「えほんの森」開館 0歳から対象に無料開放 「素敵な本と出合える場に」
「地域の子どもたちに素敵な本と出合ってほしい」。ボランティアにより運営される民間の「えほんの森図書館」が、4月1日に武蔵新城駅北口近くに開館した。幼児が楽しめる絵本から小・中学生向けの図鑑や学習本など約1500冊をそろえ、誰でも無料で利用できる。
主宰する内田正志さん(48)は、新城で認可保育園などを運営。上新城にあった保育園を別の場所に移転させたため、空いたスペースを地域の子どもたちのためになることに利用できないかと考えてきた。子ども食堂なども候補にあげていたが、周囲の保護者らから「子どもたちが本と出合える場が少ない」という話を聞いた。「購入するには冊数に限度があるし、小杉の図書館まで行くには少し距離がある」という保護者の声に応えたいと、親子や子どもが楽しめる図書館を開くことに決めた。
約40平方メートルの空間には0歳児向けの絵本から子ども用の小説など約1500冊を並べるが、将来的には3000冊程度まで増やす予定だ。開館から1カ月が経ち、午前中は小さな子を連れた親子、午後は小学生以上が利用。貸出(1週間・5冊まで)を利用する際に必要な会員登録をした人は100人を超えた。利用者からは「近くに新しい本が借りられる場所ができてうれしい」と喜ばれているという。
子どもたちが設計
図書館の開設に向け、アイデアを出し合ったのが関係者らの子どもたち。小学校高学年から中学生までの6人が昨年8月から意見を出し合い、大人に交じって業者との交渉にも参加した。内田さんは「図書館の名前を考え、どのような本をそろえるかを話し合い、室内のレイアウトも子どもたちの意見を取り入れた」と話す。入り口から続く空間は低めのいすを中央に配置し、小学生以上が座って本を読める場所に。奥の半分は人工芝を敷いた「芝生エリア」とし、幼児や親子が寝転びながら本を読むことができる。天井は青く塗り、空を表現した。
これまでに平和や震災についての絵本を自費出版してきた内田さんは「いつかは絵本コンテストや読み聞かせの会などのイベントも開催したい」と展望を語る。
運営はボランティア
内田さんが考えているのが、地域に根差した持続的な図書館の運営。例えば運営母体となる企業の支えがなくなっても、図書館が子どもたちのために永続的に存在し続けることを目指している。
本の貸し出しや案内、受け付けなどの運営は現在30人ほどのボランティアが担うが、今後は寄付なども募りながら経営面で独立させたい考えだ。内田さんは「この場所が民間による図書館運営の一つのプラットフォームになれば、全国各地でも同じような形で展開することができると思う」と期待を込める。
図書館は誰でも無料で自由に利用することができる。開館は午前10時からだが、ボランティアの状況により変更の場合もあり。問い合わせは【電話】080・5885・5515、【メール】ringo@lci-h.co.jp(内田さん)。