中年よ、大掃除はお早めに! 冷蔵庫掃除に悪戦苦闘…おばさんが陥った“経年劣化”によるワナ
女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第55話は「冷蔵庫掃除はお早めに」。
【日日更年期好日】
知力体力だけではなく集中力も欠落
中年、おばさんといった年齢意識はある方にお知らせしておきたい。年末の大掃除の予定があるのなら早めに始めたほうがいい。なぜなら掃除に対する自分の体力、知力が相当低下しているからだ。大掃除はその事実を突きつけてくる。単身住まいの私も毎年、大掃除のワードは意識していて、そのたびに(まあ、賃貸住まいだし)(ひとりだし暴れん坊の子どもがいるわけではないのだから、そんなに汚れていないし)と後ろ向きな理由を並べて、仕事をしていた。が、どうも今年は汚れが気になる。今年の汚れは今年のうちに。重たい腰があがった。
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冷蔵庫掃除を決めた。一人暮らしを始めて約20年で二台目の冷蔵庫は540リットルのファミリーサイズ。2017年に購入する際、蔦屋家電のスタッフに「お客様、冷蔵庫が大きくなると生活が豊かになりますよ」と、決めセリフを言われてあっさりと購入した。生活が豊かになったかどうかはいざ知らず、便利であるのは間違いない。2〜3年ほど前に内部の拭き掃除をした記憶はあるけれど、普段はほぼ外側の拭き掃除だけしかしていない(まあ、ひとりだからそんなに開閉もしないし、隙間なく食品が入っているわけではないし)。毎年、私の中の言い訳大王がお出ましになる。ただ今年の私は違う。
まずはInstagramの「#冷蔵庫掃除」のハッシュタグで、効率的且つ画期的な掃除方法を調べるところから始めた。どうやら冷蔵庫は脚の部分を操作すると、中に食品が入っていても、簡単に動かせて冷蔵庫下のホコリが除去できるらしい。午前10時『安住紳一郎の日曜天国』(TBSラジオ)を聴きながら、まずは冷蔵庫下の掃除からトライ。
「う、動かねえ…」
インスタグラマーはいとも簡単に冷蔵庫が動かせると言っていたけれど、設置してから9年間、1ミリも移動させていない冷蔵庫が対象だとは言っていなかった。我が家の冷蔵庫は設置時のクッションにぴったりと接着していて、脚の動く気配はゼロだった。おばさんらしく、説明書で確認してみたけれど移動情報については触れられていなかった。早速、あきらめた。今度引っ越すときに掃除をしよう。ここでふと目に入ったオーブン電子レンジの脱臭も始めた。つい先ほどまで冷蔵庫掃除に勢い勇んでいたのに別の掃除に手を出すとは、おばさんらしい集中力の欠落を感じる。
終了は夕方17時のどっぷり夕暮れ
次に製氷機の部品を外して、清掃。終えたところで冷蔵庫の食品をすべて取り出して、プラスチックの仕切りや受け皿も取り出す作業にかかる。ついでに賞味期限切れの食品がないかどうか確認。ここはセーフ。続けて仕切りの水洗いに取り掛かる。ここでひとつ衝撃が登場。
「は、なんだ、この発泡スチロール?」
購入時、仕切りに張り付けていた発泡スチロールシートがいまだに残っていたのだ。(電気屋さん…外してくれよ…)と思いながら剥がそうとしたけれど、9年接着していたシートは簡単に剥がせなかった。AIに聞くと中性洗剤やアルコールにつけろというので、繰り返してみたが、努力むなしく全ては剥がれなかった。おまけに仕切りのひとつにヒビを発見。(そんなに乱暴に扱ったのだろうか?)とやや落胆しながら、瞬間接着剤とテープで補強する。この作業が終わった時点で『安住紳一郎の日曜天国』のゲストコーナーが終わりに近づいていた。まずい、急がねば。
次の難関は洗った庫内の仕切りを元に戻す作業だ。(えっと、どこにどれだっけ?)と単純なはずのパズルがうまくハマらない。何度もやり直して、庫内を除菌スプレーで拭いて、ドアポケットにキッチンペーパーを敷き、2時間近く常温で放置されてヘロヘロになった食品を戻す。気づくと安住さんの番組は終了して、次の番組が始まっていた。数年前にこの作業をした際はここでもうすべての拭き掃除が終わっていたのに、まだ冷凍庫も野菜室も終わっていない。ただ今日は自分に課したミッションを完遂してみせる。
私はランチとスーパーへの買い出しと、30分間の昼寝を挟んで(おばさんには必須)、15時から作業を再開した。冷凍庫と野菜室は冷蔵庫に比べるとスペースも狭いので、トラブルも発生せずに終了。気づくと時刻は17時過ぎ、太陽は沈んでいた。この後、2週間サボっていた、部屋の掃除を終えると18時を超えていた。
私は、数年前は午前中で終えた冷蔵庫掃除だからと過信していた。この時期の“数年経過”によるおばさんの劣化は大きい。手筈だけは整っていたはずなのに、開いた幕は難関だった。だから改めて言いたい。おばさんの大掃除は時間を長めに確保して、少しずつが鉄則だ。予定調和なんてあり得ない。
(小林久乃/コラムニスト・編集者)