【上原美術館の「都の祈り 伊豆の祈り」展】 「ここにはない」仏像 思い描く
静岡新聞論説委員がお届けする“1分で読める”アート&カルチャーに関するコラム。今回は下田市の上原美術館で9月23日まで開催中の「都の祈り 伊豆の祈り」展から。同館コレクションから下田、三島の各市や松崎、南伊豆、河津の各町に伝わる平安~鎌倉の仏像など18点を紹介。
2024年春に国指定重要文化財となった南禅寺(なぜんじ、河津町)伝来諸像は、10~11世紀の作とみられる木彫の神仏像。今回展では、同じ南禅寺に伝来した、彫像の断片を展示している。
現存する仏像のどこにも取り付けることができなかったという、「パーツ」たち。その形から、仏像のどの部位に当たるか、想像を膨らませる。明らかに分かるものも、そうでないものも。博物館で「ここにはない」仏像の姿を思い描く、これまでなかった仏像鑑賞体験である。
三島市の長福寺伝来の「十二神将像(寅・辰・巳・酉)」は、頭が大きめで表情もユーモラス。むっつりと目を伏せながら、手で大きなアクションを見せる。見れば見るほど、いとおしさが募る。(は)
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■上原美術館
住所:下田市宇土金341
開館:午前9時半~午後4時半
料金(当日):一般1000円、学生500円、高校生以下無料
会期:9月23日まで