『しあわせは食べて寝て待て』に登場した、わかめのおでんの調理方法
今回は漫画『しあわせは食べて寝て待て』で登場するわかめのおでんを紹介しよう。心温まるヒューマンドラマが繰り広げられる漫画『しあわせは食べて寝て待て』。免疫系の病気を患う主人公が、薬膳の知識を持つふたりの登場人物との心のふれあいを通して、健やかな生活を取り戻していくお話だ。第3巻にはおでんが登場し、耳鳴りに効果があるというわかめを具材として用いている。
漫画『しあわせは食べて寝て待て』
漫画『しあわせは食べて寝て待て』(https://www.akitashoten.co.jp/series/10300)は、秋田書店の『フォアミセス』で2020年3月号から連載している。「このマンガがすごい!2022」のオンナ版では8位となり、NHKでのドラマ化もされている。
原作者の水凪トリさんが膠原病(こうげんびょう)となり、薬膳によって回復した経験から生まれた物語であるため、その描写やストーリーには説得力があり、日常生活で同じような悩みを持つ読者からの大きな共感と支持を得た。食や人との触れ合い、自分自身の感じ方を丁寧に取り扱うことの大切さを学べる名著といえるだろう。
わかめのおでんを調理してみる
さて、ここからは『しあわせは食べて寝て待て』に登場したわかめのおでんの調理法を紹介していこう。調理法といっても、普段のおでんにわかめを入れるだけ、気をつける点はほとんどない。
わかめは日本と朝鮮半島の東アジアで食用の海藻として親しまれている。日本では縄文時代から食べられており、今では主に味噌汁や和え物の具材として用いられる。産地は三陸地方の岩手県と宮城県が全国の7割ほどを占め、鳴門(徳島県、兵庫県)で3割ほどとなっている。
ミネラルや植物繊維を多く含んでおり、身体のさまざまな不調に効果があるといわれる。作中では、耳鳴りに悩む主人公が腎の衰えを補うべくわかめを食している。東洋医学の世界では腎臓が悪い状態を補うため、「黒い食べ物(わかめ、黒ゴマ、ひじきなど)」をすすめる場合があるようだ。
わかめの旬は春だが、塩蔵や乾燥などの加工を施して保存され、一年中味わえる。どれを用いてもかまわないが、今回は刺し身用のわかめ(湯通ししたもの)を用いた。
乾燥わかめは水で戻す。塩蔵わかめも同様に水に漬けて塩抜きしたあと軽く湯通しする。刺身用わかめは軽く水ですすぐ程度でいい。わかめは柔らかいので噛み切れるが、食べやすいように適当な大きさに切っておく。あとはおでんに入れるだけだ。
おでんの具材は好みのものでかまわないが、「しあわせは食べて寝て待て」に登場したものを紹介しておこう。定番の大根、白滝、焼ちくわ、そして骨つきの鶏肉だ。
大根は下茹でするが、時短したい場合は省略してもいい。次におでん汁の材料(出汁、醤油、みりん、塩など。もしくはおでんの素)と一緒に鶏肉を中火で煮て、沸騰したら灰汁(あく)を取り除く。大根と白滝を加えたら、火をすこし弱くしてじっくり煮ていく。完成の5〜10分前に焼きちくわを加え、最後にわかめにさっと火を通す。
わかめはおでん汁を抱き込み、磯の香りがふんわりと広がってぬくもりのある味わいとなる。栄養面はもちろんだが、心にもやさしく作用しそうだ。
体調が優れていない場合には、おでんのような汁の多い煮物は負担が少ない。暑い時季には冷やしてもおいしいので、好みの具材を加えながら味わってみてほしい。
取材・文・撮影=東京おでんだね
東京おでんだね
東京のおでん種・蒲鉾・練り物の魅力を紹介
「おでん種やさんでおでんを買って、家で調理して食べる」文化を盛り上げるべく、都内各地を奔走中。ビジネスでなく趣味でちまちま活動しています。