世界と肩並べるワイン品質とサステイナビリティ「クラギー・レンジ」の挑戦
ホークス・ベイを代表する「クラギー・レンジ」。
ラ・プラス・ド・ボルドーで高品質ワインを世界に向けて販売する一方でサステイナブルなプロジェクトにも力を入れている。その実像に迫る。
「クラギー・レンジ」は1998年にピーボディ家によって設立された。2022年にニュージーランドで初めて、ラ・プラス・ド・ボルドーを通じてホークス・ベイの「ギムレット・グラヴェルズ」の『ル・ソル・シラー』とマーティンボロの「テ・ムナ・ロード・ヴィンヤード」の『アロハ・ピノ・ノワール』の販売を始めた。アロハ・ピノ・ノワールをラ・プラス経由にしたのは、ピノ・ノワールがニュージーランドの高級ワインの中で強い位置を占めていることを世界に広める狙いがあった。
一方で、ル・ソル・シラーズはコート・ロティやエルミタージュの伝統あるトップ生産者にひけをとらない冷涼シラーであることを世界に知らしめた。そうした取り組みと世界での評価が認められ、クラギー・レンジは「世界で最も称賛されるワインブランド2024」で36位にランクインしている。
未来につながる生物多様性プロジェクト
また、クラギー・レンジはワインの品質だけでなく、持続可能性においても世界の素晴らしいワインと肩を並べることを目指している。ニュージーランドは40年以上前からオーガニックおよびサステイナブルなワイン造りに取り組んできた。中でも、クラギー・レンジが2020年に始めた生物多様性プロジェクトは注目されている。マーティンボロのブドウ園に100ヘクタール以上の高木や低木など在来樹木を植え、生物多様性を向上させるとともに、最終的には土地の質を向上させることを狙いとしている。植樹とともに貯水設備を増設し、オーガニック生産にさらに重点的に取り組んでいる。これはニュージーランドでも最大規模のプログラムだ。
「私たちは孤立してブドウを栽培しているわけではない。生物多様性を向上させることで、最終的にはブドウ園を超えて利益をもたらす環境を作り出せる」と、栽培責任者のジョナサン・ハムレット氏は語る。
長期間の家族の信頼関係が、地球の未来につながっている。
text by Akihiko YAMAMOTO
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