【山北町】山北町シルバー人材センター 茶園支援の自主事業がもうすぐ10年目 会員の生きがいの場に
関東大震災の復興作物として1925年(大正14年)に山北町で栽培が始まり今年100周年を迎えた「足柄茶」。山北町シルバー人材センター(山崎正次理事長)では、2017年から茶農家を支援する自主事業に取り組み、もうすぐ10年目に入る。
きっかけは、16年秋ごろ。高齢化で茶畑を維持できない農家が増えて「収穫量の減少や放置された畑の広がりが課題になっている」と相談が寄せられたことだった。もともと農家からの依頼を受け、茶の摘採や肥培管理など個別の作業を請け負っていた同センター。会員たちの就業機会の拡大に加え、町の主要作物である茶の生産振興につながるならばと、畑を借上げ栽培することにしたという。
使命感がやりがい
お茶班の青木英ニさん(79)と対馬明さん(72)によれば、自主事業と受託業務をあわせて16反(約1万6000平方メートル)を管理している。借り上げた茶畑では、2月から11月にかけて草刈りや施肥、摘採、収穫後の整枝など年間を通し作業の連続。新芽刈り時には班を超え収穫にあたる。
青木さんは事業開始当初からのメンバーで、対馬さんは19年から参加した。ともに定年後に家庭菜園を始め、育てた野菜が実る過程に喜びを感じたことが、お茶づくりに携わるようになったきっかけだ。
青木さんは「やるからにはやっぱりいいお茶を作りたい。その思いがやりがい」、対馬さんは「機械を持ちながら作業をしているので、筋トレにもなっています」と話すなど、健康づくりにもひと役買っている。「将来にわたり地域の名産品を守っていく」という強い使命感が背中を押している。
独自の取り組みは足柄上地域1市5町のシルバー人材センター間でもよく知られている。11月14日には、山北町で開かれた「足柄地区シルバー人材センター連絡協議会」の会合で、各センターの役員ら15人が出席する中で、2人による事業報告会が企画された。
会場では茶畑の現状や収穫量の推移、年間の作業スケジュールなど詳細な数字が発表され、参加者らからは驚きの声も上がっていた。青木さんは「足柄茶は、自分たちにとっても昔から飲み続けてきた地元のお茶。地域にとって大事なお茶だからこそ、これからもお茶づくりに関わり続けていきたい」と話した。