【西区】この場所の浪漫だけで白飯5杯はイケる!!熊本市内にある寺跡「池辺寺跡」(ちへんじあと)で平安時代にタイムスリップ!!
西区池上町に国指定史跡の「池辺寺跡」(ちへんじあと)というものがあるのをご存じでしょうか。なんと平安時代の寺院跡だそうです。 「寺跡」という退廃的な言葉に惹かれぶらっと行ってみましたら、「熊本にこんな場所があったなんて!」と驚きの光景が広がっておりましたので、ご紹介いたします。
場所は熊本市西区池上町
ぶいーんと、夏の晴れた日に車で向かいました。熊本市中心部から車で20分程で到着します。道は細めではありますが、整備された道路なので心配な場所はありませんでした。
到着しました。駐車場やお手洗いもありますので、ゆっくりと見て周れる公園になっております。
平安時代のお寺の跡とは一体
公園の全体図です。夏の大雨の後でしたので、若干草が伸びていたものの、とても綺麗に整備されております。 池辺寺跡とは平安時代初め(9世紀)の寺跡で、昭和61年から発掘作業が行われているとの事。 昭和61年ってとても最近の事のような気がします…それまでは人々に忘れられてここにひっそりと眠っていたという事ですよね。見つけられるまでがとても長い。寂しかった事でしょう。
公園の入口から見ると、山の傾斜に建てられた寺院であった事がわかります。作るのはものすごく大変そうです。
建築学の観点から復元された「本堂建物群」。
9世紀の仏堂は現存する建物がほとんどなく、発掘調査例も少ないため、当遺跡は大変貴重なものです、と書いてありました。そしてこちらの模型は想像でしかないとの事。
いやはや、本当にすごい場所なんです。 写真で見ると石ばかり写っていて、かなり映えない場所なんですが、是非一度は見て頂きたいオススメスポットなのです。
圧倒される100基の石塔
こちらが先程の模型の「本堂建物群」があった場所です。
こんな感じです。 例えばここに、バリバリに新しく復元された寺院のレプリカが建てられていたら、それはそれで「おお~」と思うかもしれませんが、想像力を削がれてしまい逆に物足りなさに浸かってしまったかもしれないと思うのです。 ごつごつとした遺構を眺め、その大きさ、その高さを想像して見て周る事で、まるで分厚い小説を読み終えた後のような満足感が得られるなぁと感じさせられました。
そしてこちらの遺跡の見どころはというと、整然と並ぶ100基の石塔跡!
これは復元されたものですが、こちらの石塔が10×10で、100基も並んでいたというのです。
ずらり100基並んでいた跡が間近で見られます。
そしてこの100基の石塔に「灯り」が灯っていたというのですから、想像すると…浪漫がすぎる!!夜なんて、どれだけ幻想的だった事でしょうか。
上から見た所。ここに10×10の石塔。100の灯り、そしてその下に本堂。 昭和43年にミカン畑から古代の瓦や土器などが発見されて、昭和61年からの調査で雑木林から発掘されたこちらの平安時代初期の池辺寺中心地。見つかった時は、調査に関わった方々は、ものすごい驚きと感動だったかと思います。
こちらは今現在のグーグルマップ航空写真。分かりやすく想像出来て、胸がわくわくします。
何故このような寺院が作られたのか?
ところでなぜこのような寺院が作られたかというと、「味生池(あじのういけ)に住む龍を鎮めるため」と言われているそうです。 味生池(あじうのいけ)とは、現在の池上小学校の北側一帯を「味生池跡」というようですが、加藤清正が埋めて水田にしたので、今は存在しません。
案内板に味生池の推定地が載っていましたので、こちらと照らし合わせて景色を眺めるとよいかと思います。池を下に見るように、寺院と石塔が並んでいた事がわかります。
昔、この池には悪竜がすみ、村人を困らせていた。 そこで池辺寺の住職が祈祷をしたところ、竜が出てきて「私は村に住んでいた女です。いじめられ、その仕返しに竜となり悪事をしたが、住職の祈りで目が覚めました。この罪滅ぼしに、日照りが続いたら、独鈷と鈴杵で雨乞いをすると降らせます」と言って消えた。 その後、大干ばつが続き、朝廷から雨乞いの勅令があり祈祷したところ、30日間雨が降り続いたので、寺は領地を与えられた。それ以来、池辺寺を竜池院という。池辺寺跡は国指定史跡である。
熊本市ホームページより
写真(公園内説明より)
なんとも切ない伝説がありました。
寺院の横には水が流れ、
こちらの下の観賞用の池に流れるようになっていたようです。池の跡もちゃんとあります。
池があり、本堂、石塔、登っていく事になります。
事前予約で案内もしてもらえるとの事
公園内はこのように歩きやすく整備されており、とても良い環境で遺跡を見る事が出来ます。 案内板も沢山あり、とても分かりやすく解説してありますが、見学予定の「一週間前」に申し込みをすれば、地元有志の「池辺寺ボランティアガイド」の方が見所や伝説を解説してくださるようなので、グループで行かれる方はそちらを利用されるとまた深く知ることが出来ると思います。 申し込み先 文化財課 096‐328‐2740
今と昔の風景の違いに想いを馳せる
帰り道に見つけた案内。
ここから見える風景が池であり、そこに龍が住み、その龍の怒りが鎮めるために寺院が作られたと思うと…人々の祈りや不安は計り知れないほど大きく、そして寺院の風景の壮大さに圧倒されて、感動が押し寄せてきます。 熊本市内に残る壮大な寺院の跡。想像するだけで、目の前の光景がぱっとタイムスリップするようでした。取材時には誰一人として見学者はいらっしゃらなかったのですが、かなりのおすすめの場所です。 全ては紹介しきれなかったので、是非足を運んでみてください! ※ゴミ箱等はありませんので、お持ち帰りをよろしくおねがいいたします。