体よろこぶ“初女さんのおむすび”。相馬らしい食材と糀が染みる定食
第86回「おむすびと糀料理の店 たなごころ」
秋はスポーツ!とばかりに相馬光陽サッカー場で汗を流した帰り道。相馬らしいものをいただきたいと、初めて訪問したのが今年(2024年)の9月。その時に頬張ったおむすびの美味しさが忘れられずに再訪。
第86回の「ふくしま定食部」は、県立相馬総合高校の西側住宅地に今年7月にオープンほやほやの「おむすびと糀料理の店 たなごころ」さんへ向かいます。
カーナビで検索すると「相馬市北飯渕」。住所がすでに美味そうじゃないですか!
相馬駅から東へ。ホントにあるのかな…と進んだ住宅地に現れる幟が目印。
隣りの区画が駐車場なので、悠々と駐車したら、入り口の黒板で今日の献立を確認。
引き戸をぐいっと開け、下足を仕舞ったらくるりとターン。振り返ればあったかい家庭的な空気が包んでくれます。
陽射し差し込むテーブル席が並びますが、調理場の活気を全身に浴びようとカウンターにゲートイン。
定食メニューは、おむすび2個に糀汁と漬け物が付いた「おむすび定食」(900円)と、そこにおかずとミニデザートが付く「たなごころ定食」(1,500円)。ここは迷わず「たなごころ定食」を声高に宣言!
さて、ここからが問題。
前回もそうでしたが、上方に掛けられたおむすびメニューのチョイスに迷う迷う!迷う!
2つ選べるので、まずは相馬らしい松川浦の「あおさ」は当確として、相方には逆に相馬らしくない「お茶」を指名しましょう。
元々、子育てサロンも運営されている地域の憩いの場。後頭部に伝わってくる賑わいに、楽しさをお裾分けしていただいている気分です。
スタッフのみなさんが組んでいくセットに到着までのカウントダウンを感じたと思えば、いよいよ代表によるおむすびタイム。
トランプマジックを間近で見る客のような気持ちでドキドキ。手水は1回だけ。手に塩をなじませたら、掌(たなごころ)で、米粒がつぶれない加減でゆっくりと回しながら握る「初女さんのおむすび」。
初女さん(※)のお弟子さん直伝の味を試してみたくなったのが訪問のきっかけでした。
※佐藤初女さん(1921-2016)……福祉活動家。青森県・岩木山麓の山荘に悩みを抱えた人たちを迎え入れ、おむすびや山菜などの家庭料理で食卓を囲んだ
おむすびの食感を回想しながら待ち焦がれていると、経木に包まれたおむすびと湯気を纏った糀汁、鱈の唐揚げにかぼちゃサラダを乗せたお膳の到着です。
思わず、おおっと声が出そうになるのを飲み込んだら、いきなりハイライトの経木開きの儀。
お米が呼吸できるもので包みたいと、贅沢に経木で包まれたビジュアルにテンションが上がります!
今日も、ひと口目はあおさをパクリ。
はらりと口の中でほどけるのに米の一粒一粒はしっかり。大粒で食感も良い新米つきあかりが、噛むほどに美味いです。全面を覆うあおさも、主張しすぎない磯の風味が良い塩梅。
お茶のおむすびは渋み甘みを感じる、しっかりとお茶の味わいでこれも良いですね。
ここで糀汁の木椀を手に。えのきにニンジン、白菜と野菜たっぷり。豚肉も入った糀入りの豚汁。ずずぅっと啜れば、温まって染み渡って最高。
日替わりで供されるおかずは毎回豪勢。相馬の地のものを中心に構成されていて、前回はメヒカリ唐揚げ5尾のミラクルデーでした。
ミニデザートは、ラッキーなことに今日も塩糀ようかん。このようかんが個人的にヒット!来訪の目的の半分はようかんのためなのかもしれません。代表曰く、あおさのおむすびも塩糀ようかんも、突然これだと降ってきてメニュー入りしたそう。
初女さんのおにぎりを体感して、糀料理で元気になって、相馬らしさに触れて感動。
おむすびのお店ですから、テイクアウトももちろん可能。(テイクアウトはおむすび200~300円、おかず600円、糀汁300円、塩糀ようかん400円)
Instagramのプロフィールには、“にぎってむすんでよーくうくう”(0244-26-4099)と電話番号の語呂合わせが。そんなところからもジワジワ伝わる代表の気さくさ、温かさ、その温かい手が相馬の人と人を結ぶ、まさに「おむすび」なのだと思います。
お会計を済ませたら、来たときと反対に下足入れに向かってターン。満足感フル充電で玄関を出たら、すっかり深まった秋の夕景。
膨れたお腹で帰路の燃費が心配ですが、満たされた一日になりました。
ごちそうさまでした!
おむすびと糀料理の店 たなごころ
住所
相馬市北飯渕2-18-20
電話番号
0244-26-4099
営業時間
11:00~16:00(14:00ラストオーダー)
休み
毎週日・月・火曜日
駐車場
あり
リンク
https://www.instagram.com/tanagokoro5516/