16才でかかった重度の熱中症を乗り越えたくましく生きる愛犬フォアちゃんのお話を聞いた
この特集では、難病や障がいをもった愛犬とその飼い主さんの、闘病や暮らしの様子をレポートします。
今回ご紹介するのは心臓疾患が原因の重度の熱中症から奇跡の復活を遂げたトイ・プードルのフォアちゃん。17才を迎え難聴を併発しながらもたくましく生きる様子をご紹介します。
16才の夏、重度の熱中症で生死をさまよう
東京都のTさん家のフォアちゃんは、10才のときに僧帽弁閉鎖不全症と診断されました。
それはフォアちゃんが16才になった夏。旦那さんが仕事から帰ると、冷房を効かせたリビングで、フォアちゃんが泡を吹いてけいれんを起こしていたそうです。あわてて、かかりつけ医のmama‐oneに連絡をしたところ、診療時間外にもかかわらず、すぐに診てもらえることに。フォアちゃんは心臓病により血液循環が悪くなったことから、冷房が効いた室内でも重度の熱中症を起こしてしまったのです。先生は、足のつけ根などを冷やし、心臓に負担をかけないよう少しずつ点滴を入れる処置をしましたが、フォアちゃんの意識は朦朧としたままだったそう。
「じつはその前日に、私の母が亡くなり、帰るに帰れない状況だったんです。母を亡くした悲しみのうえに、フォアまでが危篤になったということを聞いて、どうしたらいいのかパニックになりました。フォアは毎日通院して治療することになり、その間は夫がつきっきりで看病してくれました。フォアが危篤になった翌日に母の葬儀があったのですが、私は棺にしがみついて『ママ! お願いだからフォアをまだ連れていかないで!』と号泣してしまいました……」と奥様は当時を振り返ります。
フォアちゃんはかかりつけ医のもとで1週間かけて点滴治療を行い、その後奇跡的に意識を取り戻しました。
「フォアが今も元気でそばにいてくれるのは、mama‐oneの浜部先生のおかげだと思っています。24時間体制で対応してくれる動物病院が身近にあったことが本当に幸運でした」
耳が聴こえなくなったら立ち耳に変わった
そして現在17才となったフォアちゃんは、老化による難聴でほとんど耳は聴こえなくなり、心臓病のステージも上がりましたが、まだまだ元気に毎日を過ごしています。
「フォアは本来垂れ耳でしたが、耳が遠くなってきたころ、一生懸命聴こうとして耳を立てるようになったんです。それが今では立ち耳に固定されちゃったんです(笑)」と奥様は笑顔で話します。
そして今いちばん気をつけているのは室温管理とのこと。「夏は私たちが寒く感じるくらいの室温にして、冬はエアコンの暖房とヒーターを併用しています。毎月の電気代はびっくりする額ですが、フォアのためなら気になりません(笑)」
日々、きめ細やかなケアを心がける奥様ですが、お世話をする人のほうもストレスを感じないようにすることが大切、とも話します。
「私はフラダンスも生活の中心になっているので、フォアとの時間を大切にするのと同時に、フラの練習にかける時間も大切にしています。今はなるべくフォアが家でひとりにならないよう、夫とローテーションを組んで時間調整しています」
次回はフォアちゃんの毎日のお世話の工夫をレポートします。
出典/「いぬのきもち」2024年5月号『困難と闘う!……その先のしあわせへ』
写真/尾﨑たまき
写真提供/Tさん
取材協力/ペットクリニカルサービスmama-one
取材・文/袴 もな
※掲載の情報は「いぬのきもち」2024年5月号発売時のものです。