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近鉄が「新型一般車両8A系」など3部門でグッドデザイン賞を受賞! やさしい座席の設置やL/Cシートを評価

鉄道チャンネル

近畿日本鉄道の「新型一般車両8A系」「大阪上本町駅、近鉄上本町バスターミナル」「昇降ロープ式ホーム柵」が、2025年度グッドデザイン賞に選ばれました。なかでも「新型一般車両8A系」は、今年5月に発表された「2025年ローレル賞」に続く受賞。同社にとって24年ぶりの新系列一般形車両として注目を集めており、今回はベビーカーの利用者も気兼ねなく利用できる「やさしば」などが評価されました。

24年ぶりの新型一般車両「8A系」

新型一般車両「8A系」

「やさしば」を1両あたり2ヶ所に設置
新型一般車両「8A系」は、車齢50年を超える旧型車両に替わり近鉄が24年ぶりに導入した新型一般車両。2024年10月にデビューし、奈良・京都・橿原・天理線で運行を開始しました。2025年度までに21編成84両が導入予定で、ベビーカーや大型荷物を持つ利用者が気兼ねなく着席して過ごせるスペース「やさしば」を、1両あたり2ヶ所に設置しています。

L/Cシートや防犯カメラの設置も
また、混雑状況に応じてロングシートとクロスシートを切り換えられるL/Cシートを導入しているほか、車内防犯対策として防犯カメラを設置。従来車両と比較して消費電力の45%削減を実現するなど、安全と環境に配慮した設計となっています。

乗客のニーズや利用シーンに寄り添うデザインを評価
審査員からは、沿線の人口変化や子育て世代、高齢者、インバウンドなどの新しい乗客のニーズ、利用シーンの変化に寄り添うべく、長い期間をかけて丁寧にデザインされた点が評価されました。特に「やさしば」は、多様な利用者の自由なモードに対応した、新しい鉄道と人々の関わり方を提示していると高く評価されています。

近鉄8A系は、2025年ローレル賞も受賞しています。

(参考記事)2025年ローレル賞は「近畿日本鉄道8A系」と「福岡市交通局4000系」
https://tetsudo-ch.com/13001851.html

万博に向けて駅とバスターミナルを繋ぐ連絡通路を新設

「大阪上本町駅、近鉄上本町バスターミナル」リニューアル

大阪・関西万博のシャトルバス発着に向けたリニューアル
「大阪上本町駅、近鉄上本町バスターミナル」のリニューアルも受賞しました。これは、大阪・関西万博のシャトルバス発着場決定にともない、バスターミナルのリニューアルと駅連絡通路の新設を行ったものです。

リズミカルな曲面壁で乗客を誘導 行き帰りで異なる空間体験も
駅1階の3番線ホームを廃止し、2階バスターミナルへ続く動線として通路が整備されました。新設通路は、曲線を多用したやわらかなデザインで、旅に出る期待感と上質で落ち着いた空間を創出しています。改札からエスカレーターまでの床タイルは色を変えることでかつての線路跡を想起させ、壁面はガラス張りと曲面壁の異なるデザインとすることで、行き道と帰り道の表情に変化を与えています。

周辺地域の活性化につながることを期待する声も
審査員からは、薄暗かった駅が大きく明るく広がった印象を受けると評価されています。また、万博シャトルバス発着場としてのリニューアルではあるものの、上本町駅全体の再開発も発表されていることから、周辺地域の活性化につながる新しい展開に期待が寄せられています。

鶴橋駅の可動式ホーム柵は景観調和を追及! 無骨さをなくした美しいデザインに

可動式ホーム柵「昇降ロープ式ホーム柵」

意匠性と安全性、機能性を両立
鶴橋駅2番線のりばに導入された可動式ホーム柵「昇降ロープ式(上下移動式)ホーム柵」も受賞しています。近鉄では大阪阿部野橋駅に続き2例目のホームドアで、安全性と機能性を兼ね備えるだけでなく、駅空間の景観調和を追及したデザインを目指して開発されました。2025年3月30日から2番線のりばで運用を開始しています。

(参考記事)近鉄、大阪阿部野橋駅で1月20日から昇降ロープ式ホームドア実証実験
https://tetsudo-ch.com/30078.html

注意喚起色の過剰な使用を避け、周囲に調和するデザインに
柱や梁は突起のないやわらかな構造とし、昇降ロープは張力を調整し直線的に、また上下に帯を取り付けることで、ロープ全体を面として表現し安心感を出しています。さらに、必要最小限の注意喚起色とグレーを基調とした本体色とコントラストにより視認性を確保し、駅空間との調和を実現しています。

プラットフォームの風景・景観を変える秀逸なデザインと評価
審査員は、ロープ型のホーム柵はこれまで無骨な見栄えであることが多かったなかで「ロープの設置とホームの美観整備を同時に行うデザイン」と評価。構造体となるアルミの柱にケーブルを仕舞い込み、統一した配色と安定感のある造形によって、プラットフォームの風景、景観を変えることに成功したパブリックスペースのデザインソリューションとして秀逸であると称賛しています。

近畿日本鉄道が取り組んだ3つのデザインプロジェクトが、利用者の多様なニーズへの対応や景観への配慮、環境性能の向上といった点で評価されての受賞となりました。これらの取り組みは、今後の鉄道デザインの好事例となりそうです。

(画像:近畿日本鉄道)

鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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