やまゆり幼稚園 消防庁から表彰 県唯一、団活動が評価
栄区鍛冶ケ谷町にあるやまゆり幼稚園(柳下佳子園長)が3月5日、消防団等地域活動表彰を受賞した。消防団活動に理解や協力を示す事業所を消防庁長官が表彰。今年度は同園が神奈川県唯一の受賞となった。
栄消防署からの推薦を受けての受賞となった同園。消防署の担当職員は「消防団に個人ではなく、法人全体で協力している点や、防災関連のイベントなど多くの活動に参加しているところが評価されるべきだと思い、推薦した」と話す。受賞に際して柳下佳子園長は「消防庁からの表彰を目標にしていた。活動から2年ほどでの受賞に驚いたが、とても光栄なこと」と率直な気持ちを明かした。
きっかけは父の会
山之内涼香副園長をはじめとした10人の職員が栄消防団に所属している同園。2023年に6人が入団し、栄消防署から「消防団協力事業所」の認定を受けて以降、訓練やイベントの参加など積極的に活動を継続。昨年の8月には新たに4人が加わった。
入団のきっかけは同園父の会のメンバーで、栄消防署に務める後藤正宏さんからの勧誘。後藤さんは区内の幼稚園に対して消防団への加入促進を行うなかで、自身の子ども3人が卒園したやまゆり園にも声をかけ、入団する運びとなった。山之内副園長は「救急や応急処置に関する知識は命を預かる保育現場でも役立つと思った」と入団の理由を話す。現在、団に所属する職員は全員が上級救命士の資格を取得。そのおかげで、園児が熱性けいれんになった時も慌てずに対処ができるようになったという。
仕事との両立を実現
「せっかく入団したなら、長く続けて欲しい」と語る柳下園長。当初は仕事と消防団の両立が課題となっていたが、団の訓練への参加を強要しないのはもちろん、訓練の時間を変更して職員が参加しやすくするなど、関係機関と調整を図りながらこれまで活動を継続してきた。
活動頻度は月によって変化するが、訓練や講習に加えて、地域の防災イベントへの参加など内容は多岐にわたる。同園は3月初旬に本郷台駅前で行われた「防火・防災フェア」にも参加した。「防災紙芝居」と題して、子ども向けの紙芝居で、災害時に取るべき行動などについて分かりやすく説明。多くの人を集め、防災意識の向上に一役買った。昨年は栄消防署による協力のもとで授業参観の日に訪れた父親を対象に救命講習を実施。当日はAEDの使用法や食べ物が気道に詰まった時の対処法などを教えた。
来年度は地震の揺れを体験できる起震車を呼び、園児や両親が屋内で地震に遭遇した際の身の守り方を教える訓練も企画。今後に関して、職員の川田沙耶さんは「自分たちの活動が多くの人に伝わるきっかけになったと思う。他の事業所にもこのような取り組みが広がってほしい」と語った。