【大人気おりがみ作家カミキィさんインタビュー後編】「苦手な人にこそ、折ってみてもらいたい」。カミキィさんが語る、コミュニケーションツールとしてのおりがみの楽しみ方
おりがみ作家カミキィさんインタビュー(後編)
今年4月に新刊『カミキィのおりがみあそび』を上梓したカミキィさん。おりがみ本はシリーズ累計41万部を突破、動画サイトのチャンネル登録者数は22万人超えという人気おりがみ作家です。
新刊にまつわる裏話や楽しみ方を聞いた前編から続くインタビュー。後編は、本の反響や日頃の作品作りについて伺いました。
取材・文:酒井絢子 撮影:鈴木江実子、天野憲仁(日本文芸社)
幅広い年代の方に親しんでもらえるのは
紙の本という形だからこそ
――今回の『カミキィのおりがみあそび』はシリーズ5冊目。動画配信でも人気のカミキィさんですが、紙の本ならではのよさを感じることがあれば教えてください。
カミキィ:本にしていただいたことで、パソコンなどのデバイスをもちこみにくい幼稚園や保育園の教室で活用してもらえたり、介護施設に置いてもらえたり。動画サイトになじみのない世代の方にも喜んでいただいています。編集部に、手書きのお手紙や作ったものを飾ったお写真が届いたことも。本の力のすごさを改めて感じています。
ヘアスタイルも洋服もいろいろ。推しカラーで好きなアイドルグループをつくるのも楽しい!
――本を見ながらお顔を真似て描いたり、組み合わせてリースを作ったりと、折った後の遊び方の提案も豊富で、室内遊びの幅も広がりそうです。
カミキィ:折ったら終わり、ではないのがポイントなんです。もともとおりがみには興味がなかった方や、苦手意識を持っていた方にも、「これなら楽しめる」「自分にも折れてうれしい」「子どもの頃に出会っていたかった」と、興味を持ってもらっています。カミキィの本や動画でおりがみを好きになったとコメントをもらうことも多いんですよ。
――カミキィさんの作品が、おりがみの楽しさに触れるきっかけになっているんですね。
カミキィ:そうであったなら、本当にうれしいです。とくに今回の『カミキィのおりがみあそび』は、かんたんなものばかりなので、あまり難しく考えずに、とりあえずやってみてほしいですね。
――ひとりで折っても、誰かと一緒に折っても、楽しめますよね。
カミキィ:おりがみは最も手軽にできるハンドメイドでありながら、コミュニケーションツールでもあると思っているんです。折ったものでほかの人に遊んでもらうこともできるし、プレゼントしたり、メッセージを添えてもいいし。老若男女が、手を動かしながらコミュニケーションができるのは、おりがみならではの魅力だなと思ってます。
カミキィ本でおみせやさんごっこ!デジタル数字をつかったプライスカードは「贈り物おりがみ」から。たくさん商品を作って、いろんなおみせをひらきましょう。
とにかく手を動かすことが大事な作業
おりがみならではの表現に達成感
――次々と新作を発表されていますが、作品が生まれるまでの過程を教えてください。
カミキィ:テーマが決まっているときは、いかにそれらしい形が作り出せるか、手を動かしながら試行錯誤しています。でも、テーマを決めず適当に折ることもあって、それが意外と大事な作業なんです。折るうちに、何かの形に見えてくるんですよ。ただ、形が見えてきても焦って仕上げずに、とりあえず一度寝かせておきます。必要なときに取り出してブラッシュアップして完成させていきます。
日本の昔話やヨーロッパの童話をモチーフにしたゆめいっぱいのリース。季節の飾りにもおすすめです。プレゼントにもよろこばれます。
――眠っているおりがみ作品、たくさんありそうです。どのように保存しているんですか?
カミキィ:「お花」「動物」「食べ物」などのカテゴリーに分けて、それぞれジッパーバッグに入れて、衣装ケースにしまっています。
――宝の山ですね!
カミキィ:何これ?っていうような、自分でもわからないものもいっぱい入ってますよ(笑)。でも、ここから生まれたきせかえのパーツもありますね。
――おりがみ作品を生み出していくなかで、やりがいを感じるのはどんなときですか?
カミキィ:おりがみならではの表現があると思うんです。1枚を折るだけで目指している形になったり、1枚で2つのモチーフができたり。そういう、おりがみ的におもしろいものができたときに、いちばん達成感や充実感を得られます。
でも、正方形の紙を折るだけで表現するものこそがおりがみ作品だという見方もあると思うんですが、私が目指しているのは第一にかわいくて、それでいてかんたんで、誰でも楽しめるおりがみ。折る作業だけでなく、クラフト的に楽しむのもいいなと思っているので、あまりこだわらずに、これからもかわいい作品を生み出していきたいですね。
おりがみ作家として活動をはじめてから10周年の今年は、ハンドメイド作家の友人数人と合同イベントを企画しているそう。「実際に作品を展示したりするのはすごく久しぶりなので、私自身がとても楽しみにしているんです。壁面を広く使って表現してみようかな」とカミキィさん。
以前はあみぐるみなどのハンドメイド作品を作ってきたというカミキィさんも、今では誰よりもおりがみのとりこ。これからもカラフルな紙たちをかわいい作品へと変身させ、たくさんの人を笑顔にしてくれるはずです。