多摩産材曲げわっぱ 伝統とアートの融合 16歳クリエイターがデザイン
多摩地域で育ったヒノキを使用して地元の木工職人が手作りしている「曲げわっぱ」に、独自のアートスタイルで注目を集める新進気鋭の女子高生クリエイターがデザインを施したコラボレーション作品「東京曲げわっぱ〜HachiojiArtStyle〜」が完成。8月18日(日)に八日町の「まちの駅八王子CHITOSEYA」でお披露目会が開かれる。
高度な技術が必要とされる工芸品とペン画アートの融合。制作したのは、元八王子町にある木工房三澤の三澤正孝さん(41)と、市内在住のアーティストsaoriさん(16)だ。三澤さんは多摩産材の中でも質の良さが認められた「多摩産材認証材」のヒノキを使った東京曲げわっぱを、昨年11月から制作。市内の型染め職人が蓋に装飾を施したコラボ作品も手がけた。今回は、インスタグラムで偶然目にしたsaoriさんのアートデザインに一目惚れした三澤さんがダイレクトメッセージを送ったことが合作のきっかけとなった。
筆圧まで感じて
saoriさんは、独自の感性でモノクロームの世界を描く高校2年生。集団行動など人と合わせることが苦手で、中学1年生の時に自閉スペクトラム症と診断された。子どもの頃から絵を描くことが好きで、紙がなくなるほど没頭することも。記録用に作品をインスタグラムに載せたところ絶賛のメッセージや展示会の誘いなど多数の反響があり、最近では企業からの依頼でハンカチやタンブラーのデザインを手掛けた。
「木に描くのは初めてで、力加減などのコツをつかむまで戸惑った」と振り返るsaoriさん。一枚ごとに模様が異なる天然の木目を生かしたデザインを考え、描く時は周囲の状況が見えなくなるほど集中してフリーハンドで一気に描き上げるという。
「プリントにすれば楽で大量生産もできるが、saoriさんが作品に込めたエネルギーやライブ感を感じてもらいたいと思った」と、あえて1点ものにした理由を語る三澤さん。デザインについては高尾山や織物など八王子をイメージするテーマを伝えたが、ライブ感を大切にするためほぼ注文は付けなかったという。「予想以上に良いものができた。コラボを通じて今まで曲げわっぱを使ったことがある人や知らなかった人にも興味をもってもらえれば」と願いを込める。
saoriさんは「私の作品を三澤さんが輝かせてくれて、うれしい。お披露目会では、たくさんの人に絵の部分に触れて、筆圧を感じてほしい」と語った。
お披露目会
新しい曲げわっぱは、八王子市のふるさと納税の返礼品にも登録予定。
18日のお披露目会では3種類の曲げわっぱを展示販売する。税込3万4100円で、すべて1点ものとなる。当日は三澤さんとsaoriさんも滞在予定。午前10時から午後5時まで。問い合わせはCHITOSEYA(八日町3の15)【電話】042・621・2901。