戸塚区内醸造所 世界的ビール大会で金賞 「独自の味」を突き詰め
世界最大のビール審査会「ワールドビアカップ2025」の授賞式がこのほど、アメリカ・インディアナ州で開催され、戸塚区上倉田町や関内に醸造所を置く横浜ベイブルーイング(株)の「ベイピルスナー」が金賞を、「ゆずヴァイス」が銀賞を受賞した。同社の鈴木真也代表(44)は「ビールをつくり続けて20年分の喜びがあふれた瞬間でした」と話す。
アメリカの業界団体・ブルワーズアソシエーションが毎年開催している同大会は、製法ごとに約100の部門に分かれて審査が行われる。今年は37カ国から8375銘柄が出品され、日本からは13銘柄が受賞した。
今回金賞を獲得した「ベイピルスナー」は世界で最も普及しているチェコ生まれの「ピルスナー」と呼ばれる製法でつくられている。すっきりとした飲み口ながらも、奥にしっかりと苦みを感じるような深い味わいが特徴だという。
昨年「ゆずヴァイス」で同大会初入賞を果たした同社。「今年こそは看板商品のベイピルスナーで入賞したい」と前回大会後に大きなレシピ変更を行い、試行錯誤を重ねてきた。
「6週間の醸造期間を繰り返し、販売を続けながら毎回微量の調整を加えていきます」と鈴木代表。調整した回数は合計で100回を超えたというが、1回の醸造で2000リットルつくるため毎回が「一発勝負」だと話す。
各国で修業を重ね
もともと趣味として様々な酒を楽しんでいたという鈴木代表がビールづくりに興味をもったきっかけは23歳の時。テレビ番組でドイツのビール醸造所を紹介していた。「飲みたいビールを自分の手でつくれることに魅力を感じた」
その後、24歳でクラフトビールを醸造する(株)横浜ビール醸造所に入社。特に好きなスタイルだったピルスナーの開発に着手した。
30歳で独立後も開発を続け、そのなかでピルスナーの本場であるチェコで修業を積んだほか、以前同審査会で金賞を獲得したアメリカの醸造所でも学んだ。
そんな各地の良いところを取り入れた独自の風味を追求していったという鈴木代表。「この業界は仲間意識が強く、どの醸造所に行っても快く受け入れてくれるので助けられた」と話す。
販路拡大目指す
受賞後からは、飲食店などから問い合わせが多く寄せられ、供給が間に合わない状態になるなど反響は大きいという。
現在は出荷するほとんどが業務用の樽だが、今後は営業専門の部門を立ち上げ、6月から販売予定の缶ビールをコンビニなどの小売店に流通させていきたいという。「今後も設備拡充などを続けながら、商品のブラッシュアップを続けたい」と話した。