ゲノムはどうやって解析する?【眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話】
ゲノムはどうやって解析する?
まずDNAの塩基の並びを読む
ゲノムの解析とは、私たちの細胞の中にあるDNAの塩基配列、つまり4種類の塩基、A、T、G、Cの並び方を調べることから始まります。といっても、ヒト1人に約30億対、つまり60億個の塩基があるわけですから、大変な作業です。1990年に始まった初めての解読「ヒトゲノム計画」では、1人に13年、費用は数千億円もかかりました。その後、自動的に超スピードで読み出しができる解析装置が次々に開発され、現在は当時よりはるかに低額で、しかも短期間に解析できるようになりました。
解析には、目的によってさまざまな方法があり、PCR、マイクロアレイ、次世代シークエンサーといった技術が使い分けられます。PCRでは、新型コロナウイルスの検査と同じ方法で、特定のスニップを解析します。マイクロアレイは、一度に数十万カ所のスニップの解析を行うことができます。次世代シークエサーは、コストは高くなりますが、すべてのゲノムを解析できるというメリットがあります。
ゲノム解析はもう特別なものではなく、身近な存在になりました。個人に向けたゲノム解析サービスを提供する会社も増え、病気のリスクを知ったり、健康管理に役立てる目的以外に、美容やダイエット、婚活、就活などへの活用も考えられているようです。
ゲノム解析のしくみ
唾液や髪の毛から採取した細胞から DNA を取り出し、塩基の並びを読み取って、高速解析システムでさまざまな遺伝子情報を解析する。
すべての情報をまるごと解読
DNA には、「遺伝子間領域」または「非遺伝子」という部分があり、この部分の働きは多くは未解明ですが、少しずつわかってきており、これも含めた「全ゲノム解析」が世界的に推進されています。これによって、これまでわからなかった病気が見つかる可能性もあり、新しい治療法や薬の開発、予防や早期発見などにつながることが期待されています。子
『眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話』著:高橋祥子