。
ありがたいことにショウマは第一志望だったA大学に合格、家を出ていくことになりました。さらに私も資格試験に合格することができました。「ダブル合格だ!」と、ショウマと抱き合って喜びました。 いよいよハジメさんとの関係を話すべく、「3人で」話し合いの時間をとりました。
「もちろん少しは寂しいけれどさ、でも大丈夫だよ。母さんに大切にしてもらった想い出はずっと残っているから」ショウマはそう言ってくれました。それから……。
優しい言葉に思わず涙ぐみました。これが「第二の人生の幕開け」というものでしょうか。私は幸せな気持ちに包まれながら、ハジメさんとショウマ、そして何より私が変わるキッカケをくれたサクラに心の中で感謝しました。ショウマは受験に、そして私は資格試験に、2人とも無事合格しました。喜びでいっぱいのなか、ハジメさんとの結婚の話も着々と進みました。「全部捨ててしまいたい」と泣いていた自分が嘘のように思えるほどいまは幸せを感じています。もしかしたら人生はちょっとしたきっかけで変えられるものなのかもしれません。これからは何があっても腐ることなく、明るく前向きに生きていけたらいいなと思っています。