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【コラム】第3回 起業・開業におけるファーストミッション 勝島一真(税理士・行政書士)

にいがた経済新聞

勝島コラム2

ビジネスカツシマの勝島一真です。2024年も残すところあとわずかとなりました。12月になると毎年恒例の「今年の漢字」が発表されます。今年は『金』でしたが「金」が歴代漢字の中でいちばん登場回数が多い漢字のようです。その次におそらく登場回数が多いのが「税」ではないかと思います。いずれにしても“おかね”に絡むキーワードが選ばれることが多い傾向にあります。

12月中旬以降になると、「税制改正大綱」(ぜいせいかいせいたいこう)が公表されます。税制改正大綱とはわかりやすくいうと、増税だったり減税であったりと、翌年度以降についてはこのような税制にしていきますという方針が示されているものとなります。今回は「103万円の壁」の協議が難航していることから税制改正大綱をまとめるうえで苦労されていることが想定されます。

わたくしは今年の漢字の発表と税制改正大綱が公表されると、年の瀬を感じ同時に何か慌ただしさを感じてしまいます。

創業計画書は補助金や融資、資金調達につながる鍵

さて第3回目となる今回のテーマは開業、起業に関する「創業計画書の作成」についてです。

私ども、じょうえつ開業支援センター「ゆめたまご」は開業支援に特化した事業をおこなっており、開業支援の相談を受けております。

相談に来られる方たちの多くは、
① 創業補助金など助成金や補助金の情報
② 創業融資など資金の調達方法

おもにこの2つの情報を強く求められている傾向があります。補助金、助成金、創業融資はいずれも事業をおこなう上で必要な「お金」の調達に関することなのでとても重要であります。

また創業関係の補助金や助成金、融資制度は比較的充実していること、また最近ではクラウドファンディングなどの調達方法もあることから、該当するものがある場合は積極的に活用していくことをおすすめします。

しかし、補助金、助成金の申請、また金融機関に融資の申請をおこなう際には必ずといっていいほど提出しなければならないものがあります。

それが『創業計画書』です。

創業計画書を作成することは自分がこれからおこなっていきたいビジネスを客観的に見つめ直し、強みや弱みなど課題や検討事項を抽出させる役割があります。予想される売上や必要経費といった収入や支出を予測し、具体的にどのタイミングでどれくらいの資金が必要となるかを把握することができます。

補助金助成金の審査、金融機関における融資審査については、補助金や融資を受けたい人がどれくらい自身の事業を把握しているのか、融資であれば返済をおこなっていけるお金を捻出することができるのか、また事業における実現可能の有無を確認するために創業計画書の提出を必ずといっていいほど求めます。

創業計画書はおもに、代表者のプロフィール、創業に至った動機、事業概要や取扱商品、収支計画等で構成されています。

プロフィールや動機、事業概要は記載することはできるけど、収支計画書については、何から検討しどのような手順で作成したらよいか、というご相談を多く受けます。

収支計画書作成の進め方

収支計画書作成の進め方はいろいろな方法がありますが、収支計画書をはじめて作る方にとって取り掛かりやすい手順をご紹介します。

【手順1・売上】

まずは開業後1年の月別の売上計画をたてていくことをおすすめします。なぜなら、起業開業を希望している方たちの頭の中には、売りたいモノや、提供したいサービスのイメージはできているからです。まずはそこからスタートさせることでその後の収支計画書作成がスムーズに進みます。

ここで大事になってくるのは、売上の計上根拠です。

ただ漠然と希望している、またなんとなくイメージしている売上金額を記載するのではなく、エリア的なものや季節的なものを考慮し検討したうえで売上金額の根拠(内訳)を説明できるくらいの状態にしておくことが大切となります。売上根拠を把握することで実現可能性についても改めて確認や検討をすることができます。

【手順2・経費】

次に経費です。

計上した売上計画をもとに、その売上を達成するためにはどれくらいの経費がかかるのかを検討していきます。各月で計上した売上を達成するためには、材料の仕入れや商品の仕入れがどれくらい必要なのか、アルバイトや従業員など人件費はどれくらい必要なのか、家賃はどれくらいかかるのかなどを検討確認します。そしてその他ガソリン代や水道光熱費、通信費、消耗品などかかりそうなものをできるだけイメージ、抽出し、経費として予測し落とし込んでいきます。

【手順3・利益】

売上計画と経費計画ができたら、

その月別の売上から月別の経費をひいて利益(お金)は残るのかどうか
月別で利益がでていなくても年間合計では利益がでているかどうか
2年目3年目では売上や利益がどれくらいでているのか
を検討し確認していきます。

収支計画書を作成するうえでの最大のポイントは、その収支計画書が「絵に描いた餅」とならないようできるだけリアルに計画・目標をたてることです。

このように具体的に数字に落とし込んでいくことにより、ビジネスとして成り立つのか、効率よく利益をだしていくためにはどのようにしたらよいか、などを検討することができます。収支計画書は頭の中のイメージと実際に数値化させたものとのズレが生じていないかどうかを確認し、想定していなかった経費などの発見にもつながります。

創業時ではなくても金融機関から融資を受ける際は必要な資料となります。また補助金・助成金や融資を利用しない方も収支計画をたてて目標が達成できているかどうかを毎月確認することは事業を経営していく上でとても大切なことです。

あらたなITツールの普及やネット環境の整備により、若者を中心に起業開業される方は増えているように感じます。これから起業、開業される方たちが日本をもっと元気にしてくれることを期待しております。

勝島一真

【プロフィール】

1976年生まれ。高校からアメリカンフットボールを始め、日本大学、株式会社オンワード樫山でアメフト選手として在籍。2002年税理士である父の急逝にともないアメリカンフットボールを引退し、株式会社勝島経営研究所に入社。その後、税理士法人ビジネスカツシマを設立し代表税理士に就任。税務・会計顧問業務のほか、開業支援や海外進出・M&A支援など様々な角度からのサポートを行う。

ビジネスカツシマグループサイト

過去の勝島一真(税理士・行政書士)連載コラム

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