東京都渋谷区は子育てしやすい?体験して分かった魅力的な子育て支援制度やおすすめエリア
東京都渋谷区といえば、都心の注目スポットとして定番の渋谷の街を真っ先に思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。観光やファッション、オフィスのイメージが強く、「人が住むところなんてあるのだろうか」「ファミリーでは住みにくいのではないか」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
そんな渋谷区ですが、実は子育て世帯にとても優しい自治体です。私は渋谷区に5年以上住み、現在5歳と3歳の子どもを育てています。ここでは、渋谷区の環境や制度が、子育てする世帯にとってどんな魅力があるのかをお伝えします。
渋谷区の基本情報
渋谷区はどのような街でしょうか。
渋谷区の概要
渋谷区は東京23区の中心部に位置しており、面積は15.11km2、23万1,741人(2024年12月1日時点)の人口を有しています。渋谷、原宿、表参道、恵比寿といったトレンド発信エリアを含む一方で、明治神宮や代々木公園などのように緑も豊かなのが特徴です。
渋谷駅前の忠犬ハチ公像は今や観光名所で、待ち合わせ場所として利用している方も多く見られます。そんなハチ公は渋谷区のシンボル的存在でもあります。渋谷区内に4ルート走るコミュニティバスは「ハチ公バス」と名付けられており、区民にとって重要な移動手段のひとつです。
わが家が子育て環境に渋谷区を選んだワケ
わが家は住む場所を選ぶうえで、夫の通勤の利便性を重視しました。渋谷区はJRや私鉄、地下鉄とさまざまな路線が通っており、都心部へのアクセスが非常に便利です。また、エリアによってはファミリー層が多く暮らしていて、上質で落ち着いた雰囲気を持っています。スーパーが徒歩圏内に数件あり、買い物など日常生活に困らない点も、大きな魅力のひとつでした。
実際どう?渋谷区の子育て
渋谷区は、子育て支援の基本理念として「産みやすく、育てやすく、預けやすいまち渋谷」を掲げています。地域や社会、行政が相互に連携して子どもの育ちを助けていくことを約束していますが、実際に住んでいても、子育て制度が非常に手厚く、恵まれていると感じることが多いです。
ここからは、渋谷区の子育て事情について具体的に紹介していきます。
数字で見る渋谷区の子育て事情
2024年12月時点、渋谷区には区立保育園が18園、区立幼保一元化施設が2園、私立保育園が55園、認定こども園が13園存在しています。待機児童は2021年から3年連続でゼロを実現しており、保育園に入りやすく共働き世帯にとってありがたい状況といえるでしょう。
また、幼稚園は区立が5園、私立が14園あります。実際にわが家も長女を区内の幼稚園に通わせており、十分な数が設けられていると感じています。
渋谷区の子育て支援情報5選
ここでは、渋谷区で実際に妊娠・出産・育児を体験している私が、行政のサポートの中でとくにうれしいと思ったものを5つ挙げてみます。
渋谷区の子育て支援情報(1)渋谷区子育てネウボラ
ネウボラとは、フィンランド語で「アドバイスの場所」を意味する単語です。妊娠中から子どもが18歳になるまで途切れることなく、保健師を中心に区全体で子育てをサポートしていくシステムのことを指します。
渋谷区では、これをほかの区に先駆けて取り入れました。妊娠中から担当する保健師が決まっていて、健診をはじめさまざまな場面で悩みや疑問に寄り添い、話を聞いてくださるので心強いです。発達上で心配がある場合は、定期的に電話で確認もしてくれました。渋谷区の子育て支援情報(2)出産前の育児パッケージ
渋谷区では、子どもの人数に関係なく、妊娠中に育児用品のプレゼントを受け取れます。この内容がとても充実していて、肌着や爪切り、体温計、おもちゃまで入っており、2人目に関しては新たに自分で何かを買い足さなくても済むほどでした。細かい内容に関しては、渋谷区の公式サイトを確認してください。
育児パッケージ贈呈対象者になるのは妊娠届けを提出し、妊娠16〜32週目に保険相談所にて面接を受けた妊婦で、妊娠33週目に渋谷区に住民登録がある方です。
渋谷区の子育て支援情報(3)最大10万円の出産助成金
渋谷区では、1人の出産につき最大10万円の「ハッピーマザー出産助成金」が支給されます。出産では、産院や入院日数などによって、かかる金額が大きく変わってきます。
無痛分娩を選択すると、負担額はさらに上乗せされるのが一般的です。私は長男を無痛分娩で出産しましたが。お金のことを心配することなく、自分とお なかの赤ちゃんや家族のことを考えて迷わず選択できたのは、この助成金のおかげでした。なお、助成対象には条件があるため、渋谷区の公式サイトにて最新情報をご確認ください。渋谷区の子育て支援情報(4)18歳まで医療費全額補助
渋谷区では、0歳~18歳に達する日以降の最初の3月31日まで医療費の自己負担分は全額補助されます。子どもが小さいうちはとくに、急に熱を出したり体調が急変したり、ケガをしたりといったトラブルが絶えません。
夜間でも休日でも、医療費を気にせず医療機関を受診できるのはとてもうれしいポイントです。さらに、渋谷区内には、総合病院や年中無休で開院している小児科クリニックもあるため、安心して受診できます。
渋谷区の子育て支援情報(5)保育料が安い
ほかの自治体と比較して渋谷区は、保育料が安いといわれています。認可保育園では第2子の保育料が無償となっているほか、認証保育所・認可外保育施設等でも一定の条件を満たせば保育利用料を軽減することが可能です。私は2024年現在、長男を認可外保育施設に通わせていますが、毎月6万7,000円まで保育料が助成されるため、非常に助かっています。
渋谷区での子育て体験談
ここでは、実際に渋谷区で子育てをしてきた体験からエリアの環境について お話します。
渋谷区で子育てをする魅力
渋谷は「若者の街」というイメージで 、「ガヤガヤしていて治安が悪そう」と思う方も少なくないでしょう。しかし、中心部の繁華街エリアから少し外れれば、ファミリーで住んでいる世帯が多くあり、治安は決して悪くないと感じています。
大使館や外資系企業が集まる土地柄、外国籍の方も多く住んでいるため、公園でも幼稚園でも、日常的に英語や他言語に触れたり、多様性を自然に学んだりする機会があります。
また、幼稚園や保育園、スクール、習い事などはバリエーションに富んで います。各家庭の方針や子どもの個性に合わせた教育の選択がしやすいのも魅力のひとつです。
渋谷区の子育て環境
ここでは、子育てする環境として私が気に入っている点や、よく利用するおすすめ施設を紹介します。
渋谷区の子育て環境(1)公園や図書館が多い
子どもが楽しく過ごせる ような公園や図書館が多くあります。渋谷区は大都会でビルばかりのイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、意外と公園が充実しているのです。
カラフルな遊具で心踊るような公園も多く、週末「今日はどこの公園に遊びに行く?」と子どもと相談しながら選べるのが魅力です。図書館は区内に10館あり、子ども向けに絵本の読み聞かせなども行われているので、気軽に利用できます。渋谷区の子育て環境(2)飲食店が多く、外食やテイクアウトに困らない
おしゃれな高級レストランだけでなく、子連れで利用しやすいチェーン店や定食屋さんなどもたくさんあります。雑誌に掲載されたり、テレビで紹介されたりしたようなレストランやカフェ、パン屋さんも多くあり、飽きることがありません。
渋谷区の子育て環境(3)子育て支援センターが多い
区内には子育て支援センターが6施設あります。施設内にはおもちゃや絵本が たくさんあるので、0歳児から就学前のお子さんまで幅広く楽しむことができます。ママたちが気軽に集えるだけでなく、職員の方に話し相手になってもらったり、定期的に栄養士さんや看護師さんに相談したりといったことも可能です。
私も、コロナ禍でなかなかお出かけできないときには毎週通い、大人と話して気分転換をしていました。今も子ども2人を連れていくと職員の方が温かく迎えてくださるので、お出かけ先に困ったときの強い味方です。渋谷区の子育て環境(4)子育てネウボラ「coしぶや」で思いきり遊べる
2021年8月にオープンした比較的新しい遊び場の「coしぶや」は、無印良品が空間設計を担当しており、木の温もりに包まれた広々とした空間が印象的です。施設内にはプレイグラウンドがあったりアトリエがあったり、さまざまな遊びを楽しむことができます。ゆったりした時間が流れていて居心地がいいので、親も子もつい時間を忘れてしまうほどです。
同じ階にあるカフェ「coの食卓」では、野菜たっぷりの体に優しい定食メニューをいただくことができます。子どもメニューがあるのはもちろん、サイドメニューも充実していて満足度が高いです。食べ終わったらまたすぐ遊びに戻れるのもうれしいポイントです。
施設名:coしぶや
所在地:東京都渋谷区宇田川町5-6 渋谷区子育てネウボラ2-3階
アクセス:JR・東急東横線・田園都市線・京王井の頭線・東京メトロ銀座線・半蔵門線・副都心線「渋谷駅」から徒歩10分
営業時間: 9:00~17:00(ひろば開催時間は9:30〜17:00、火曜日は9:00〜12:00)渋谷区の子育て環境(5)代々木公園で四季折々の自然に触れられる
東京23区内の都立公園の中で5番目に広く、四季折々、色々な自然に触れることができます。ベビーカーを押しているパパやママのリフレッシュ散歩、歩き始めたばかりの子のよちよち散歩など、老若男女色々な方が利用しています。落ち葉を集めたり木の実を探したり、植物に興味津々なお子さんの自然遊びにもうってつけです。
野鳥スポットとしても親しまれており、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロなど約52種類もの観察実績があります。ベンチでゆっくりしたり、シートを広げてピクニックをしたり、園内で自転車をレンタルしてサイクリングしたり、楽しみ方はさまざまです。なお、レンタサイクリングには別途料金が発生するので、詳しくは公式サイトをご確認ください。
施設名:代々木公園
所在地:東京都渋谷区代々木神園町、神南一丁目・神南二丁目
アクセス:JR「原宿駅」から徒歩3分、東京メトロ千代田線「代々木公園駅」から徒歩3分、東京メトロ千代田線・副都心線「明治神宮前(原宿)駅」から徒歩3分
開園日: 常時開園(サービスセンターおよび園内各施設は年末年始休業)
渋谷区の住まい事情
渋谷区の平均世帯年収は646万円で、東京都の平均564万円および全国の平均503万円を上回っています。そんな渋谷区の家賃相場は、2LDKで34.64万円、3LDKだと43.41万でした。近隣の区である新宿区、港区の家賃相場 と比較しました。
新宿区
2LDK 29.78万円
3LDK 37.47万円
港区
2LDK39.86万円
3LDK51.57万円
3つの区とも2LDKで30万前後と、高額な印象でした。ただ、渋谷区で暮らしていて利便性や、子育て世帯への補助の充実さを考えると、私は賃料の高さが マイナスにはなら ないと思います。
渋谷区の子育て世帯におすすめのエリア
ここでは、渋谷区で子育てをするのにとくにおすすめのエリアを2つ紹介します。
渋谷区の子育て世帯におすすめエリア(1)代々木上原駅周辺
渋谷区の中でも、とくに閑静な住宅街が広がる代々木上原は、子育て世帯にもおすすめです。保育園や幼稚園が複数あるだけでなく、2024年6月には新しく子育て支援センター「ポピンズキッズひろば上原」がオープンし、子育て世帯にホットなエリアです。
前述した代々木公園や代々木八幡宮をはじめとして、公園や緑が多く、落ち着いて子育てできる環境が整っています。小田急線を利用すれば新宿まで約5分で出られるので、通勤や通学に便利なのも大きな魅力のひとつです。
渋谷区の子育て世帯におすすめエリア(2)恵比寿駅周辺
恵比寿駅前には商業施設アトレや恵比寿ガーデンプレイスがあり、代官山へも歩いて行けます。おしゃれな洗練されたイメージのあるエリアですが、子育て世帯にもおすすめです。
商業施設が駅周りにあるため、子ども連れでも買い物がスムーズに行えるほか、品川まで約10分、新宿まで約7分、横浜まで約26分と、首都圏の主要な駅までのアクセスが抜群にいいのも魅力です。ベビーカー入店ができる広めの飲食店があるだけでなく、公園もエリア内に多数あり、週末に近場でのんびり過ごしたいときにも選びやすいエリアです。
渋谷区は都会で安心して子育てしたい人にぴったりな街
以上、渋谷区で子育てする魅力をお伝えしました。渋谷区は、一度は住んでみたいと憧れるような都会のど真ん中にありながら、子育て支援も非常に手厚く充実していて、ファミリー層にぴったりの街です。
私の周りにも、自分が幼い頃から渋谷区内に住んでいて、今結婚して子どもが 生まれてもなお住み続けている人が多くおり、「一度住んだら離れられない」といった声を耳にすることも多いです。渋谷区は未来に向かって成長し続けている街であり、ワクワクしながら子育てに励むことができるでしょう。
この記事では画像に一部PIXTA提供画像を使用しています。