江戸時代から続く360年超の老舗【島川あめ店】 砂糖不使用「麦芽水あめ」は“富山のくすり”の歴史と深い関係も
1663年の創業、富山で14代も続く老舗の水あめ店があります。
富山市のまちなかにある「島川あめ店」。
江戸時代から360年以上も受け継がれている「麦芽水あめ」は、でんぷんと麦芽で作れらていて、砂糖は不使用。とっても甘いのに、体にもやさしいあめなんです。
昔ながらの伝統製法でつくる麦芽水あめ
島川あめ店の麦芽水あめは、昔ながらの伝統製法を用いて手作りされています。
材料は国内産の麦芽、鹿児島県産のさつまいものでんぷん、富山県産コシヒカリの米粉とおいしい水。砂糖は使わず、穀物が持つ自然の甘みを引き出すのが最大の特徴です。
工場の大きな窯で、2日がかりで作るという麦芽水あめ。5つの窯を経由し、不純物を取り除きながら高温で炊き上げます。
2日目の煮詰める工程で甘さがぐんと引き出されるそうですが、あめは温度に敏感なため、できあがりのタイミングを見極めるのは、熟練した職人だからこその技なんだそう。
富山のくすりと水あめの深い関係
昔から製薬業が盛んで、“売薬さん”が全国各地に富山の薬を届けるなど、「くすりの富山」として知られる富山県。実は、そんな富山の薬と島川あめ店の麦芽水あめにも深い関係がありました。
というのは、今でこそカプセルや糖衣コーティングなどで飲みやすくなっている薬ですが、かつての生薬は苦くて、飲みにくいのが当たり前でした。
その苦みを緩和するために水あめが使われたり、丸薬にするための“つなぎ”として水あめを混ぜたりしていたんだそう。
つまり、薬の文化や産業があったからこそ、甘味としてだけでなく水あめが根付いていったという富山ならではの歴史があるんです。
七五三にかかせない千歳飴も
秋に最盛期を迎えるのは、七五三にかかせない千歳飴。
島川あめ店では戦後から製造していて、今も心を込めて1本1本手作りしています。
千歳飴に使うのは、水あめよりも固く仕込んだ茶色のあめ。白いイメージの千歳飴ですが、初めはこんなに色が濃いんです。
これを、「たぐり機」という機械を使い、引っ張っては練る作業を繰り返します。そうすることで、だんだんと空気が含まれて白くなっていきます。さらに味もまろやかになり、口どけもよくなるのだそう。
七五三の千歳飴は、「細く、長く、粘り強く、いつまでも健康で長生きしてほしい」という願いが込められた縁起物。
子供の健やかな成長を祈りながら、富山の薬と飴の歴史について話してみるものいいかもしれませんね。
出典:KNBテレビ「いっちゃんKNB」
2024年10月15日放送
記事編集:nan-nan編集部
【島川あめ店】
住所 富山県富山市古鍛冶町6-7
営業時間 10:00~18:00
定休日 水曜