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伝統漁具から進化した「インチク」って釣れるの?その使い方や万能性は、またまだ色あせない!

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伝統漁具から進化した「インチク」って釣れるの?その使い方や万能性は、またまだ色あせない!

「インチク」という釣具(ルアー)を、みなさんは使ったことがありますか?
昔、子どものときに父の釣り道具箱の中からタコベイトを見つけたときはおもちゃだと思い、壁に投げて遊んでいました。今ではタコベイトをインチクに付け、娘がおもちゃとして可愛がっています(笑)。

そんな可愛い仕掛ですが、いざ釣りに使うといろいろな魚種が釣れます。遊漁船のなかでは、根魚を釣るにはインチクが一番だといわれるくらいの仕掛です。そんなインチクを今回は紹介していきたいと思います。

漁具由来のルアー「インチク」とは?

インチクの発祥は能登半島だそう…

「インチク」の発祥は石川県能登半島といわれています。また今、多くのみなさんが楽しんでいる「タイラバ」の発祥は、関アジ関サバの町・大分県佐賀関だといわれています。私の妻の家族が佐賀関の漁師で、よく祖父が鯛玉を削っていたそうです。

インチクの名前の由来は幾つかあるようですが、ある漁師さんが使っていた漁具があまりにも釣れ過ぎていたのを見て、ほかの漁師さんがあれは「インチキ」だと言ったことから、「インチク」と呼ばれるようになったそうです。
そのインチクの形は丸子鉛だったといわれていますが、今ではさまざまな形のインチクが販売されています。

インチクの形

「インチクの形ってこだわらなくてもいいんじゃないの?」という声をよく聞きますが、私は釣りたい魚種、海域によって変えています。
以前、ある遊漁船の船長から「このメーカーのインチクは釣れない…」と言われました。勉強不足だった私はどれも一緒だろうと思い、また、違う遊漁船では釣れていたものだったので大丈夫だろうと挑戦したところ………見事に釣れませんでした(笑)。そのときから形の重要性を考え、「この海域ではどのインチクがいいのか?」「この海域のこの魚種にはこれがいいのか?」とこだわるようになりました。

インチクの形にもいろいろある

たとえば、丸子鉛の形のインチクを海中に落とすと、ほかの多面体のインチクに比べ抵抗が少ないように思います。抵抗が少ないということはフォールが速いわけです。「フォールが速いのを好む魚はどの魚種なんだろう?」「そもそもインチクってジギングやスロージギングと同じで、インチクも逃げ惑うベイトを演出するのだろうか?」「それとも、弱ったベイトを演出するのか?」などなど、形による違いは幾つも考えられます。そうして私は、完全に沼にハマってしまったというわけです(笑)。

先ほどの私の妻の実家の話に戻りますが、鯛玉を削っていた祖父も、佐賀関ではどんな鯛玉の形がいいのかを思案しながら作っていたのだと思われます。漁師さんがこだわるくらい鯛玉やインチク、ジグなどといった釣具(漁具)は、やっぱり形が重要なんでしょうね。
いろいろなことを試すのも楽しみ方の一つである釣り。みなさんもさまざまな形や重さのインチクを試してください。インチクのよさにびっくりしますよ。

インチクの使い方

ところで、「そもそもインチクってどのように使っていいのか分からない…」「分からないから使わない…」なんて言葉を周りから聞きますが、実はそんなに難しくないんです。むしろかんたんな釣り方で釣れる漁具だと思います。
そんなインチクの、代表的な釣り方を紹介していきたいと思います。

「ボトムパンピング」と「ボトムクロール」

「ボトムバンピング」は根魚ねらいのときによく使います。
インチクをボトムに着底させ、ボトムから跳ね上げさせる釣り方で凄くかんたんです。使用するロッドはさまざまで、ジギングロッドを好む人もいれば、(私みたいに)スロージギングロッドを好む人もいます。とくにロッドの硬さや調子は気にしなくても大丈夫です。

そして「ボトムクロール」はボトムをズル引きする釣り方ですが、根魚ねらいのときは根が荒い場所が多いので、底ベタだと根掛かりしてしまう危険があり注意が必要です。ですが以前、ボトムクロールに近いことを試したところ面白いことがありました。

船の流れがあるときに、インチクをボトムで根掛かりしないように少し上げ(底を切る)、流れに任せてそのまま待っているといきなりアタリがあり、根魚がかんたんに釣れるという経験がありました。
船の揺れと潮の流れが自然とアクションを起こしてくれて釣れた、という釣り方です。タイラバでもたまに使いますが、デッドスローでの巻きの釣りと原理が似た釣り方ですね。ボトムクロールに近いくらいの、底ギリギリをねらいます。

対象魚により
「ワンピッチジャーク」「高速巻きからの止め」「ゆっくり巻き」を使い分け

「ワンピッチジャーク」はジギングでよく使うと思いますがインチクにも使います。私は、とくに青物ねらいのときにワンピッチジャークを使っています。そして、よくコンビネーションとして混ぜて使うのが「高速巻きからの止め」。これが青物には有効でよく釣れてくれます。
ロッドはジギングロッドを使用して行いますが、硬いタイラバロッドでも大丈夫です。

マダイをねらう際は、タイラバとあまり変わらない釣り方で「ゆっくり巻き」。あとは、たまにアクションを入れる程度でしょうか。
ロッドはタイラバロッドで十分ですが、こちらから掛ける釣りが好きな私は、やや硬めのタイラバロッドを使用しています。

インチクはいろいろな魚種が釣れる

インチクの魅力は、何といってもねらうターゲットが無限大なところにあります。昔の(インチクを生み出した)漁師さんは青物をねらうために使用していたそうですが、現代のインチクでは、

・マダイ

・カサゴやメバル、ハタ類といった根魚

・ヒラメやカレイ、マゴチなどのフラットフィッシュ

・シーバスやブリ、カンパチ

といったさまざまな魚が釣れます。また、私は釣ったことがないですが、マグロなんかも釣れることがあるそうです。

大物が掛かることの多いインチク。以前、8kg以上の青物を掛けたのですが痛恨のフックアウトに泣かされたこともあります…(泣)

インチクで釣れる魚は基本的に大型であることが多く、個人的に、シルエットが大きく波動が強いのがその理由ではないかと考えています。

今回ご紹介した「インチク」は、今では一時期ほど使う人が多くないルアーのように思えます。タイラバほどカスタムパーツが多くないのも理由の一つかもしれません…。
しかし、今でもインチクを推奨している遊漁船も多く、タイラバやジギングで反応が悪いときに、根魚をターゲットにするにはもってこい! のルアーです。

私自身、まだまだインチクの勉強をしたいと思っていますし、新しい釣り方を模索しています。本当に万能で扱いやすいルアーですので、ぜひみなさんもチャレンジしてみてください。

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レポーター

プロフィール:西村 亨
遊漁船でスロージギングをメインにオフショアの釣りを中心に行うかたわら、自分の船ではエギやワーム、エサ釣りと、季節に合ったさまざまな釣りも楽しんでいます。最近は2人の娘が釣りに興味津々! 立派なアングラーになるため特訓中です。

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