【横須賀 観光スポットレポ】緒明山公園 - 造船業の発展に貢献した緒明家にゆかりの地
横須賀市上町にある「緒明山公園(おあきやまこうえん)」をご紹介します。
京浜急行線「横須賀中央駅」から徒歩8分、京浜急行バスを利用する場合は「平坂上」で下車しそこから徒歩4分です。
横須賀中央駅の西口から出ると目の前が平坂です。
ここを右へ、坂を上る方向へ向かいます。坂を上り切った所に「上町1丁目交番」(現在は交番はありませんので注意)の交差点があります。
この近くに平坂上のバス停もありますが、ここを駅から見て右折すると中里商店街になります。
商店街を進むと左側に坂が見えてきます。この辺りが緒明山と呼ばれており、この坂を上りきったところに中央図書館があります。
公園はこの坂の途中、山の斜面に沿って三段の構造で作られている変わった公園です。
緒明山公園はアニメ「たまゆら~hitotose~」に登場するので、ファンが「聖地巡礼」として訪れる事でも知られています。公園でのシーンやそこからの眺め、図書館へ向かう坂道なども出てきます。
緒明山の歴史
この辺りは江戸時代に船大工、造船技師、そして明治時代に実業家として活躍した緒明菊三郎(おあけきくさぶろう)が所有していた土地でした。
そこから「緒明山」と呼ばれるようになりました。また緒明家は横須賀にも非常に縁が深いです。
1854年、開国交渉のために下田港へ入港していたロシアのディアナ号が11月4日に起こった安政東海地震による津波により破損沈没し、ロシア人を帰国させるために幕府とロシアが共同で洋式木造帆船ヘダ号を進水させました。この時に協力した船大工の一人に菊三郎の父である緒明嘉吉がいました。
それまで日本では主に和船が作られていましたが、このことが洋式船の造船の起爆剤となり、横須賀製鉄所にもその時にたずさわった多くの人たちが招集され貢献しました。菊三郎氏は嘉吉氏から船大工として教育され育ち、多くの事業に成功しました。緒明山も植林業の為に所有していたと言われています。
造船業も浦賀船渠株式会社(後の浦賀ドッグ)の発起人に一人として加わり、創業時には相談役と筆頭株主として重責を果たしました。
この辺りのお話が中里商店街の入口に書かれてあり、そこには商店街のシンボルタワーが作られていますが、このタワーは船の形をしています。
山は後に娘婿である圭造氏に引き継がれます。
この緒明山に、1935年の県営水道の通水に伴い配水池が建設されました。用地買収にあたり土地や土地売渡代金の一部が緒明家から寄付され、工事の進行に大きな効果をもたらしました。
その後、配水池は1970年に廃止され、その場所を活用して現在の公園が作られました。
「読書公園」の誕生
こちらの公園は別名「読書公園」と呼ばれています。
横須賀市は1982年に市制施行75周年を記念して「文化の元年」を宣言しました。
丁度この年に図書館の増改築が行われ、元々あった所が旧館、さらに新しく新館が作られました。
この時、この緒明山の地が文化都市作りに大きな役割を果たすと考えられ、この公園と図書館を一体のものとして活用するのが適切であるという事から「読書公園」と名付けられました。
三層に分かれた構造
三層の構造であるこの公園の一番上は図書館の目の前にあり、読書公園の名にふさわしく、藤棚やベンチが設置された落ち着いた雰囲気です。
設置されているパンダは時代を感じさせますね。1972年にカンカン、ランランの2頭が初来日した事によるパンダフィーバーの頃のものでしょう。
階段を降りると真ん中の層の公園です。こちらには滑り台と、動物の遊具があります。こちらにもパンダがいます。もう1つはリスです。
そこからさらに階段を降りると一番下の層の公園です。
「たまゆら」でもでてきた謎の遊具があります。子供が中に入ったりして遊ぶことができます。
まとめ
読書公園の名の通り、図書館へ行く流れで寄ったりする方が多い場所なのかなと思いますが、図書館へ向かってまっすぐ坂道を上っていくだけでなく、公園を通って緑を感じながら向かうのも良いのではないでしょうか。
坂が多い横須賀ならではの変わった作りの公園をぜひ訪れてみてください。
緒明山公園(読書公園)
アクセス
京浜急行横須賀中央駅より徒歩8分
住所:横須賀市上町1丁目66−6
駐車場:なし