大磯町延台寺 「虎御石」を特別開帳 町内で陶人形の展示も
鎌倉時代の敵討ち『曽我物語』に登場する虎御前ゆかりの霊石「虎御石」をまつる大磯町の延台寺(中島源吾住職・大磯1054)で5月25日(日)、虎御石まつりが開催される。また、つきやまBooks内のギャラリーお風呂場では、平塚市出縄在住の陶・造形作家の岡村敬子さん(75)が陶人形展「虎女と人形たち」を5月31日(土)まで開催している。
虎御前は山下長者の娘。子宝に恵まれなかった夫婦が虎池弁財天に願を掛けると、小さな石を授かり、女児が生まれて虎と名づけた。石は虎女とともに大きくなった。
曽我兄弟との悲恋も
後に虎御前が曽我十郎と恋仲となり、十郎が虎御前を訪ねたところを、仇討ち相手の工藤祐経の刺客に襲われ、この石が身代わりとなって助けたという。石には弓矢が刺さったような跡と、刀傷のような割れ目がある。
仇討ちを遂げた兄弟亡き後、虎御前は19歳で出家。延台寺のはじまりとなる庵を結び、兄弟の菩提を弔ったという。
虎御石は「十郎の身代わり石」とも呼ばれ、触ると安産や厄除け、大願成就のご利益があるとされている。
同まつりは、曽我兄弟が仇討ちを果たしたのが旧暦の5月28日だったことにちなみ、5月の第4日曜日に毎年開催されている。虎御石の御開帳は、曽我堂内での参拝者守護祈願法要(午後1時〜)の後に、引き続き堂内で実施。直接石に触れて願いをかけられる。
また、堂内には曽我兄弟座像、虎御前剃髪之像などを安置。境内に虎池弁財天の碑や虎御前が十郎との恋の成就を祈願したといわれる龍神、虎女供養塔、大磯宿遊女の墓なども残されている。
恒例の奉納「ちびっ子剣道大会」は午後2時30分頃を予定。
問い合わせは、延台寺【電話】0463・61・0742。
人間像伝える
岡村さんが制作した虎女人形は、子ども時代の『山下長者屋敷の虎女』や出家後の姿の『箱根権現の虎女』などさまざま。
50代の頃、近隣を散歩していたときに見つけた「山下長者屋敷跡蹟」(平塚市山下)や「虎女住庵の跡」(同)が心に残っていたといい、「虎女さんの居た痕跡がこんなに残っているとは思わなかった」と話す。
数年前に虎女と曽我兄弟の陶人形を制作。工房の片隅に置いていたというが、つきやまの管理人・佐藤一樹さんの勧めもあり、展示する運びとなったという。
展示会場では、虎女への思いや陶人形制作に至った経緯を綴った冊子も販売している。
岡村さんは「虎女のことを話すと『誰それ?』という反応が多かった」といい、「まちのあちこちに史跡が残っている、知っているようで知らない虎女について皆さんに伝えられたらうれしい」とほほ笑んでいた。
展示は午前11時〜午後5時。(日)(月)(火)(水)は岡村さん在廊。詳細はつきやまBooks【メール】info.tsukiyama@gmail.com。