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【中学受験伴走】「理科が得意」になる子の育て方 「知らない」を恥ずかしがらせない 難関校合格率抜群中学受験塾『グノーブル』3人の理科専任講師が解説

コクリコ

教育ジャーナリスト・佐野倫子さんによる「中学受験伴走」連載。中学受験塾「グノーブル」の理科専任講師に勉強方法を取材。理科・4~5年生編。2回目(全3回)。

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教育ジャーナリスト・佐野倫子です。「中学受験伴走(サポート)」連載、今回は4・5年生の理科の勉強法について。大手塾に通い始める4年生、勉強が本格化する5年生は、理科の単元数が増え、場合によっては苦手意識が出てしまうお子さんもいることでしょう。

最終学年で飛躍するために、今、習得すべき効果的な学習法を、中学受験塾「グノーブル」の3人の理科専任講師の先生方にお伺いしました。

子どもに「知らない」を恥ずかしがらせない!

──4年生の「理科」は、学校の勉強だけという状態の子がほとんどです。それが突如として、本格的な通塾がはじまると「中学受験勉強の理科」がスタートします。これについて、不安を感じる子も出てくるかと思います。

上原佑先生(以下、上原先生):ご安心ください。焦る必要はありません。4年生では、中学受験に向けた勉強! というよりも、理科的常識を得る学びがまず大切です。

例えば、「太陽は東からのぼって、西に沈む」「月には満ち欠けがあり、満月は一晩中見えることが多い」「季節によって昼の長さは変わる」。

そういう事象に対して、なぜそうなるのか? と考え始めることから、勉強を始めていきます。

理科の本質は「まだわからない」を大切にすること

上原先生:4年生はまだわからないことばかりです。大人が常識だと思うようなことも、まだまだ考えたこともないのが当然です。私たちは教えるときに、極力それを恥ずかしがらないこと、恥ずかしがらせないことが大切だと思っています。

例えば、4年生に「昆虫の足を3対描いてみよう」という授業があるとします。すると「正確に描けないから描かない」というお子さんが多くいるのです。それは間違えるのが恥ずかしいから。

そのときに、「まずは描いてごらん」と声をかける。そして、描いたものに対して、「おお! 頭から足が? それは新種かもね!」など、楽しく、おおらかな空気で進めると、どの子も描くようになっていきます。4年生の学習を見守るときは、この気持ちを持つことが大切ですね。

理科専任講師・上原佑先生。

──そう伺うとホッとします。だからこそ、前回(1回目)で伺った低学年のときに実体験をたくさんして、「理科の常識のタネ」をたくさん持っておくといいのですね。

上原先生:そうです。理科の本質は、「まだわからない」を大切にすることです。「風はなぜ吹くの?」「太陽はなぜ東からのぼるの?」といった問いに、正解じゃなくていいから自分なりに考えてみることが、理科の素地を作っていきます。間違えることに対してハードルを下げて、自発的に考えられるように取り組んでいくことが大切です。

5年生でつまずきやすい理由は「バラバラ感」

──いよいよ5年生になると、容赦なく難しい問題演習も始まります。我が家でも非常に苦戦した記憶がありますが、どのような学習法が効果的ですか?

永井裕康先生(以下、永井先生):4年生はまだ親御さんも教えられると思うのですが、5年生は中学受験理科の土台形成の時期であり、親が教えるのも難しくなります。このころになると、理科は4分野、単元は50近くまで広がります。

理科科専任講師・永井裕康先生。

永井先生:この時期に必要なのは、「知識を丸暗記する力」ではなく、「イメージする力」。“概念をイメージに変えられる力”です。

電気の単元を例にとると、「オームの法則を覚える」よりも、「電池はいわば「流れるプール」の水流を作る装置。電池=装置が強くなればその分勢いを増す。抵抗があると流れにくくなる」などとイメージできるといいですね。

それがわかれば、あとからいくらでも計算ができる。まずはイメージを持ってじっくり考えてみることが大切です。

考える子を育てるために、できることとは?

──日々の学習に慣れてくると、今度は宿題を「こなす」ようになってきて、本来の「考える」が疎かになる場面も。親としてはどのように接するべきでしょうか?

理科科専任講師・細川晃伸先生。

細川晃伸先生:私たちは「早く答えを教えて!」と言うのではなく、「自分で考えたいから、答えは教えないで!」と言える子に育ってほしいと願っています。

そのためには、ヒントを与え、そこから正解を導かせるやりとりがとても効果的です。家庭学習でも、ぜひそれを意識するようにしてください。

理科の授業準備で講師が常に考えていることは、「適切なヒント」です。また、テスト作成の際も、私たちは最後の難問が解けるような構成を意識しています。

入試問題でも同様です。その一問だけを切り取ると小学生には難しすぎると思える問題も、全体を見て最初から丁寧に流れに乗っていけば解けるようになっている問題が多くあります。

知識偏重にならず、難しいことかもしれませんが、「思考できる子」「自分で考えられる子」に育てることを意識して、親御さんはサポートをしていくとよいと思います。

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次回3回目では、絶対に落とせない6年生の勉強方法について、引き続きグノーブル講師の先生方にお聞きします。お楽しみに。

撮影/日下部真紀
取材・文/佐野倫子

『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』著:佐野倫子(イカロス出版)

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