なぜ「原爆ドームとアメリカ人」の物語が〈ファンタジー映画〉になったのか?『惑星ラブソング』全国公開中
広島から放つ、愛と平和のファンタジー
終戦80年の節目となる2025年、映画『惑星ラブソング』が6月13日(金)より全国公開中。現代の広島を舞台に、アメリカ人観光客と広島の若者たちが出会い過去と現在が交錯していく、不思議な物語だ。
ある日、広島の若者モッチとアヤカは謎めいたアメリカ人観光客ジョンに出会い、広島の街を案内することになる。ジョンには奇妙な力があり、街の至る所で何かを見つけていく。
一方、小学校で原爆の歴史を学び怖くなった少年ユウヤはその夜夢を見る。夢の中の少女はユウヤを戦時中の広島の街へと誘う。彼らに起こる不思議な物語は混ざり合い、一つの大きな渦になる。
この街の過去と現代が交錯し、幻と現実が融合し始める。やがて、忘れられていた愛の歌が街に響き、人々はひとつの奇跡を見つめる。
八嶋智人、川平慈英、谷村美月ら豪華キャスト集結
本作の監督・脚本を務めたのは国際映画祭で数々の賞を受賞し、「彼女は夢で踊る」「鯉のはなシアター」「シネマの天使」「ラジオの恋」など秀作を積み重ねてきた時川英之監督。広島に活動拠点を置く彼がプロデューサーの横山雄二と、終戦80年の広島市を舞台に繰り広げる不思議で壮大なオリジナルストーリーを完成させた。
そんな本作で初の映画主演を務めるのは、若手実力派俳優として数々の映画、ドラマで存在感を発揮する曽田陵介。ヒロインに映画、ドラマ、舞台に活躍する個性と華やかさを併せ持つ秋田汐梨、ロサンゼルスから俳優・音楽家として活躍するチェイス・ジーグラーを迎えた。
そして、高い人気とユーモアを兼ね揃え幅広い演技に定評のある八嶋智人、ミュージカルなど明るいイメージが強いが本作で個性的な悪役を演じる川平慈英が脇を固める。さらに、谷村美月、さいねい龍二、西村瑞樹、HIPPYなど、広島にゆかりのある実力派キャストが集結した。
アメリカ人観光客と広島の若者の出会い
本作はファンタジーの手法で「平和」というテーマにアプローチした意欲的な作品。時川監督は硬くなりがちな題材とファンタジックな演出の融合について、こう語っている。
平和をテーマにした映画というのは、どうしても教育的になったり、説教臭くなることがあります。もっと多くの人々に伝わるように、映画ならではの<物語>という手法で、ファンタジーの要素を組み込んで作りたいと思いました。今の広島の街を反映した不思議な話が交錯する平和の物語です。
映画だからこそ、現在と過去、夢と幻が融合し、忘れていた感情が溢れ出し、宇宙から広島を見つめることができます。戦争を体験した人たちの、その後を継ぐ世代として、新しい時代に広島だからこそできる物語を世界へ発していきたいと思います。
終戦80年を迎え、なおも核をめぐる争いが勃発している今こそ観たい、平和への願いをスクリーンに投影した『惑星ラブソング』は、シネマート新宿ほか全国順次公開中。