【冬の災害時ライフハック】暖房が使えないときは必ず思い出して! 防寒に有効なキッチンアイテム
誰もが経験したことがないような災害がもし起こってしまったら、想定していなかった事態に見舞われることも……。万が一のときに身近にあるもので自分や大切な人の命を守る、ライフハックや防災グッズレビューを防災士がお届けする本連載。第2回となる今回は、アルミホイルの活用術です。気温が低く、寒くなってくるこれからの季節、災害が起こったときにまず気を付けなければならないのが「低体温症」です。断熱・保温効果の高いアルミホイルは、ライフラインの寸断で暖房器具が使えない中でも体温を保つために大きな役割を果たしてくれます。
低体温症は災害関連死の原因にも
地震や地震によって引き起こされる津波が直接の原因ではなく、災害でのけがや避難生活中の健康状態の悪化に伴って亡くなってしまうことを「災害関連死」といいます。2016年4月に起こった熊本地震では、50人の方が直接死で亡くなり、その4倍以上の219人の方が災害関連死で亡くなっています(2024年8月13日時点)。
2011年3月に起こった東日本大震災でも多くの方が災害関連死と認定されており、復興庁によれば、その数は2023年12月31日時点で3802人に上ります。3月といえば、災害に見舞われた東北地方はまだまだ厳しい寒さの中にあり、多くの方が低体温症で亡くなりました。冬の災害では、寒さ対策を万全に行っておくことが命を守る鍵となるのです。
保温効果の高いアルミホイルは、体温維持に活用しよう!
日常生活では主にキッチン周りで大活躍してくれるアルミホイル。実は断熱性や保温性に優れており、災害時には防寒アイテムとしても大変有用です。今回はアルミホイルの保温性を実証するため、前回ご紹介したペットボトルの簡易湯たんぽを使って実験を行ってみました。
ホット販売用のペットボトル(55~60℃に対応)を2本用意し、約55℃に温めたお湯を同量ずつ入れて、一方をアルミホイルで包みます。2本のペットボトルを玄関に放置し、1時間後に中のお湯の温度を計測してみました。
2本のペットボトルにやかんで温めたお湯を入れ、片方をアルミホイルで包む
この日の外気温は約10℃。何もしなかったペットボトルの中のお湯は35.8℃まで下がっていましたが、アルミホイルで包んだペットボトルの中のお湯は41.9℃で、何もしないより温かさが保たれていることがわかります。
アルミホイルで覆った簡易湯たんぽは、少しずつ温度が低下
また、別の実験では、アルミホイルで包んだ簡易湯たんぽをさらにタオルで包み、毛布の中に入れて12時間後のお湯の温度を計測。お湯の温度は54.2℃→32.3℃に変化していましたが、アルミホイルで包んでおけば、かなり長い時間温かさが保たれることもわかりました。
半日以上が経過していたが、触れるとまだ温かさを感じられた
普段から毛布や寝袋、非常用の簡易ポンチョなどが十分に備蓄されていればベストですが、万が一災害が起こったときにこういったものがなければ、保温性の高いアルミホイルを使って暖を取りましょう。
・靴、スリッパ、ルームシューズなどの内側をアルミホイルで覆ってから履く
・靴下の上からつま先や足首にアルミホイルを巻き、その上からルームソックスを履く
・おなか周りなどに肌着の上からアルミホイルを巻き、その上から服を着て、さらにダウンなどの防寒着を羽織る
このようにすると、体から放出される熱をアルミホイルが反射して体を温めてくれるので、体温を維持しやすくなります。
食器代わりやにおい対策にも使える!
また、成形性に優れているアルミホイルは、簡易食器として代用することも可能です。断水時など食器が洗えず紙皿などもないときは、コップやカップ麺の底に合わせて形を作るとお皿が作れます。
アルミホイルを使った簡易的なお皿の作り方
アルミホイルを数枚重ねて折りたたみ、スプーンの形に造形すれば、手を汚さず食事ができて便利です(ただし、いずれも強度は弱いため、あくまでも非常用の手段として覚えておいてください)。
アルミホイルを使った簡易的なスプーンの作り方
さらに、気体の遮断性も高いことから、アルミホイルには防臭効果も期待できます。ごみ収集が遅れがちな災害時は、長期間にわたってごみを保管しなければならない可能性も高く、におい対策は必須。生ごみなどにおいが出やすいものは、アルミホイルに包んでからごみ袋に捨てましょう。簡易トイレのにおい漏れも、上にアルミホイルをかぶせておくだけで軽減されます。
飲料水や食料も大切ですが、冬場は防寒グッズの備蓄も忘れずに。軽く持ち運びやすい、汎用性の高いアルミホイルは、備蓄として多めに保管しておくだけでなく防災リュックに入れておくのもお勧めです。ぜひ参考にしてみてください。