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ワカサギ、落ちアユ……瀕死の小魚は大型トラウトのご馳走!【おすすめデッドベイトルアー5選を紹介】

つり人オンライン

巻かずに、ただ漂わせるだけ。なぜ、動かないルアーに大型トラウトは抗うことなく水面を割るのか?

その答えの鍵は、ワカサギや落ちアユといった、瀕死のベイトフィッシュをトラウトが偏食するタイミングにある。この記事では、阿寒湖のワカサギから生まれた「デッドベイト」パターンのメカニズムと、この釣りを成立させるためのおすすめのルアーを厳選紹介。

Photo & Text by Hiroki Hirasawa(North Angler’s)

North Angler’sとは?:北海道での釣りを満喫するための情報誌。北海道の自然を体感するキャンプの情報や、フィールドを守るための環境問題にも光を当て、多角的な視点からアウトドアライフを提案している。誌面と連動したウェブサイト『つり人オンライン』での記事展開に加え、好評放送中の『ノースアングラーズTV』や公式動画チャンネルである『釣り人チャンネル』を通じても、北海道の釣りの魅力を発信している。

大型トラウトのご馳走「デッドベイト」

デッド(dead)は「死んでいる」を意味する形容詞。〝デッドベイト〞はすなわち、死んだ小魚をイメージしたルアーで、水面に浮くタイプがほとんど。リップは付いておらず、ルアーの分類としてはトップウオータープラグに属するだろう。

トラウトのトップウオータープラッギングといえば、一昔前に比べるとセミルアーを使うアングラーが急増した。2000年代前半から支笏湖では釣果が上がっていたが、ブームがほかの湖や河川に広がるのには時間を要した。

その背景にあるのは、実際に釣れるまで「どうも疑わしい……」、「信じられない……」と思っていた人が多かったからではないか。今も昔もトラウトのルアーフィッシングは「リールを巻いて誘う」のが一般的。一方、キャスト後は自然に流す(漂わせる)ホットケメソッドが主流だったセミルアーの釣りは、なかなか受け入れられなかったのだろう。

また、巻いて誘うほかにセミルアーの釣りが独特なのは、忠実に本物のベイトを演出することかもしれない。ルアーならではのアクションや波動などに頼らず、あくまで〝シルエット〞で勝負する。軽くアクションを加えて波紋を出してアピールするのは有効だが、基本的にはシルエットで見せて食わせる釣りだ。

ワカサギのデッドベイトを意識したルアー

そんなセミルアーと似た性格を持つのが、デッドベイトだ。このルアーが注目されたのは、道内では阿寒湖が最初だろう。秋の阿寒湖はワカサギ漁が盛んだが、その際、網からこぼれ落ちて水面を漂う弱ったワカサギがいる。無防備で簡単に捕食できるワカサギをトラウトが見過ごすはずはない。激しい音を立てて大型のニジマスが水面を割ることが分かると、フライフィッシングを中心に試行錯誤が進み、「ワカサギドライ(またはドライワカサギ)」と呼ばれるフライが秋の定番パターンとして確立されていく。

ワカサギ漁の網からこぼれ落ち、湖面に漂うワカサギ

「ワカサギドライの釣りをルアーでも楽しみたい」と思うアングラーが現われるのは時間の問題だった。本誌が知る限り、その先駆け的ルアーは、コジマクラフトがリリースしたオリジナルペンシルベイト。2005年発行のNorth Angler's COLLECTION『トップトラウト北海道』で紹介しているが、まさしく阿寒湖の釣りから着想を得て開発されたワカサギドライのルアーバージョンだ。

その後、水面に浮く瀕死のワカサギを模したルアーとして、ティムコから『デルゼ70F』がリリース。ナチュラルなアピールを追求し、テール部に特殊繊維を装着しているのが特徴だ。

このほか、デッドベイト好きのルアーアングラーから支持を受けたのは、OSP『ベントミノー』。阿寒湖でも効くが、76mm、86mm、106mm、130mmの4サイズがあり、河川の大型トラウトねらいにも使う人が出てきた。とくに魚食性の高いイトウやブラウンで実績が上がっている。なお、OSPからはジョイントタイプでテールに特殊繊維ヘアーの付いた『アイウェーバー』というデッドベイトもリリースされ、こちらも熱狂的なファンがいる。

写真のルアーは、瀕死のワカサギを模したティムコ『Deruzze(デルゼ)70F』(70mm4gクラス)。45度の浮き姿勢にこだわり、テール部には特殊繊維を装着。また、視認性を高めるためボディーサイドにマーカーが付いている

O.S.P『ベントミノー』はいずれもフローティングタイプで、ラインナップは76mm4.3g、86mm5.9g(写真)、106mm10g、130mm20gの4モデル展開。ベント(=曲がった)ボディーは、泳ぐ力を失って水面に横たわる小魚を再現している

落ちアユを意識した川用ルアーも登場

上記のようにデッドベイトというとワカサギを思い浮かべるが、道南では落ちアユパターンとして注目するアングラーもいる。アユ釣り場として人気の厚沢部川などでは9月頃、弱ったアユが流れ、そればかり捕食している大型のニジマスが見られる。激しい音を立てて水面を割るのはワカサギドライの釣りと同様、かなりエキサイティングだ。

落ちアユパターンとして面白いルアーは、新しくデュオからリリースされた、その名も『レアリスデッドドリフト100』。瀕死の小魚がリアルに表現され、ヒレをイメージしたエラストマー製のパーツとフェザーを装着。これらはフックが露出するのを抑える効果もある。ネーミングからも分かるように、川でドリフトさせて使うのを目的に開発。流れに放たれると5つに分割されたボディーは同調して横たわる。ただ流すだけで食わせられる、川におけるデッドベイトの決定版だ。

すでに落ちアユのシーズンは終わってしまったが、サケ稚魚やシルバー/ゴールドなど、アユ以外の小魚をイメージできるカラーもあり、フィールドはアユ河川だけにとどまらない。

デュオ『レアリス デッドドリフト100』(100mm12g)は5分割のボディーが目を引く、川専用に開発された個性派。全7色のうち3色はアユをモチーフにしているが、サケ稚魚やチャート系など、ほかの小魚をイメージできるカラーもある

ワカサギよりもサイズの大きなアユを飽食していると、写真のようにニジマスは丸々と肥える。秋、道南のアユ河川を訪れるときはケースに入れておきたい

ヒメマスやサケ稚魚もほかのフィールドでも

少しずつ愛用者を増やしながらも、未だにデッドベイトは〝キワモノ的ルアー〞という扱いを脱しない。春、ワカサギの産卵期は洞爺湖や朱鞠内湖でも瀕死のワカサギが漂い、食われている光景を目にする。それでもデッドベイトを投入するアングラーは少ないようだ。

また、食われているデッドフィッシュはワカサギとアユだけではない。たとえば支笏湖ではヒメマスの幼魚、数多くの河川ではサケ稚魚へのボイルも見られる。もっとデッドベイトは活躍していいはずだ。唯一無二のアピールを試してみてはいかがだろうか。

ここ数年、支笏湖のヒメマス(地方名:チップ)は豊漁が伝えられる。春シーズンは死んだ幼魚が打ち上げられていることがあり、ベイトとしても見逃せない

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