サッカーJリーグ“2024静岡県勢ベストイレブン”を選んでみた!清水エスパルスから4人、ジュビロ磐田から2人
【サッカージャーナリスト・河治良幸】
2024シーズンのJリーグも閉幕ということで、今年の“静岡県勢”ベストイレブンを筆者の視点で選出した。
GK・DF陣
GKは権田修一(清水エスパルス)で文句ないだろう。プレーオフでJ1昇格を逃した昨オフには移籍の可能性も伝えられたが、残留が決まってからしっかりと攻撃的なタレントの揃うチームの守備を支えて、15試合のクリーンシート(無失点試合)を記録した。
ディフェンスラインは関根大輝(柏レイソル)、住吉ジェラニレショーン(清水エスパルス)、リカルド・グラッサ(ジュビロ磐田)、森下龍矢(レギア・ワルシャワ)の4バックに。静岡学園出身の関根は大学4年でプロのキャリアをスタートさせたが、J1の柏でいきなり右サイドバックの主力に定着し、夏にはパリ五輪に出場。柏は残留争いに巻き込まれたが、右サイドバックをしっかりと守り通したことは高評価に値する。
住吉はJ1広島からの期限付き移籍だが、秋葉忠宏監督の信頼を掴んでセンターバックの主力に定着。4バックはもちろん3バックの中央でも対人戦の強さとリーダーシップを発揮して、清水のディフェンスを引き締めた。
リカルド・グラッサはJ1の基準でもパフォーマンスが高く、守備はもちろん左サイドからの攻撃の起点としても、存在感あるプレーを見せた。2つの退場やPK献上は玉に瑕だが、それだけJ1の戦いが厳しく、彼に負荷がかかっていたとも言える。
左サイドバックの森下は掛川市の出身で、磐田ユースで育った。名古屋グランパスからポーランドの名門レギア・ワルシャワに期限付き移籍して、コンスタントに活躍。インサイドハーフやウイングでもポリバレントぶりを発揮して、公式戦7得点8アシスト。完全移籍を勝ち取り、代表復帰に向けての足がかりを掴んだ。
中盤
ボランチは宮本航汰(清水エスパルス)と山本康裕(松本山雅)のコンビ、2列目の中央に乾貴士(清水エスパルス)を配置した。宮本は清水の中盤をしっかりとオーガナイズしながら、乾を中心としたアタッカー陣を幅広く支えた。また中村亮太朗、矢島慎也、夏加入の宇野禅斗など、誰と組んでも柔軟にバランスを取りながら、中盤に安定感をもたらしたことも評価できる。
山本は30代半ばにして磐田から働き場を求めて松本に。献身的かつクオリティの高いプレーを続けて、終盤の快進撃を支えた。惜しくもプレーオフでのJ2昇格は逃したが、存在感は大きかった。
乾に関してはここで多くのことを語るまでもないが、清水のビッグチャンスの大半が、乾からもたらされると言っても過言ではない。特にアウェー徳島戦で、ドウグラス・タンキの勝ち越しゴールをアシストしたクロスなど、勝ち点に直結する仕事が多く、起点として絡んだプレーも含めて、その存在感は絶大だった。そして何よりも、負けや未勝利が続くなど、チームが苦しい時に下を向かずに、メディアに向けても率先して口を開くなど、年長者に相応しいリーダーシップも見逃せない。
前線
前線は山下諒也(ガンバ大阪)、ジャーメイン良(ジュビロ磐田)、矢村健(藤枝MYFC)の3人を選んだ。
磐田のユース出身の山下は横浜FCからガンバに加入した当初、怪我で出遅れる苦しいスタートとなったが、戦線に復帰すると短い出場時間でダニエル・ポヤトス監督の評価を高めて、5月以降は右サイドのスタメンに定着。持ち前のスピードを生かしたアグレッシブなプレーで、攻撃に勢いをもたらした。1得点5アシストという数字はJ1上位チームの主力としてやや物足りなさはあるが、内容面での貢献度の高さは明らかだった。
ジャーメインはJ1で19得点を記録するなど、個人の成績としては文句のつけようがない。途中の負傷離脱は残念だったが、その痛みも糧にして、終盤戦のゴールにつなげたことは素晴らしかった。
矢村はJ1新潟からの期限付き移籍で2年目となったが、リーグ戦の得点数を9から16に伸ばし、10月のいわきFC戦で決めた後方からのボールを回転ボレーで合わせたアクロバティック弾がJ2の最優秀ゴール賞に。また得点だけではなく、精力的なディフェンスと柔軟なポストワークなど、稼動力の高いFWとして藤枝を牽引した。