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【シナモンロールに導かれ/八王子】アメリカのママンの味。「Cimo’s Bakery(シモズベーカリー)」

CAKE.TOKYO

illustration by まるやまひとみ

シナモンロールが好きだ。吸い込まれそうな渦巻き、半分に割った時の縞模様。アーティスティックな姿に何度陶酔したことだろう。

溶けてしまいそうな甘さと芳香に満たされ、私の奥底に眠るシナモンロールの記憶を呼び起こす。もっとシナモンロールのことが知りたい。シナモンロールに会いたい。

シナモンロールは私をあちらこちらに連れ出し、縁を繋いでくれる。さあ、今日も今日とてシナモンロールを求め西へ東へ…

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出会いは東逗子。お庭のきれいな一軒家で行われるオープンガーデンにて、シナモンロールや焼き菓子を販売するとの情報を得た。オンラインにてシナモンロールの通信販売をしていた「Cimo's Bakery(シモズベーカリー)」。不定期に直接購入できる機会が設けられ、この日晴れて念願のシナモンロールを買いに行ったのだ。

新緑のトンネルを抜け、色とりどりの花たちに挨拶をするように大きく手を振り進んでいく。家の中に入ればムンムンと突き刺さるシナモンの香り。匂いを辿っていくと、大きな焼き型にぎゅうぎゅうと敷き詰められたシナモンロールが湯気を出して待っている。恋焦がれたアメリカンなシナモンロール。記憶に染みついたあの姿と八王子で再会を果たす。

CAKE.TOKYO編集部

家族と作り上げる唯一無二の一品

はためくシナモンロールの文字を見つけ思わず小走りになる

この日は、八王子駅から徒歩で20分ほどの所に位置する、キッチン&シェアスペース「まちはぐMACHI-HUG」を活用しての販売だ。

バス停が目の前にあるので、暑い季節はバスでの移動がおすすめ。

木の統一感に白黒の椅子がリズミカルな明るいイートインスペース。

飲食の販売にワークショップ、マルシェなど、多種多様な目的で利用されており、ここから卒業して個人店を開いた方も。

2025年7月からこの場所で月に一度販売している「Cimo's Bakery」。最初に店頭販売をスタートさせたのもここだった。

自宅や海外でのホームパーティーでよく作っていたシナモンロールを東逗子のオープンガーデンで出したことをきっかけに「販売してほしい」という声が広がり、ネット販売を開始。

都内で手渡しの販売も行っていたが、店頭での販売は「まちはぐMACHI-HUG」が初だ。

この日は4種類。バラエティ豊かなフロスティングがまるでケーキのよう。

店名は旧姓の一部を取り、娘さんのアイディアで頭の「Shi(シ)」を「Ci」に変えてシナモンロールらしさを表現。そして東逗子のオープンガーデンの場所を開放している店主の妹さんも手伝いにいらしていた。

もう一人の娘さんもロゴのデザインに携わるなど、家族のサポートが大きな力となっている。家族みんな店主が作るシナモンロールが大好きなのだ。

とびきりのおいしさで虜にしたい!

大きなパンにフロスティングの躍動感。インパクト大!

店主がシナモンロールに魅了されたのは20代、アメリカへの留学がきっかけだった。

ボボンとふくよかなパン生地に、どっしり甘いシナモンフィリングとフロスティング。そのおいしさに感動し、様々なシナモンロールを食べ歩いたという。

しかし日本に戻ってくると、そのようなシナモンロールは当時どこのパン屋にもなかった。ないなら自分で作ろう!

以来自宅でシナモンロールを焼き続けているのだそう。

焼き上がったシナモンロールが元気に飛び出している。

ベースはアメリカのレシピ。そこから自分の好みなどに合わせてアレンジを施し、オリジナルのシナモンロールができあがる。

その後に駐在していた海外でもパーティーがあれば必ず出していたといい、参加していた欧米人も大絶賛。

本場の味を知るアメリカ人からも好評だったことから自信がつき、販売を決めた。

ラズベリーソースをかけたジュエリーなシナモンロールは高級感たっぷり

販売にあたりシナモンロールをさらに改良。家族に試食をしてもらい、ご主人や娘さんたちからアドバイスをもらった。粉は数種類を組み合わせ、誰にでも食べやすいよう甘さは控えめに。

アメリカでも最近は甘さを抑えたものが増えたといい、一人で2個ペロリと食べられるような味わいを目指した。

家族が喜び愛してくれるシナモンロールを大切に育て上げ、アメリカにも日本にも存在しない「Cimo’s Bakery」だけのシナモンロールがついにデビュー。ネットで販売すればたちまち人気商品に。

私もあの日の感動を再び味わえると、浮き立つ気持ちを抑えながら焼き上がったばかりのシナモンロールが届くのを待つ。

ここはアメリカ・ニューヨーク!これぞ王道シナモンロール(イラストあり)

illustration by まるやまひとみ

今回いただいたシナモンロールは

●オリジナル ¥550(税込)
●ピスタチオローズ ¥750(税込)

本場ニューヨークで食べた思い出の味を再現し、大きくふっくら焼き上げた生地。

ニューヨークのベーカリーを彷彿とさせるスクエア型でちぎりパンのようなスタイル。

渦の飛び出し方から側面まで一個一個に個性を感じる、日本ではなかなか出会えないおおらかさ。

フロスティングの甘さが発酵バターの豊かな風味と溶け合って、この上ない贅沢を味わわせてくれる。

イートインでは追いシナモンまでしてくれる嬉しいサービス。

こんがり焦げ茶色に焼けていたてっぺんが見えなくなるほどのクリームチーズフロスティング。

そうそう、フロスティングはこのくらいでなければ。煮物も牛丼もつゆだくが旨いのだ。

そのままでもよいのだが、温めると生地のふわふわ感が増し、溶けたフロスティングが渦の隙間から流れ落ち中までジューシーに。

これを生地にたっぷり絡め、口から溢れそうなくらい思い切りよく頬張る。

ほかほかと温かく、匂いに刺激されてグウッとお腹が鳴る

外側はサワサワと歯を撫でるように乾いた感触。焼き目のカリッとした部分と、中のふわふわとした部分のコントラストが効いている。

もち〜っと引きがあるのに粉感もあり、甘味、旨味、フロスティングの染みたミルキーな口溶け、ひと口ごとに代わる代わる変化するパンの味わいに驚く。

なによりすさまじいのは、脳へダイレクトに伝わるような濃いシナモン。なんと複数のシナモンをブレンドしているというこだわりだ。

ピリッと来る香りや舌に残る甘さといった各シナモン特有の風味が流れるよう。

艶のある美しいグリーンにローズのピンクが印象的。

「ピスタチオローズ」は、自家製ピスタチオペーストのフロスティングにドライローズを散りばめた山に咲く花のような光景に美を感じる。

香り高いピスタチオとシナモンの華やかなアロマが重なり合うシナモンロールだ。登頂する気持ちで巻き始めから少しずつほどいて口へ運ぶ。

ピスタチオの粒がコリコリと表情を生む。

ねっとりと吸い付くピスタチオ。ナッツ本来の甘味が上品に広がる新鮮な味わい。コクがあり濃厚だが、上質な旨味はしつこさを感じさせない。

香り高いシナモンとローズが可憐で、高貴な気持ちになれる豪華な一品。追加で買っておけばよかったと悔やむほどにあとを引く。

そういえばオープンガーデンに訪れた時、ちょうどバラが満開の季節だった。ふと込み上げる懐かしさに笑みがこぼれる。

フロスティングとソースだけでも販売してほしいほど。 この日ラインナップされていた「キャラメルバナナ」のソースをサービスしてくださった

この日ラインナップされていた「キャラメルバナナ」のソースをサービスしてくださったので、ありがたや〜!と拝みながら残りのシナモンロールに乗せていただく。

「甘い」は幸せの象徴であることを実感。

ぎゅぎゅっと濃縮されたバナナの甘さにビターなキャラメル。絶妙たる焦がしの塩梅でまろやかに絡み合う素晴らしいバランスだ。

バナナの食感もあって味のボリュームが一気に厚みを増す。後味のフルーティーさがシナモンとあいまって幸福度は最高潮に。

ドリンクは体に優しいノンカフェイン。

チコリなど植物由来のものでできている穀物コーヒー。

自然な甘さと独特のほろ苦さを持っており、胃腸にもやさしいという。リッチなシナモンロールを堪能する際、体を気遣うドリンクが選べるのは嬉しい。

他にもルイボスティーやハーブティー、ルイボスティーをエスプレッソのように抽出した「ルイボスエスプレッソラテ」といった変わり種も。

次回はこちらをいただいてみよう。

風景とシナモンロールが記憶にリンクする

私と「Cimo’s Bakery」が出会った思い出の場所。

東逗子で毎年恒例のオープンガーデンでは、シナモンロールの他にケーキや焼き菓子などが並ぶ。

ホームパーティーのように「Welcome!」な雰囲気は海外そのもの。お庭の花々を眺めながら優雅なティータイムを楽しめる。

にぎやかなムードに後押しされて、見知らぬ人とも会話が弾む。駅までの送り迎えなど、地元の人たちのやさしさにも触れたあの日。

シナモンロールを食べるとあの光景が解像度高く思い出されるのだ。

シナモンロール以外にもたくさんのアメリカンベイクが並ぶ。

「Cimo’s Bakery」のパンやお菓子は、アメリカンなテイストなのに甘ったるさが一切残らない。残るのは香りの余韻と記憶に染み付くおいしさ。

魅惑的な味は人生を変える。そんなおいしさに出会えることがこれから先あるだろうか。

1度食べたら忘れられないシナモンロール。店主の深い愛情が作り出す味は、心に柔らかな花を咲かせる。

このシナモンロールを食べればあなたの中にある思い出もよみがえるかもしれない。

WRITER:まるやまひとみ

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【SHOP INFORMATION】

SHOP:Cimo’s Bakery(シモズベーカリー)

OPEN:出店日・時間はInstagramにてご確認ください。

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