緑区 「看板娘」続けて70年 和菓子処かわはら 河原マサ子さん
緑区長津田に店を構える「和菓子処かわはら」。1909年創業で、115年の歴史を持つ老舗の和菓子店だ。
その店で70年にわたり「看板娘」を務めているのが、92歳の河原マサ子さん。7人きょうだいの長女として緑区西八朔町で生まれ、22歳の時に同店に嫁いだ。「主人とは会ったこともない中で縁談が決まっていて。でも当時はそんなことも当たり前。特に何も思わなかった」とにこやかにほほ笑む。
嫁入り当時は毎朝4時に起きて薪でご飯を炊き、6時に朝食を準備。その後は店頭に立ち続けて、寝る前に洋裁で服を作った。小さい頃から手先が器用で、今着ている服もほとんどが以前に手作りしたものだという。「若かったから、睡眠時間が少なくても全然大丈夫だったねえ」と笑う。
週6日店頭に
マサ子さんが嫁いで以降、場所は変わらずとも建物は3度の建て替えを経験。店主も息子の久男さんが三代目を継ぎ、店を切り盛りしている。さすがに以前のように動けなくなったというが、今でも週に6日、店頭に座り続ける。多くの企業や団体などから注文が入る同店。羊羹などの和菓子を包んだり、手先の作業は今でもお手の物だ。
そして何より、マサ子さんにとっての生きがいはお客さんとの楽しい会話だ。2代、3代にわたり通い続けているお客さんも多いため、マサ子さんの姿が見えないとお客さんの方から「今日はお母さんいないの?」と声がかかるという。
「おしゃべりするのが大好き。お店は私の居場所。ずっとここに座っていたい」と笑顔で話すマサ子さん。きっと今日もいつもの椅子に座り、店からニコニコと外を眺めているに違いない。
■和菓子処かわはら(長津田5の4の28)・月曜定休