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歴史とアートの饗宴 ― 「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2025」(読者レポート)

アイエム[インターネットミュージアム]

毎年、京都で開催されてきたARTISTS’ FAIR KYOTO 2025は、今年で8回目となります。

今年のメイン会場(2/28~3/2)は、例年通り、京都国立博物館 明治古都館と京都新聞ビル 地下1階の2会場、アドバイザリー展会場(2/28~3/6)となるのは今回初会場となる京都五山の一つに数えられる臨済宗大本山 東福寺です。

ARTISTS’ FAIR KYOTOについてと、それぞれの会場の見どころや展示作品をご紹介します。

Photo:Kenryou GU


ARTISTS’ FAIR KYOTO

ARTISTS’ FAIR KYOTOがアーティストのアーティストのための展覧会として開催されて、今年で8回目です。

アワードだけでなく共に育てていく展覧会として若手アーティストの支援や若手芸術家の登竜門として、そして京都ならではのユニークヴェニューから、世界を見据えた活動の場の拡大へと大きな視座をもって開催されています。


京都新聞ビル 地下1階

例年インダストリアルな空間に並ぶ作品を見るのが楽しみという方も多いと思います。あの独特の空間と落とした照明、そこに繰り広げられるアートの世界線は見るものにも覚悟を求めます。

京都新聞ビル 地下1階では、16人のアーティストの作品が展示されています。その力量の大きさに圧倒されます。

京都新聞ビル地下1階 会場風景 Photo:Kenryou GU

ARTISTS’ FAIR KYOTO 2025 マイナビ ART AWARD 優秀賞を受賞した寺澤季恵さんの作品は、抑えた照明の中で異様なパワーを放っています。

300㎏のガラスを使ったという作品は、まるで脈動しているかのようです。「生命」を大きなテーマとしている作家ならではの作品です。

ARTISTS’ FAIR KYOTO 2025 マイナビ ART AWARD 優秀賞:寺澤季恵 Photo:Kenryou GU

もう一つ、京都新聞ビル地下1階でご紹介したい作品がこれです。丹羽雄太さんの迫力ある屏風絵です。

現在は東福寺塔頭光明院に住み込みで制作活動をする丹波優太さんの八岐大蛇と素戔嗚の戦いをモチーフにした作品と作品の前に置かれた戦車が共振しあう不思議な空間を体感してください。

丹羽雄太


京都国立博物館 明治古都館

京都国立博物館 明治古都館では、14人のアーティストの作品群が展示されています。重要文化財である歴史ある建物の中に、若いアーティストの熱気があふれています。

それぞれのブースにはアーティスト自身がいて、気軽に話をすることができるのもこの展覧会の楽しみの一つです。

京都国立博物館 明治古都館には、ARTISTS’ FAIR KYOTO 2025 マイナビ ART AWARD 最優秀賞を受賞した本岡敬太さんの作品があります。

彫刻家本岡敬太さんの作品は、主な素材である紙を使い、張り子の技法も使ったものです。ディレクターの椿昇さんが「世界に通用する作品だ」とおっしゃっていましたが、今後の活躍に目が離せないアーティストです。(全体像は、記事トップの画像)

Photo:Kenryou GU

ARTISTS’ FAIR KYOTO 2025マイナビ ART AWARD 優秀賞のAndrés Mario de Veronaさんの一連の写真を見ることができます。穴に入った少女の写真が引き起こす気持ちのザワザワをなんと表現すればいいのでしょうか?

ARTISTS’ FAIR KYOTO 2025 マイナビ ART AWARD 優秀賞:Andrés Mario de Verona Photo:Kenryou GU

他に、京都国立博物館 明治古都館では大角ユウタさんの作品が目を引きます。「個人的には一番好きな作品かも」とアーティストに直接ぶつけたら、とても喜んでもらえました。こんなやり取りもうれしい展覧会です。

大角ユウタ


臨済宗大本山 東福寺

今年初めての会場となる臨済宗大本山 東福寺は、京都五山の一つに数えられる名刹です。庭園に囲まれた方丈という東福寺の象徴的な空間と現代アートの饗宴を楽しみたいです。

東福寺 八相の庭

ARTISTS’ FAIR KYOTOでは毎年おなじみのアートユニットYottaのこけしをモチーフにした巨大作品が出迎えてくれます。じっと見ていると、時折、言葉が聞こえてきます。

Yotta

今年も15組のアドバイザリーボード(ディレクター椿昇も含む)展が2/28~3/6まで開かれます。

歴史を刻んだ重厚な内部の設えとそこに展示されるアートが別個なものとしてありつつ、ともに影響しあっている状況がとても興味深いです。

ディレクターの椿昇さんをはじめ、鬼頭健吾さん、大庭大介さんらの作品が一堂に会しています。とても贅沢なひと時をすごせます。

鬼頭健吾

オサム・ジェームス・中川

大庭大介 Photo:Kenryou GU

会期が短いので、「行こう」と思ったら、即行動を起こしてください。ARTISTS’ FAIR KYOTO 2025は、見るものにも、行動の変容を期待するような展覧会です。心してお出かけください。

[ 取材・撮影・文:atsuko.s / 2025年2月27日 ]

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