中小賃上げ、60兆円投資 生産性向上に向け5カ年計画 藤井氏「プライマリーバランスの黒字化目標があるから賃金が少ないんですよ」
5月15日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、中小企業の賃上げに関するニュースについて意見を交わした。
藤井氏「全部言っているだけで(対策は)何にもないんですよね」
政府は14日に「新しい資本主義実現会議」を開き、中小企業で働く人の賃上げに向けた施策を示した。飲食や宿泊など12業種で省力化につながる投資を促す。2029年度までの5年間を集中取り組み期間とし、官民で60兆円のお金を投じる目標も明らかにした。
石破茂政権は20年代に最低賃金を全国平均で1500円に引き上げる目標を掲げる。トランプ米政権による関税引き上げなどで景気の不透明感は高まる中、賃上げこそが「成長戦略の要」であると位置づける。
寺島アナ「石破政権が取り組む中小の賃上げですが、藤井さん、これはどうご覧になりますか?」
藤井氏「『中小賃上げが大事だ』ってね、僕もそう思いますけども、『僕は食べ物が好きだ。食べたい!食べたい!』って言っていて食べられる物は増えるのか?と。働けよ、っていう。『大事だ』って言っていても意味がない。『賃上げが必要だ!必要だ!』って言っていても、賃上げするために必要なことをやれよ、と。やらないんですよ」
寺島アナ「えぇ……」
藤井氏「だって、『60兆円の生産性向上に向けての投資拡大だ!』って言ったって、拡大するような対策を打てよ、と。全部言っているだけで何にもないんですよね。だから消費税減税を行う、公共投資を拡充する、そういうことですよ。全部、プライマリーバランスの赤字化を拡大する対策をやれば、賃金は上がる」
寺島アナ「そうですね、赤字化を拡大するっていうことですね」
藤井氏「そうです。なぜかっていったら、政府が赤字っていうことは民間が黒字っていうことなんだから、賃金が増えるんですよ。当たり前なんですよ。一生懸命稼いだお金を政府が吸い上げてったら、手取りが減って、みんな貧乏になって、物を買わなくなるんだから、賃金がさらに下がるんですよ。だからいま五公五民の状況で50%近くの国民負担率があるんだから、それを40%とか35%とかまで引き下げることができたら、自ずと国民の手元にお金が残って、そしたら自ずと色々と物を買うようになって、内需が拡大して、それによって名目賃金も増えていくし、手取りも増えていくと。それで経済も良くなるということなんです。でも、それをやらないのは、プライマリーバランスの黒字化目標があるからで。だから、プライマリーバランスの黒字化目標があるから賃金が少ないんですよ」