草野太一「専門学校の頃から続いている“巡り合わせ”。いつかはこの仕事で親孝行したい」【声優図鑑 by 声優グランプリ】
キャラクターの裏に隠された声優たちの素顔に迫る、インタビュー企画『声優図鑑 by声優グランプリ』。
今回は『あんさんぶるスターズ!!』の花群冬芽役や、『美男高校地球防衛部ハイカラ!』の阿蘇空太役などを演じる草野太一さん。今の経歴を“巡り合わせ”と話す草野さんは、これまでどんな道をたどってきたのでしょうか。家族との関係や休日の過ごし方など、プライベートの顔にも注目です!
草野太一
くさのたいち●11月4日生まれ。青二プロダクション所属。主な出演作はアニメ『美男高校地球防衛部ハイカラ!』(阿蘇空太)、『マッシュル-MASHLE-』(トロン・モルソー)、『ワールドトリガー』(別役太一)、ゲーム『あんさんぶるスターズ!!』(花群冬芽)ほか。
公式HP:https://www.aoni.co.jp/search/kusano-taichi.html
X:@taichi_1104
★草野さんの手書きプロフィール&コメント動画は2ページ目に!
これまでの“巡り合わせ”に助けられています
――7月から放送されるTVアニメ『美男高校地球防衛部ハイカラ!』では阿蘇空太役を演じています。
歴史のあるアニメ作品ですし、まさかオーディションに受かるとは思わず、うれしかったです。地球防衛部の5人は年が近くて、最初は緊張しましたけど、先輩たちの力もお借りしながら和気あいあいと収録しました。
――若手同士、どんなふうにコミュニケーションを取っていったんですか?
僕の場合は、むしろ無理に話さず、話題が発生したときに自然に話すように心掛けていて。みんなと話しているときは、どちらかというと聞き役に徹しています。声優になって1、2年目の頃は、現場でもコミュニケーションの面で緊張してしまうことが多かったんです。第一として芝居をするために現場にいるのに、始まる前に疲れてしまうようなこともありました。なので、今はできるだけ肩の力を抜くようにしています。
――1、2年目というと、『Fairy蘭丸〜あなたの心お助けします〜』のもっと前ですか?
そうですね、もっと前の作品の時ですね。『Fairy蘭丸』の時も、まだまだ新人で、周りのベテランの皆さんにすごく助けていただきました。『Fairy蘭丸』の役も『地球防衛部』と同じく5人組ですけど、『Fairy蘭丸』の現場では自分は後輩の立場でした。一方『地球防衛部』の現場ではどちらかというと先輩の立場。「当時は先輩たちに助けられていたんだな」とありがたみを感じることが最近多くて、自分もああいう先輩に近づけているかな?とふと考えたりします。
――立ち居振る舞いも現場で学んでいるんですね。
現場で学ばせてもらうことは多くて。それでいうと、“あの作品がなかったら、この作品は決まってなかったな”と思えるような作品ばかりなんですよ。たとえば『あんさんぶるスターズ!!』は、それまでに演じたキャラクターの演技経験や歌の経験などがあったから出られた作品だと思いますし。ほんとに巡り合わせですね。そういう縁みたいなものって、専門学校から続いているんですよ。
いつかはこの仕事で親孝行したい
――大阪アミューズメントメディア専門学校の声優タレント学科を卒業されていますね。
親から、卒業時に資格がもらえるような学校がいいし、最初から上京するのも心配だと言われて地元の学校に行きました。在学中からの縁といいますか、当時校内のあるイベントでメスのウサギ役を演じる機会があったんです。メンバーの中には女性もいたのに、内輪ノリで僕が選ばれて。でも演じてみたら、自分とかけ離れた役を演じるのも面白いなと気づき、それから、こっそりと中性的な役や女性の役も練習するようになりました。そうしたら、事務所に入ってからもそういう役を頂けるようになって……。あの頃のウサギ役が役に立ったというか、練習しておいてよかったと思いますし、縁だなと感じます。
――たしかにこれまでの役柄を見ても、中性的というか、少年や弟っぽい役が多いような気がします。ちなみに、声優を目指したきっかけはなんだったんですか?
アニメにどっぷり浸かった人生ではなくて、運動が大好きなタイプでした。最初にスポーツに触れたのは、小学校低学年の頃のサッカー。父がサッカーをしていたっていう単純な理由で、当時はサッカー選手になりたいと思っていました。高学年に上がるくらいの時期にアニメの『メジャー』を見て、吾郎くんかっこいいなと思い、野球を始めたんです。そこから結局、高校1年の夏まで続けました。その間も空手とか水泳とかアトリエとか、いろいろと習い事をさせてもらいましたね。そんななか、高校1年生の夏に野球をやめることになるんですが、今度は『黒子のバスケ』を見てバスケを始めるんです。
――なるほど。
野球部は、あと一歩で甲子園まで届くような強豪校だったんですけど、このままじゃ倒れてしまうと思うくらい練習が厳しかったんです……。加えて「なんで野球やりたいんだっけ?」とも思いはじめた頃だったので、バスケ部に入りました。坊主頭だったので、バスケ部で「強豪の野球部から坊主が来るらしいぜ」とウワサになっていたらしいです(笑)。
――(笑)。アニメの影響を受けつつも、お芝居に興味が向いていたわけではなかったんですね。
はい。ずっとスポーツに関わる人生になるんだろうなと思っていました。でも、その後、アニメにどっぷり浸かることになったんです。高校1年生のクラスにいわゆる“アニメオタク”の子がいて、その子のおすすめで、まず『刀語』を観たんです。深夜にアニメをやっていることをそこで初めて知って、自分でもいろいろ観はじめました。『ソードアート・オンライン』は、2期が始まる時に1期の24話を1日で一気に観ましたし、『黒執事』は漫画も全巻集めました。いちばん好きな作品かもしれません。
――そこでアニメにハマり、初めて声優という選択肢が出てきたんですか?
そうですね。とにかくアニメをずっと観ていて、このままアニメの世界にいたいと思ったような気がします。毎日アニメを録画して観ていたからなのか、親も納得してくれて、“やってみたいなら行くしかない”と、専門学校の門をたたきました。
――事務所への所属もスムーズに決まりましたか?
実は合格したほかの事務所もあったのですが、その返答期限より、青二プロダクションの最終審査のほうが遅くて……。でも青二へ行きたい気持ちが強かったので、不合格になったらどこかに就職するつもりで青二を受けました。“落ちてもいいや”っていう気持ちで受けたらリラックスできるんじゃないかと思いましたけど、がっつり緊張しましたね(笑)。
――いい緊張感があったんだと思います(笑)。声優を始めてから、難しいと思ったことや失敗談で覚えていることはありますか?
芝居が十分じゃないのは自分でもわかっているので、がむしゃらに頑張るしかないんですけど、トークのほうも苦手ですね。マネージャーさんやデスクさんからも「長い」「もっと簡潔に」とよく言われるので、難しいなって毎日思います。
――お話しするのは嫌いではないんですか?
嫌いではないです。でも、お仕事となると必ずしゃべらないといけないこともあるし、身構えてしまって。実家の母にも相談するんですよ。母とはよく一緒にゲームをしているし、電話でも話すので。「全然うまくしゃべられへんねんけど」って相談したら、「今くらいリラックスしてしゃべったらええやん」と言われて。「それができへんねんな」って返すんですけど……。なので、リラックスしてしゃべる方法を日々模索しています。
――家族の支えもあって心強いですね。
事務所に受かった時、母が「母ちゃんも実は昔、声優になりたかった」って話をしてくれたんです。母は親からの反対もあって諦めてしまったそうなんですが、急に息子がアニメを観はじめて「これは声優になりたいって言うんじゃないか」「うん、言ったわ」という流れがあり、これも巡り合わせだなと感じたみたいで……。これから声優としていろんな作品に出たり、両親をイベントやライブに招待したりして、親孝行できるようになったらいいなと思います。
皆さんの人生が少しでも潤っていたらうれしい
――休日はどんなふうに過ごしていますか?
何もすることがないときはゲームで『エーペックスレジェンズ』をしていますね。周りから「まだやってんの」って言われるくらいずっとやっていて、なんとなく肌なじみがいいというか。逆に言えば、エーペックス以外はあんまりゲームをしていないかも。母とゲームをするときは『フォートナイト』とか、ほかのゲームでも遊びます。
――ゲームをしていないときは?
壁……見てます。
――(笑)。
ボーッとしていることが多くて(笑)。誘われたら外にも出ますけど、自分からは誘えないタイプです。遊びに行くのはいいんですけど、先々にスケジュールが入るのが得意じゃないから、自分で予定を立てることがあんまりなくて。「明日行く」くらいの予定を組むほうが楽しめるタイプです。人が多いところは苦手なんですが、最近だと脱出ゲームとかはすごく楽しめました。あとはもう8割9割、家にいますね。
――おうち時間を楽しむためのアイテムとか、最近ハマっている食べ物などはありますか?
僕の生活があまりにもひどいので、今出演しているラジオ『草野太一・藤澤奨の僕ん家住まない?』で、“草野太一を真人間にする”っていう企画が始まったんです。日記を3日間つける課題から始まり、人間レベル100を目指すので、そのうち料理なんかもすると思うんですが……。
――真人間になれるチャンスですね(笑)。声優さんでよく会う方はいますか?
『エーペックスレジェンズ』で一緒に遊んでいるのは小林大紀さん。それから、ケンユウオフィスのkaytoくん。この3人でドーナツ会というのがありまして。
――ドーナツ会。ドーナツを食べる会、ですか?
はい。ドーナツを食べに行く会、です。でもドーナツに限らず、大紀さんの家で鍋パーティーをすることもあります。二人のおかげで僕は外に出ることができているんです。重松千晴さんと大紀さんの3人でも、年に1、2回ですけどご飯に行きます。『テクノロイド』っていう作品で同じユニットだったのがこの二人で、同作の別のユニットにkaytoくんがいて。年代も近いし、kaytoくんがコミュニケーション上手でガンガン来てくれたんです。僕はガンガン行けないほうだから、それがありがたくて、仲良くさせていただいています。
――プライベートのこともうかがえて良かったです。最後に、読んでくれた方にメッセージをお願いします。
まず、応援してくださっている皆さん、いつもありがとうございます。最近はイベントやライブで直接お会いできる機会が増えているので、皆さんの応援を直接感じることができて、すごくありがたいと思っています。結構あたふたしちゃう人なんですけど、その成長を見守っていただきながら、僕が参加させていただく作品を通して皆さんの人生が少しでも潤っていたらうれしいです。この記事で僕を初めて知ってくれた方も、“なんか、ええやつやん”と思ってくれていたら、作品やSNSもチェックしてもらえたらうれしいです!
~声優未来予想図~
▼1年後の姿
1年後には一人暮らしをしていたいです。今は専門学校の時の同期とルームシェアをしているので。
▼3年後の姿
今はどちらかというとゲームのお仕事が多いので、アニメ作品が増えていてほしいですね。オーディションに受かるように頑張りたいです。
▼5年後の姿
その頃には個人名義でライブができるようになりたいです。歌やダンスも好きなので。
▼10年後の姿
10年後はもう、変わらずにいたいです。お仕事の変化もありつつ、今演じているような役を任せてもらえるくらいフレッシュでいたいですね。
撮影/武田真和 取材・文/吉田あき
草野太一さん手書きプロフィール
草野太一さんコメント動画
▼動画URLはこちら
https://youtu.be/jy5r8MlGD6E
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