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もっと輝きたいから、Morfonicaは強くなれるConcept LIVE「ff」レポート

SPICE

撮影:福岡諒祠(GEKKO)

■2024.10.12 Morfonica Concept LIVE「ff」@河口湖ステラシアター

10月12日(土)から14日(月・祝)の3日間にわたり、山梨県 河口湖ステラシアターにて『BanG Dream!』よりMorfonica、Ave Mujica、Poppin' Partyによるライブが開催された。今回はその初日、MorfonicaによるConcept LIVE「ff」の様子をレポートする。昨年行ったZEPP TOUR「forte」そして今年4月のConcept LIVE「forte」から続き「ff(フォルテシモ)」という事で、一連の流れについて意識した方も多かっただろう。音楽記号でフォルテシモとはフォルテのその先、つまり「もっと強く」のような意味合いになる。大約すれば、正しくMorfonicaの世界観をより強く、色濃く表現したライブだったと言えるだろう。今宵、Morfonicaは新たな世界の扉を開いたのだった。

(C)BanG Dream! Project

ここ河口湖ステラシアターはMorfonicaにとって大切な場所でもある。1st Single「Daylight -デイライト- 」のMVの撮影をここで行ったからだ。当然、あの頃は無観客だったけれども今夜は違う。立っている場所は同じでも、そこから見える景色は全く違う。もっと言えばMorfonicaだってあの頃とは違う。きっとそんな事を思いながらステージに立っていたのではないだろうか。

撮影:福岡諒祠(GEKKO)

バイオリンを弾く瑠唯が怪しくも美しく照らし出される。そのまま「フレージング ミラージュ」「MUGEN Reverberate!」と、出だしからまさにffのように激情に駆られるような演奏が2曲続いた。さらに「わたしまちがいさがし」「esora no clover」とミニAlbum『forte』をなぞるような選曲が続いた。5曲目の「きょうもMerry go rounD」に入る前にポエトリーが入る。MorfonicaのライブはMCの代わりに、世界観を味わえる朗読やポエトリーなどが入るのも特徴のひとつだ。まるで物語を読み進めるようにライブは進行していく。

舞台は暗転し、雨雲を連想させるようなスモークが焚かれる。

「ここはどこ?何も見えない…」「私、いま何処にいるんだろう…」

ましろの語りを皮切りに5人分の孤独がそれぞれの口から語られる。各々の心の奥底に秘めたドロドロとした感情がぽつりぽつりと降り出す。長い長い暗闇の中、そんな5人の心情を示すような雷鳴を携えた雨音が場内を包み込む。そして一閃、雷がステージへ落ちると新衣装を身にまとった5人が再び姿を現し「両翼のBrilliance」、「fly with the night」、そしてライブ初披露となる「蒼穹へのトレイル」を披露した。激しさとはただ大きな音を出せば良いというものではない。強弱を強調してこそ“激しさ”をより強く感じる。今日のモニカはその事を特に強調するようなセットリストだ。

撮影:福岡諒祠(GEKKO)

再びポエトリーへ。「雨降って地固まる」とはありきたりの言葉だけれども、響く雨音の中で新たな蕾の萌芽を感じる5人。この雨はきっといつか花を咲かせる為に必要な恵みの雨なのだと、暗闇の中に一筋の光を見出す。

「1番になりたかった。なれなかった。ずっとずっと苦しかったわ。それなのに――何故私は、またバイオリンを弾いているのかしら。」

雨音を切り裂く瑠唯のバイオリンから「誓いのWingbeat」へ突入すると、再び会場のボルテージが沸点まで高まる。そして「flame of hope」の毅然とした演奏に痺れる。彼女たちのパフォーマンス、そしてずっと追い続けているファンの歓声さえも、この曲が現場を重ねるごとに威風堂々としているのを感じる。続く「Tempest」はまさにこのライブにおける最高潮の瞬間だった。

撮影:福岡諒祠(GEKKO)

雨は上がり、雲ひとつない空が眼前に広がる。
透子の奏でる音に、七深の描くキャンバスに、瑠唯の紡ぎ出す五線譜に、四つ葉ではないつくしだって、ましろと仲間達の笑顔に、もう迷いはない。

そこからの「音がえしのセレナーデ」、そして「金色へのプレリュード」は淀みないモニカの音色をたおやかに河口湖ステラシアターへと響かせていた。

撮影:福岡諒祠(GEKKO)

「ごきげんよう、Morfonicaです。」ましろがいつもの合言葉から「Daylight -デイライト- 」を歌い出すと、この曲を待っていたんだと割れんばかりの歓声が轟いた。最後に5人がステージ中央へ集まり、客席へ背を向ける。ましろが階段を登り、その奥の扉を開けるとメンバーがそれに続き、ステージを後にする。しばらくすると終演後のステージ裏トークに花を咲かす5人の会話が聞こえてきた。初ライブの頃を振り返り、自身らの成長を改めて実感する。透子のギターだって上手くなったし、瑠唯だってメンバーによく馴染むようになった。それぞれのくすぶっていた才能が5人集まる事で輝き出した。「――私たちの中の輝くものが、
進むべき道を照らしてくれるから。」ましろはこのライブを最後にそう結ぶのだった。

撮影:福岡諒祠(GEKKO)

アンコールは初期衣装に着替えて登場。「踊れー!」と透子が叫び「メランコリックララバイ」ではペンライトも激しく揺れる。改めてアンコールの挨拶をした所で、告知タイム。来年、2025年4月19日(土)に、豊洲PITでの単独ライブが決定したという事で、まさに先ほど見たばかりの今日のライブが、その先が気になる演出で終わった事もあり、どんなライブになるのか期待せずにはいられない。

最後に「寄る辺のSunny,Sunny」を披露。夕立が上がった事も、「今なら信じられるこの場所選んだこと」という歌詞も、今日の為に用意したようなハマり具合で爽やかなサウンドも相まって最高の締めくくりだ。終演の挨拶を……といった流れをつくしが「ストップー!」と遮る。「ここ、河口湖はモニカにとって始まりの場所だよ!せっかくこの衣装着てきたのに!この衣装であの曲やらなくていいのかな?」とまさかのアンコール3曲目へ。初期衣装での「Daylight -デイライト- 」で再び会場は大きな熱気に包まれた。1度目よりも2回目の「Daylight -デイライト- 」の方がまさにフォルテシモなパフォーマンスだったと思う。

撮影:福岡諒祠(GEKKO)

私はずっと"フォルテシモ"の意味を考えていた。もちろん昨年12月に発売されたミニAlbumとその名を冠したZEPP TOUR『forte』の延長線上にある事は明白だし、音楽記号としてのさらに強く激しくという意味でも期待したライブだった。カンタービレ、アンダンテ、アマービレ、レゾナンス、フォルテ、フォルテシモ、彼女らの単独公演にはこれまで様々な音楽用語が用いられてきた。歌うように、歩くように、優しく、時に共鳴して、強く、そしてさらに激しく。それらを並べてみると激動のMorfonicaの歩みをそのまま表現しているようにも思える。メンバーがそれぞれ抱える負の部分を吐き出したのがforteだとすれば、それらを吹っ切るための“より強く”でもあるし、“より強く”なれたからこそ、その先へ歩き出せるのだとも思った。5匹の蝶は朝焼けに照らされて、より輝く羽を夢見る。「もっと輝きたい」そう思わなければ今以上に輝くことなんて出来ない。Morfonicaという楽譜に刻まれた「ff」にはきっとそんな“願い”も込められているはずだ。

取材・文:前田勇介 撮影:福岡諒祠(GEKKO)

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