糖尿病と何が違うの?糖尿病予備軍とも呼ばれる「食後高血糖」の放置NG!”怖い病気”のリスクとは
「糖尿病」は血糖値が慢性的に高い状態になることで知られる疾患ですが、食事後の血糖値が異常に高くなる「食後高血糖」という症状を知っていますか? イシハラクリニック副院長の石原新菜先生によると、「食後高血糖」は糖尿病を発症する可能性が非常に高い”糖尿病予備軍”なのだそう。そこで今回は、「食後高血糖」の予防・改善に効果的な対策を教えていただきます。
教えてくれたのは……石原 新菜(いしはら にいな)先生
イシハラクリニック副院長。クリニックで漢方薬処方を中心とする診療を行うかたわら、テレビ・ラジオへの出演や、執筆、講演活動なども積極的に行い、「腹巻」や「生姜」などによる美容と健康増進の効果を広めることに尽力している。二児の母、また女性としての視点からアドバイスにも定評がある。
「食後高血糖」とはどのような症状?
「糖尿病」は、HbA1cが6.2以上で診断がつきますが、HbA1cが5.6以上で「隠れ高血糖」の可能性が高くなります。
また、HbA1cは正常範囲でも、食後の血糖値が糖尿病の人と同じくらいまで上がってなかなか下がらない状態は「食後高血糖」と呼ばれます。
健康な人の場合、食後2時間もすれば血糖値は140mg/dL未満に低下しますが、「食後高血糖」の場合は血糖値が低下せず、140mg/dL以上の高い値が続きます。
「食後高血糖」を放置した場合の病気リスクは?
食後高血糖は”糖尿病予備軍”ですので、糖尿病を発症する可能性が非常に高い状態です。
糖尿病になると動脈硬化が進み、血圧が高くなったり、心筋梗塞、脳梗塞の発症のリスクが上がります。
また、合併症として慢性腎不全で透析、失明なども起こりえます。さらに感染症にかかりやすくなったり、脂肪肝、肥満、認知症などのリスクもあります。
「食後高血糖」の予防・改善に効果的な食材は?
血糖値の上昇を抑えるには、食物繊維を摂ることが有効です。海藻類、きのこ類、根菜類や食物繊維の多い果物をしっかり摂りましょう。
また、お茶(カテキン)、コーヒー(クロロゲン酸)なども血糖値を下げるとされています。
食事ではよく噛むこと、腹八分目を意識することが大切です。
じつは、全身の筋肉の7割が下半身についており、大きな筋肉は下半身にあります。
筋肉は血糖値を取り込んでくれるので、「食後高血糖」の予防・改善には下半身を動かす運動が有効です。
ウオーキング20~30分、スクワットなら1日30回がおすすめ。
食後に運動することも血糖値を下げるのに効果的なので、ぜひ日々の生活に取り入れてみてください。
予防・改善のための食材を摂るのに最適なタイミングは?
主食や炭水化物ではなく、食物繊維の多いものを先に食べる(ベジファースト)ことで、血糖値の急激な上昇を抑え、緩やかにする効果が期待できます。
ただし、キウイなどの食物繊維が多いキウイなどのフルーツを食べるタイミングは食後がおススメです。お茶やコーヒーなどの飲料は食中や食後に飲んでいただいて問題ありません。
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通常の健康診断では「空腹時血糖値」によって糖尿病の可能性を判断しますが、「食後高血糖」では食事の後の血糖値が急上昇するため、検査では見逃されてしまうおそれがあります。
食後血糖値が高い状態が続くと糖尿病を発症する可能性が高く、放置すると糖尿病がさらに進行し、わかったときにはすでに重症化していることも……。
食後高血糖を予防・改善するために、今回教えていただいた対策を日常的に心がけてくださいね。
また、自宅で血糖値を測ることができるキットも市販されているので、食後血糖値を知りたい場合にまずは検査キットを試してみるのもおすすめです。
その場合でも、気になることがあったらすぐに病院を受診しましょう。
鈴木杏/ライター