実写版『リロ&スティッチ』レビュー|大人こそ泣ける!スティッチが教えてくれた“家族=オハナ”のカタチ
2002年に劇場公開され、世界中で愛されたディズニーのアニメ『リロ&スティッチ』が、ついに実写映画として帰ってくる!地球に不時着した、愛を知らないエイリアン・スティッチ。そして、愛を失った少女・リロ。ふたりの出会いが、小さな奇跡を起こします。
監督は、第95回アカデミー賞長編アニメ映画賞ノミネートされた『マルセル靴をはいた小さな貝』(21)で注目を集めたディーン・フライシャー・キャンプ。日本語吹き替え版は、アニメ版と同じく山寺宏一がスティッチの声を担当しており、懐かしさと新しさが共存する仕上がりです。アニメ版をリアルタイムで観ていた世代にとっては、スティッチのいたずらや暴れっぷりに笑いながらも、リロとの絆にじんわりと心を動かされた記憶が残っているはず。実写版では、そんな記憶を懐かしみながら、もう一度“家族とは何か”を問い直す時間が与えられます。
6月6日(金)の公開に先駆けて試写会に参加したSASARU movie編集部が映画の見どころをレビューします
実写映画『リロ&スティッチ』気になるストーリー
ハワイのカウアイ島で暮らす両親を亡くした少女リロと姉のナニ。ひとりでリロを育てようと奮闘するナニだったが、若すぎる彼女は失敗ばかり…。
同じ頃、地球から遠く離れた場所で、違法な遺伝子操作により“試作品626号”と呼ばれる地球外生物(エイリアン)が誕生した。見た目はかわいらしいのに、ものすごく暴れん坊で不思議なこの生き物は、監視の目を潜り抜け地球に落下。そんなことは知らずに、リロはその生き物を「スティッチ」と名付け家に連れて帰る。
予測不可能なスティッチの行動は平和な島に混乱を巻き起こすが、その出会いがやがて思いもよらない奇跡を呼び起こす。希望を失いかけていた姉妹はどのように変わっていくのか?
あなたも、きっとふれたくなる。スティッチのリアルな存在感
実写版のスティッチは、パペットの立体感とCGの滑らかな動きが絶妙に融合されているのが特徴。特に耳やまぶたの動きは、機械的な演技では表現しきれない“迷い”や“戸惑い”までにじませています。
ふわっとした毛並み、くりっとした目。ときに怒ったり、ときにさみしげだったり──その表情はとても豊かで、まるで本当に“生きている”かのようなリアリティがあります。
かわいらしさに加え、やんちゃな暴れぶりや戸惑いをにじませる仕草など、まさに感情をもった存在として描かれています。言葉が通じなくても、心が通い合っていくリロとスティッチの様子に自然と胸が熱くなりますよ。なかでも、スティッチが家族を“守る”シーンには、自然と涙がにじみました。無邪気で手に負えなかった彼が、リロのそばにいたい一心で変わっていくその姿に、ただの「かわいい」では終わらない命の輝きを感じます。
守りたいと思った、その時から“オハナ”が始まる
本作において、1番のメッセージは「家族=オハナ」です。"オハナ"とは、ハワイ語で「家族」を意味する言葉ですが、それは血のつながりだけではなく、支え合い、守り合う大切な関係も含まれています。
スティッチとの出会いが、リロとナニの絆を深めていく過程には、たくさんの愛と葛藤が込められています。スティッチがリロに愛情を表現して、互いの存在を認め合う瞬間はまさに"オハナ"になったと感じました。そんなスティッチの存在が、姉妹を成長させ、絆を深くし支え合います。特に、リロやナニがスティッチを守る姿は、優しさに溢れ、思わず涙がこぼれそうになりました。優しくて、不器用だけどまっすぐな愛。その“やさしさ”が、この作品全体に静かに流れています。
家族のあり方に悩む人、誰かとのつながりに疲れている人にも、きっとそっと寄り添ってくれる作品です。
もふもふのスティッチとどこまでも広がるハワイの青空。そして、血のつながりを超えて結ばれていく"オハナ"の絆があなたの心にもそっと寄り添ってくれるはずです。
実写映画『リロ&スティッチ』の基本情報
■公開日:2025年6月6日(金)
■配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
■監督:ディーン・フライシャー・キャンプ
■キャスト:クリス・サンダース(スティッチ役)、マイア・ケアロハ(リロ役)、シドニー・アグドン(ナニ役)
■吹替版キャスト:山寺宏一(スティッチ役)
永尾柚乃(リロ役)、MOMONA(ナニ役)
中村海人(デイヴィッド役)、渡辺えり(トゥトゥ役)
長谷川忍(ジャンバ博士役)、三ツ矢雄二(プリ―クリー役)
■公式サイト:https://www.disney.co.jp/movie/lilo-stitch