日本も調査に参加している「月の裏側」はどうなっているの?【眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話】
クレーターは多いが「月の海」がとても少ない
私たちが見ている月は、いつも同じ面です。厳密にいえば、月の自転軸が6・7度傾いていることなどから、地球から見えるのは月の表面の59%だけです。では、地球から見えない側(以下裏側)はどうなっているのでしょうか。
実は、1959年にソ連が打ち上げたルナ3号が、はじめて月の裏側を撮影しました。その後、いろいろな探査で月の裏側について調べられていった結果、地球から見ることができない裏側には、天体がぶつかってできたクレーターはたくさんありますが、「月の海」が少ししかないことがわかりました。実際、表側では月の海が面積の約30%を占めているのに対して、裏側では2パーセントしかありません。
このことから月の表面は、玄武岩が噴出した月の海の面積の広い表側と、斜長岩(しゃちょうがん)からなる裏側とに二分されていると考えられています。2007年10月から、日本の月探査機「かぐや」から分離された2つの子衛星「おきな」と「おうな」の軌道解析によって、月の裏側の局所的な重力分布を世界ではじめて明らかにしました。
このような局所的な重力の違いを重力異常といいます。正の重力異常は、地形の高まりや地下に重い物質が存在することを示し、負の重力異常は、地形のくぼみや地下に軽い物質が存在することを示します。「かぐや」の観測から、月の裏側には負の重力異常があることが明らかとなったのです。なぜこのような違いがあるのかは解明されていませんが、今後の月探査によって明らかにされることでしょう。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』 著:渡部潤一