犬を『長生きさせる』ためにできること5選 注意すべきお世話の仕方まで解説
犬を長生きさせるためにできること5選
愛犬には、一日でも長く一緒にいてほしいものですね。そのためには、飼い主さんのサポートが何よりも大事です。ここでは、犬を長生きさせるために飼い主さんにできることを5つご紹介します。
1.適切な食事
犬の健康と長生きの基本となるのは、適切な食事です。毎日の食事が犬の体を作っています。そのため、愛犬の年齢や健康状態に応じて、栄養バランスの取れた食事を与えることが大切です。
市販のドッグフードを選ぶ際には、パッケージに『総合栄養食』と表示されたものを選びましょう。総合栄養食は、犬に必要な栄養素がバランスよく配合されています。さらに、子犬には子犬用、成犬には成犬用、シニア犬にはシニア犬用といったように、愛犬のライフステージに合ったドッグフードを選んでください。
『療法食』『食事療法食』『特別療法食』『食餌療法食』と表示されているドッグフードは、特定の病気や健康状態に合わせて、栄養バランスが特別に調整されています。これらを飼い主さんの自己判断で与えてしまうと、栄養の過不足が生じる可能性があるため、必ず獣医師の指導のもとで与えてください。
2.適度な運動
適度な運動は、犬の心身の健康を保ち、長生きにもつながる重要な要素です。ただし、適切な運動量には個体差があるため、年齢や犬種、体力に合わせて、散歩時間を調整してあげることが大切です。
散歩から帰宅した後、愛犬がリラックスして休んでいるようであれば、今の運動量はちょうどよいと考えられます。一方で、帰宅後も元気いっぱいに家の中を動き回っている場合は、運動量が足りていないのかもしれません。散歩時間を少し長くしてみましょう。
また、気温が高くないにもかかわらず、帰宅後しばらくの間、愛犬がハアハアと荒い呼吸をしているようなら、運動量が多すぎる可能性があります。無理をさせないためにも、散歩時間を短めに調整してあげましょう。
3.ストレスの軽減
犬は鋭い感覚を持っている分、繊細で、ちょっとした刺激や環境の変化にもストレスを感じやすいです。ストレスが蓄積すると免疫力が低下し、さまざまな病気の原因となることがあります。犬の健康維持と長生きのためには、ストレスの少ない生活を送れるよう配慮することも大事なのです。
愛犬のストレスを軽減するために、安心して快適に過ごせる環境を整えてあげましょう。具体的には、クレートやケージなど愛犬専用の落ち着けるスペースを用意し、快適な室温管理を行うほか、寝床やトイレの清潔を保つように心がけてください。
また、飼い主さんとのコミュニケーション不足や睡眠不足も、犬にとって大きなストレスとなります。毎日、愛犬としっかり向き合う時間を作り、夜は静かでぐっすり眠れる環境を用意してあげましょう。
4.歯のケア
歯の健康は、全身の健康と深く関わっています。犬の唾液はアルカリ性で、虫歯菌は繁殖しにくいですが、歯周病菌が繁殖しやすい口内環境です。実際、3歳以上の犬の約8割が、歯周病またはその予備軍であると言われています。
歯周病は口臭だけでなく、歯肉の炎症や歯の喪失、さらには心臓病や腎臓病などの全身疾患を引き起こすこともあります。歯周病菌が血管内に入り込み、臓器にまで悪影響を及ぼすことがあるのです。そのため、歯周病を予防することが、犬の健康寿命を延ばすうえで非常に重要となります。
歯周病予防に最も効果的なのは、歯磨きです。犬用の歯ブラシや歯磨きペーストを使って、歯周病の原因となる歯垢をしっかり取り除きましょう。犬は、歯垢が歯石に変わる期間が3〜5日と短いため、できれば毎日、少なくとも3日に1回は歯磨きを行うことを習慣にしましょう。さらに、定期的に動物病院で歯科検診を受けておくと安心です。
5.定期的な健康診断
愛犬に長生きしてもらうためには、体調の異変に気づいたらすぐに受診することはもちろん、定期的に健康診断を受けることも大切です。1歳を過ぎたら年に1回、シニア期(小・中型犬は7歳以上、大型犬は5歳以上が目安)を迎えたら半年に1回は健康診断を受けましょう。
定期的な健康診断は、病気の早期発見と、早期治療につながるという大きなメリットがあります。また、愛犬の生活習慣を見直したり、気になることを獣医師に相談したりするよい機会にもなります。
犬を長生きさせるために注意すべきお世話の仕方は?
愛犬に長生きしてもらうためには、これまでご紹介したことに加えて、日々のお世話に注意を払うことが大切です。ここからは、愛犬が長く健康に過ごすために、飼い主さんが日頃から注意すべきお世話の仕方について解説していきます。
1.食事やおやつを与えすぎない
愛らしい愛犬に、ついつい食事やおやつを与えすぎてはいませんか?食事やおやつの与えすぎは、肥満の大きな原因となります。肥満は、糖尿病や心臓病、膵炎など、さまざまな病気のリスクを高め、犬の寿命を縮める可能性があります。
食事やおやつは、商品のパッケージに記載されている1日の給与量の目安を参考に、適量を守ることが大切です。おやつの量は、愛犬に必要な1日のカロリーの10〜20%以下が目安となっています。おやつを与えたらその分、食事の量を減らして、カロリーオーバーにならないようにしましょう。
2.人間の食事を与えない
人間のために調理された食事は、犬にとって塩分や糖分、脂肪分が高すぎるため、健康を害する原因になります。さらに、玉ねぎやニラなど、犬に中毒を引き起こす可能性のある危険な食材が含まれていることも少なくありません。
また、人間の食事に慣れてしまうと、ドッグフードを食べなくなり、必要な栄養素が不足するおそれがあります。愛犬におねだりされても、人間の食事を与えるのはやめましょう。
3.無理な散歩を避ける
散歩は、犬にとって運動不足の解消だけでなく、ストレス発散や筋力の維持、脳の活性化にもつながります。そのため、愛犬が年を重ねても、できる限り散歩を続けてあげたいものです。ただし、無理な散歩は愛犬の体に負担をかけてしまいます。愛犬の年齢や体力に合わせて、無理のない散歩時間やコースにしてあげてください。
また、雨の日や雪の日は、無理に散歩へ行くのはやめて、室内で一緒に遊んで体を動かすようにしましょう。夏の暑さや冬の寒さが厳しい時間帯の散歩も避けましょう。
4.お手入れの過不足を避ける
犬の清潔を保ち、病気やケガを予防するために、シャンプーやブラッシング、爪切り、耳掃除、歯磨き、肛門腺絞りといったお手入れは欠かせません。これらのお手入れが不足すると、健康状態を悪化させ、結果的に犬の寿命を縮めてしまうおそれがあります。お手入れを怠らないようにしましょう。
ただし、各お手入れには適切な頻度があり、やりすぎはかえって逆効果になることがあるため注意が必要です。例えば、シャンプーをしすぎると、皮膚のバリア機能が低下し、皮膚トラブルを引き起こすことがあります。
なお、お手入れの適切な頻度は、犬種や皮膚の状態、生活習慣などによって異なるため、獣医師やトリマーに相談することをお勧めします。
まとめ
愛犬の健康を守り、長生きさせるために飼い主さんにできることは、適切な食事、適度な運動、ストレスの軽減、歯のケア、そして定期的な健康診断です。さらに、日々のお世話の仕方にも注意が必要です。食事やおやつの量に気をつけ、人間の食べ物を与えないようにし、無理な散歩は避けましょう。お手入れは、適切な頻度で行うことが大切です。
これらのポイントを心に留めて、愛犬が一日でも長く、健やかに過ごせるようにサポートしてあげてくださいね。
(獣医師監修:寺脇寛子)