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築地市場の再開発、約5万人収容の「屋内型新スタジアム」がついに誕生へ!ホテル・商業棟など9棟複合の扇モチーフの未来都市構想

鉄道チャンネル

旧築地市場跡地(東京・中央区)の再開発構想が明らかになり、江戸の水辺文化を受け継ぐ、新たな国際交流拠点として再生が進みます。計画の目玉・新たなランドマークとして期待されるのは、約5万人を収容できる屋内全天候型のマルチスタジアム(大規模集客・交流施設)です。さらに、最高高さ約210メートル規模のホテル棟(MICE機能)やライフサイエンス複合棟など、9棟からなる複合施設が建設される計画案です。舟運、ヘリポート、空飛ぶクルマまで乗り入れる「モビリティハブ」も形成し、陸・海・空の結節点となる「扇」モチーフの新しい都市空間が誕生します。その計画に関しての情報を、わかりやすく解説します。

江戸のにぎわいを未来へ

築地は1657年、明暦の大火後に復興事業として海を埋め立てて誕生したとされ、隅田川の舟運を活かした物流拠点として栄えました。江戸の人々は花火や舟遊びを楽しみ、寛政の改革を主導した松平定信が築地下屋敷に造った潮の干満で景観が変わる庭園「浴恩園」も水辺文化の象徴とされています。明治には外国人居留地として国際交流の拠点となり、昭和初期には関東大震災を機に築地市場が誕生。戦後は世界最大級の魚市場として日本の食文化を支えてきました。

築地市場の移転後もにぎわう周囲

築地市場は1935年に開設されましたが老朽化が進み、2018年に豊洲へ機能が移転しました。
現在も場外市場は、寿司店や食材店が軒を連ね、観光地としてにぎわっています。築地本願寺は江戸期の大火を経て埋立地に再建され、インド様式の本堂は国の重要文化財です。1874年創建の築地教会も地域の歴史を伝え、市場・寺院・教会が築地の街並みを形づくっています。

“水の都・東京”再生へ

こうした中、三井不動産、トヨタ不動産、読売新聞グループが発表した「築地地区まちづくり事業 基本計画」では、象徴に「扇」を掲げています。かつて築地市場が貨物列車を引き込むため扇形をしていた歴史を踏まえ、末広がりや調和、繁栄への願いを込めたデザインだとしています。

新しい築地地区のまちづくり事業

計画は「ONE PARK」「ONE TOWN」の2つのコンセプトを軸に、水辺に広がる緑地や舟運ルートの整備で“水の都・東京”を再生し、銀座の文化や築地の食文化、汐留のビジネス機能と連携して、交流と都市活動を育むとしています。

ONE TOWN 都市の開発

この開発の総延床面積は約126万平方メートル、総事業費は約9,000億円規模とされ、スタジアム棟やホテル・レジデンス棟、ライフサイエンス・商業複合棟、舟運・シアターホール複合棟など9棟前後で構成される見通しです。

ホテル・レジデンス・複合棟計画

野球やサッカーなどが出来るマルチスタジアム

マルチスタジアムは野球、サッカー、相撲、アイスホッケー、コンサートや展示会など幅広いイベントに対応。用途に応じて席やフィールドを変えられるといい、最先端のデジタル技術や音響演出で臨場感を高めるとされています。国内では神宮外苑の再整備や新球場計画が進み、アメリカのメジャーリーグでは30年ごとに球場を建て替える動きが一般的だとされます。

ホテルや商業施設、シアターホール複合棟なども

ホテル棟は高さ210メートル規模案も伝えられ、国際会議に対応するMICE機能やVIP対応の宿泊施設、長期滞在型レジデンス棟も計画に含まれます。
また、国立がん研究センターなど周辺医療機関と連携したライフサイエンス・商業複合棟、食文化を発信するフードホールや舟運拠点を備えたシアターホール複合棟、オフィスや商業施設を組み合わせた複合棟も建設予定です。防災備蓄倉庫や帰宅困難者向けの一時滞在施設、雨水貯留設備など防災機能も整備されるということです。

ONE PARK・ONE TOWN構想

水と緑豊かな空間を創造するONE PARK(ワンパーク)

緑地・広場を整備し、水と緑豊かな空間を創造するONE PARKにおいては、隅田川や浜離宮恩賜庭園と一体となった計画を目指します。江戸期より、交易・交流の拠点として発展を遂げてきた築地にふさわしい、東京の新たな顔となるシンボリックな景観デザインや、にぎわいを創出する水辺のオープンスペース、やプロムナード・緑化、舟運の活用により、「水都東京の再生」 を推進します。

陸・海・空のモビリティが乗り入れ可能なモビリティハブ

また、交通面では、地下鉄新駅やバス・タクシーに加え、舟運、ヘリポート、空飛ぶクルマまで乗り入れる「モビリティハブ」を形成し、陸・海・空の結節点として水都・東京の玄関口を目指すとしています。

陸・海・空の多様なモビリティが乗り入れ可能なモビリティハブ・イメージパース

築地市場跡地の再開発は、江戸の伝統と未来の最先端技術を融合させる壮大なプロジェクトです。約5万人収容の屋内スタジアムを核に、国際会議対応のMICE施設や、空飛ぶクルマも乗り入れるモビリティハブが形成されます。この9棟複合の「扇」の街は、2040年代前半にかけて順次供用開始される予定とされています。
歴史と未来が交差する東京の玄関口、築地の新たな姿に期待しましょう。

(画像:三井不動産、トヨタ不動産、読売新聞グループ)

鉄道チャンネル編集部
(旅と週末お出かけ 鉄道チャンネル)

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